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乗り移りますわ


『レイカ、今日はよく頑張りましたわ。今日の最初の一歩がいずれ大きな一歩になりますわ』

「ありがとうマリアさん。

でも本当はすごく不安なんだ、学校でいじめられたストレスで食べる量が増えたから、今度は痩せるストレスでもっと増えそうで」

レイカは不安そうな顔をする。


『大丈夫ですわレイカ。

わたくしがとめてさしあげますわ』

「たしかにマリアさんの力なら、止められそうだね」

どうしましょう。レイカは自信を無くしてますわ、学校でのいじめのせいですわね。


そういえば今日、タケシさんから幽霊の話を聞きましたわね、もしかすると乗り移ったりできるのかしら。


『えい!』

わたくしはレイカに向かって飛びついた


「あら、できましたわ」

わたくしの声ではなくレイカの声で喋った。


『ちょっとマリアさん!

なにしてくれてるのよ』

声のする方を見ると半透明なレイカがいた。


「ごめんなさいねレイカ、今日タケシさんが幽霊の話をしていでしょう。

それでこの世界の幽霊の話で乗り移るということを聞いたことがありましてので、やってみたのですわ」

『いや、やってみたのですわじゃないよ!

私の体返してよ!』

「ちゃんと返しますわよ。

ちょっと実験をしようと思いまして」

わたくしは右手の人差し指だけを立て、指の先から火を出した。


『マリアさんそれ、どうやっているの?』

「魔法ですわ」

『魔法なんて使えるの?』

「言ってませんでしたか?

わたくしの世界は普通に魔法を使いますわ、まあ貴族だけですが」

そう言ってわたくしは火を鳥や花に姿形を変えてみた。


『魔法を使えるのは分かったけど、それ私の体だよね?私も使えるの?」

キラキラした目でわたくしを見てくる。


「無理ですわ。

魔法を使うには適正な魂が必要なんですの。

なので魔法を使ったこともないレイカには無理ですわ」

『そっかぁー残念、使ってみたかったよ。

それより速く体を返して』

レイカが催促してくる。


うーん、体を返すのは簡単なんですが、もったいない気がします。

そうですわ。


「レイカ、わたくしから離れることはできますか?それができればすごいことができますわ。

わたくしを信じて離れてみてください」

『離れる?分かったよ、一回離れてみるね』

レイカは離れていって壁の向こうに消えたが、すぐに戻ってきた。


『マリアさんが私と一定の距離離れられないのと同じで私もマリアさんから離れられないみたい』

「残念ですわ。ならもう一つの方法をやってみましょう!

レイカ、飛鳥殿のところへ案内してくださいまし」

『いいけど、案内したら体を返してね』

「ふふふ、きっとレイカも気に入って返して欲しくなくなりますわ」

『ちょっと』

「さっレイカ案内してくださいまし」

ずっと疑いの目を向けられながら、飛鳥殿のもとへ向かう。

きっとレイカの力になりますわ。


トントンと飛鳥さんが普段すごしている部屋の扉を叩く。

「飛鳥殿、ご用件がございますの。

開けてくださいまし」

すぐに飛鳥殿は出てきた。


「お嬢様どうされたのです?

スマートフォンで呼んでくれましたらすぐにむかいましたのに」

「そういえばそんな物もありましたわね。

まあいいですわ。


飛鳥殿、改めて自己紹介をいたしますわ。


わたくしはハーデル国の貴族、誇り高き侯爵家の嫡女マリア・アンジェッタと申します。

以後お見知りおきを」

わたくしはカーテシーをしながら名乗った。


「マリア?まさか!」

そう言って飛鳥殿はお札をどこからともなく取りだした。


「お待ちください飛鳥殿。

レイカにはきちんと許可はとってあります。

それにいつでも体を返すことが可能なのでご安心ください。

要件が済みましたら必ず返します」

わたくしは両手を前に出し、飛鳥殿を止める。


「許可をとっているのですね?」

「もちろんですわ」

『いや許可してないんだけど』

横からレイカに文句を言われる。


「それでマリアさん要件とはなんなのでしょう」

「実は外出許可をいただきたいのです」

「何故ですか?」

「簡単です、レイカのためです」

「お嬢様のため?」

「はい」

飛鳥殿はようやくお札をしまってくれた。


「飛鳥殿はご存知だとおもいますが、レイカは心ない人達にいじめられたせいで、自分自身に自信がもてないようなのです。


学校という狭い世界で自信を失ってしまうのは、とてももったいないことにわたくしは感じますの。

なのでレイカにこの世界を見せてあげたいのです」

「どうやってですか?」

「魔法です。わたくしは飛翔魔法を達人の領域まで使えます。

レイカはわたくしから一定の距離、離れることができません。

つまりわたくしが飛べばレイカも飛ぶということです」

「魔法ですか、そんなものあるわけがないでしょう」

「では見ていてください」

わたくしは魔法で浮かぶと飛鳥殿は目を開き驚いた顔をした。


「これが魔法があるという証拠ですわ」

わたくしは廊下を飛び回ったあと、飛鳥殿の前に降りたった。


「いいでしょう、魔法が存在することはわかりました。

しかしその体はお嬢様のものです、危険だと判断いたします」

「飛鳥殿、わたくしを信じてはいただけないでしょうか。

レイカはやっと自らを変えようとしているのです。

お願いします、今が最大の好機なのです」

わたくしは飛鳥殿に頭を下げた。


『飛鳥さん、マリアさんが頭を下げてまで言うだから、きっと何か理由があるんだと思うんだ。許可してくれないかな?』

「スーパーメイドであるわたしのお嬢様レーダーに反応がありました。

どうやらお嬢様が望んでいるようですね。

わかりました、許可をだします。


ですがわかってますねマリアさん」

「はい、この体には傷の一つもつけませんわ」

「よろしい、時間は1時間ほどでお願いします。

もし帰って来なかったら迎えに行きますから」

「承知しましたわ。

まずは部屋に戻りジャージに着替えましょう、では失礼いたしますわ」

わたくしはレイカの部屋に戻った。



「でわ行きますわよレイカ」

『本当に大丈夫?』

「余裕ですわ、さあ世界を知りましょう」

窓を開けたわたくしは体を浮かせ世界に向かって飛んだ。






「どうでしたかレイカ?」

『うん世界は広いし、いろんな人がいるんだね』

わたくしはレイカと世界一周をして部屋に帰ってきた。

もちろん1時間ぴったりに。


『まだ人種差別がある国やその日暮らしの人たち、未だに争っている国々。


話には聞いたことあるけど、実際聞くのと見るのでは全然違うんだね』

「そうですわよ、日本なんて比較的まともな国ですわ。

しかもレイカは、お嬢様なんだからとても贅沢な暮らしをしています、

それを自覚して、どれだけ自分が恵まれた状況にいるか分かりましたの?」

『うん、分かったよ。

うじうじしている場合じゃないね。

頑張らないと」

「そうですわ!

頑張れる環境と応援してくれる人、あとはレイカ次第ですわ!」

レイカは少しだけ自分のことを理解できたようですわ。


「じゃあ体を返しますわね。

レイカ、忘れないでください。

わたくしも飛鳥殿もタケシさんもみんな貴女の味方ですのよ。

なんでも言っていいんですの。

弱音だって、不安を感じていることだって。

なんでも聞き、解決できるまで協力は惜しみませんわ」

『ありがとうマリアさん。

少し勇気がでたよ』

「よかったですわ、ではえい!」


わたくしはもとの霊体に戻りレイカの体にはレイカが入った。



見てくれてあざっす!

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