ダイエットをいたしますわ
『レイカ!起きなさい、飛鳥殿が困ってますよ』
そんな声が聞こえたので目を開けると、
目の前に半透明な綺麗な人がいた。
「いやーー!おばけ!」
私は怖すぎて布団を被り震えた。
『ごめんなさいレイカ。
まだ慣れてませんのね、わたくしですよ。
マリアです』
「マリア?ああーマリアさんか、びっくりしたー」
『レイカ、もう一周間も一緒にいるんですのよ?
いい加減慣れて欲しいものですわ』
「本当にごめんねマリアさん。
寝起きだと頭が回らなくてさ、
そのうち慣れるので、もう少しお待ちください」
マリアさんに頭を下げていった。
『しょうがないですわね、長い目で見ることにしますわ』
「ありがとう!
そういえば飛鳥さんがどうとか言ってなかった?」
『言いましたわ。
タケシさんが参りましたのですけど、
レイカが全然起きないので困っていましたわ。
今はレイカを起こすのをわたくしに任せ、
タケシさんの対応をしていますわ』
マリアさんに今の状況を説明された。
「え?たけちゃんこんな時間にきたの?」
『レイカ、もう10時30分ですわよ。
寝過ぎですわ。
それより速く服を着替えて、タケシさんのところに向かいますわよ」
「了解!」
私は化粧なんてしないから、寝巻きから私服に着替えれば準備完了だ。
下はスキニーのジーンズと
上は右と左の脇腹のところに縦に長い三角形の切れ込みが入った丈の長い無地白いTシャツに着替えて、
マリアさんほ先導されたけちゃんのいる部屋に向かった。
「おはようたけちゃん!」
「こんにちはだぞ麗華」
扉を開けて挨拶するとたけちゃんに訂正される。
「まあそれは置いといて、麗華寝過ぎだぞ!」
「私的にまだ寝足りないくらいだよ。
ちなみマリアさんにもそれは言われた」
「マリアさん、おっ!」
なんの目的かは知らないが、逆さまになってたけちゃんの前に降りるように現れた。
『タケシさん、わたくしを無視するなんていい度胸ですわね。
誰が起きないレイカを起こし、
ここまで連れてきたと思いますの?』
「無視したわけじゃないんですよ、たまたま姿が見えなかっただけです。
こんにちはマリアさん」
『ふーんまあいいですわ。
ごきげんようタケシさん』
少し無視されたのが気に食わなかったマリアさんが逆さまで文句を言う、
言い訳するたけちゃんに多少納得はいってない顔をしているが、
とりあえずは納得はしたらしい。
「それでたけちゃんは何しにきたの?」
「何しにきたって、
麗華用のダイエットメニューを作ってきたから説明しにきたんだよ」
「まだあれから4日だよ?早くない?」
「いや遅い方だよ。
俺がやったメニューを使えれば良かったんだが、流石に過酷しすぎてな。
時間がかかってしまいすまん」
私にたけちゃんは頭を下げた。
「いやさっき早いって言ったじゃん!
大丈夫だから頭を上げてよ!
ほら速くメニューの説明をしてよ」
「やっぱり麗華は優しいな。
よし説明するぞ。
とりあえず1ヶ月の目標は痩せるのではなく、痩せやすい体を作るのが目標だ。
なので麗華がするのはまずは呼吸だ」
「呼吸?腹筋とか腕立てとかじゃなくて?」
流石に私でも痩せるために腹筋や腕立てなどをしないといけないのを知っている。
「まあ普通はそう思うだろ。
でもその体じゃ腹筋も腕立てもできないだろ、無理してそんなものやっても体を壊して痛い思いをするだけだよ。
痛い思いをしたら怖くなってしたくなくなるから続かなくない、
つまり痩せられないってこと。
だからまず、普通の腹筋とか腕立てをできるように少しづつ体を作っていくんだよ。
とりあえず俺を信じろ」
「よくわかんないけど、たけちゃんを信じる」
たけちゃんは私を騙したことはない。
「じゃあ教えるから飛鳥さん寝転んでもいい場所とかある」
「ございます武様。
お嬢様は昔バレエをならっておりましたので、バレエをする部屋がございます」
「そういえばそんな場所あったね。
それじゃそこに行こうか!」
「たけちゃんジャージとかに着替えなくていいの?」
「汗はかかないし、やることは息を吸い吐くことだから大丈夫!」
私達は飛鳥さんの案内のもと昔バレエを練習していた部屋に向かった。
部屋はガラスばりの壁があり、バレエバーが付いている木材で作られた床の部屋に入った。
「じゃあ麗華、膝を立てながら仰向けに寝て」
「わかった」
私は仰向けに寝て両膝を立てた。
「ここから先は簡単だ。
鼻からゆっくり息を吸って、お腹をめいいっぱい膨らませた後、口でゆっくり吐きながらお腹を強めにへこませる。
そうそれだ。
だが少し呼吸の感覚が少し速い、だいたいは吸うのが5秒吐くのに5秒を意識してくれ。
吸って、吐いて、吸って、吐いて。
そんな感じ」
私はたけちゃんの指示通りに私は吸って吐いてを繰り返した。
「よし、5分経ったな。
これで一つは終わりだ」
「これだけでいいの?」
「とりあえず一つ目はな!
よし次は立ってくれ」
「はーい」
立ち上がってたけちゃんの指示を待つ。
「まず小指を上にするように両手を組む、そして胸を通るようにひっくり返す。
そのあと頭を下げたあと、
後ろの肩甲骨に空気を入れるように息を吸った後、吐く。
これも吸う時は5秒吐く時も5秒の間隔だ。
そう、それでいい」
「たけちゃんなんかすごい背中がすごい開くよ!」
「いいから今は呼吸に専念しなよ」
私はそう言われたのでまた集中して呼吸した。
「よし終わりだ!
お疲れ様」
「本当にこんなので痩せるの?」
「痩せるんじゃなくて痩せやすい体を作るんだよ!」
「呼吸となんの関係があるの?」
さすがに意味がわからなかったので聞いた。
「呼吸っていうのはけっこう大事なんだよ。
腹式呼吸と胸式呼吸が与える体の影響は違くてな、どちらかというと腹式呼吸の方がいい影響があると言われている。
それを深くすることでインナーマッスルと体内に良い刺激になるように呼吸させたんだ。
それと二つ目の格好で息をすることで背中に引っ張られるようにお腹が引っ張られ、普段動かない筋肉を動かしたんだ。
開いた背中と同時に引っ張られるのがわかっただろ?」
一つ目はわからないけど、二つ目はよく考えたらそうかもしれない。
たしかに背中が開き、お腹の何かが引っ張られた気がする。
『ふーん、けっこう簡単なのね。
レイカこれなら毎日できそうですの?』
「うーん、頻度によるかなー」
「大丈夫だレイカ!
これは一つ目は1日3回5分で二つ目は暇なときにやれば良い。
慣れてきたらあの姿勢をとらなくてもできるようになるからな」
「そうなの?」
「ああ!前にメイドさんに教えたらそう言っていた。
だから気軽やってみてくれ」
とりあえずたけちゃんを信じてみる。
『これで終わりですのタケシさん?』
たしかにこれで終わりなら楽勝だ。
「まずはって言っただろ、むしろここからが本番だ」
見てくれてあざっす!