ふとましいですわ
私は食堂で食事をしている。
幽霊に見られながら。
『レイカはすごい量のご飯を食べるのですのね。
生前にこれほどの量を食べる人は見たことがありませんわ』
もう普通に話しかけられる。
「もともとはこんな風に食べれなかったんですが、いつのまにか食べれるようになったんです。」
『この量を見ると、一種の競技見たいですね」
そりゃそうだろ、沢山の皿が置いてある光景を見れば。もちろん全部食べるけど。
「まさか飛鳥さんでも気配を感じてもマリアさんが見えないとは思いませんでした」
『レイカが止めてくれなかったら本当に除霊されていましたわ、あの女性は危険ですわ』
飛鳥さんにマリアさんを紹介した時の出来事を振り返ろう。
「おはよう飛鳥さん、相談があるの。
飛鳥さんはこの人見える?」
意識を失っていた私は朝、目が覚め現実を理解した後。
飛鳥さんのもとに向かい、私の左側に浮いているマリアさんを指差しながら聞いた。
「姿は見えませんが何かがいる気配があります。
お嬢様、滅しますか?」
飛鳥さんはお札をどこからともなく出した。
『ひぃっレイカ!あの紙からとても嫌な感じがしますわ!
どうにかしてくださいまし!』
「飛鳥さん、ここにいるマリアさんって人が怯えているからそのお札をしまってくれない?」
「かしこまりました。
それでお嬢様、そのマリアという方はどのようなお方なのですか?」
お札を瞬時に消した飛鳥さんに聞かれた。
「えーとバーデル国の侯爵家のお嬢様で、
名前をマリア・アンジェッタさんと言います」
「バーデル国?聞いたことがありませんね」
「マリアさんが言うには、別の世界の国らしいんだ」
「別の世界ですか、本当にあるのですね。
それでお嬢様、そのマリアさんがなぜお嬢様と一緒にいるんですか?
まさか取り憑かれているわけではないですよね?」
「えっと、取り憑かれています」
飛鳥さんはまたどこからともなくお札を出した。
『ひぃっ、レ、レイカ!』
「飛鳥さん大丈夫だから!特に害もなかったとは言い切れないけど、とりあえず今は滅しないで!」
「言い切れないということは何かあったのですね。お嬢様危険です、滅します」
飛鳥さんはお札ををたずさえ近づいてくる。
「私のスーパーメイドさんお願い待って。
マリアさんはこの世界に来てからずっと孤独だったんだよ!
私にお願いしたことなんて、一緒におしゃべりをするぐらいなことなの!
お願い、滅しないで!」
『お願いします飛鳥殿、わたくしを滅しないでくださいまし!』
飛鳥さんに姿がみえていないマリアさんまで頭を下げてた。
「お嬢様がそこまでお願いなさるなら今回はひきましょう。
ですがマリアさん。お嬢様に害を与えたその瞬間に貴方を滅します。
お忘れなきよう」
私が見たこともない怖い顔した飛鳥さんは、マリアさんがいる場所に向かって言った。
『はい!決して忘れませんわ!
それにレイカはすでに友達ですの!
友達を傷つける行為は決してしないわ!』
「飛鳥さんマリアさんも友達の私を傷つけることは決してしないって言ってる」
「友達ですか、、、いいでしょう。
お嬢様を友達と言うのであれば、信じるに値いたしますね。
ではマリアさんお嬢様と末永く仲良くしてくださいね」
飛鳥さんはマリアさんのいるところに頭を下げた。
『当然ですわ!
この世界で唯一の存在ですの!
仲良くするのは当たり前ですわ!』
マリアさんは胸を張って答えた。
「というわけで飛鳥さん、私の近くにマリアさんがこれからいるのでよろしくお願いします」
「かしこまりました」
「はぁ、少し疲れたからお腹すいてきた。
飛鳥さん食堂に行くよ」
「では先にシェフのもとに行き、朝食の準備をしていただきます、
ではお嬢様失礼します」
「お願いねー」
食堂に向かう飛鳥さんを見送った。
食事を食べ終えた私はマリアさんに昨日お願いされたお喋りの時間を作った。
『ではレイカ、昨日は自己紹介まででしたのでその続きを話したいと思いますわ』
私はマリアさんの生涯を聞いた。
マリアさんは侯爵家に生まれ、侯爵令嬢としてはずかしくないように教育された。
両親もとても優しく友人も多かった。
魔族や魔王という存在もいるが、別に争いをしているわけではなく友好的な関係らしい。
マリアさんの親も魔王と仲が良かったらしい。
だが聖女という存在が現れてからマリアさんの人生が変わった。
婚約者であった第二王子は聖女に夢中になり、友人たちもマリアさんを蔑ろにしだした。
マリアさんは侯爵令嬢として平民あがりの聖女の振る舞いに注意をするも、周りはいじめと判断して非難した。
そして最後は誰1人信じてくれるものはいなく、無実の罪で処刑された。
「マリアさん」
『レイカ、別に同情して欲しいわけじゃないのよ。
分からないと思いますけど、わたくしは満足していますの。
わたくしは処刑されるその時でさえ、誇りを持った侯爵令嬢でしたもの。
後悔はございませんわ』
「マリアさんは強いんですね」
『私の世界はこの世界より死が身近にありますの。
いつ死ぬか分からないから、どう生きたかが重要なんですわよ。
さて次はレイカの番ですわ!」
マリアさんほどの語れる人生はないが、私の人生を語った。
『つまり中学生までは順調でしたのに、そのライバル企業の人たちにいじめられて学校にいけなくなり。
そのストレスで食事の量が増えて、ふとましくなったと。
そして見た目と名前の差が気になりすぎて、もっと行きづらくなったのですわね』
「まとめるとそういうことですね」
『レイカ、わたくしはこの世界に来てからたくさんの人を見ています。
その何人もの人達が学校に行けなかったことを歳をとった後で後悔していましたわ。
レイカ、今は今しかないのですのよ。
死んだわたくしが言うのです、間違いないですわ。
それにレイラは本当は行きたいのでしょう?』
マリアさんは私の心を見透かすように聞いてきた。
「本当は行きたいよ。
勉強だって好きだし、高校生活だって人生で一回しかないってわかってる!
行きたいに決まってるじゃん!」
私は心から叫んだ。
『ではやることは一つですわね、
そのふとましい体をどうにかしましょう。
大丈夫ですわよレイカ、
わたくしがついておりますわ』
マリアさんは私に優しく笑いかけてくれた。
「でも、どうやって痩せればいいか分からないのですよ」
『それはあの恐ろしい飛鳥殿に聞いてみましょう!
きっと何か方法を知っているはずですわ。
あとさっきみたいな喋り方でいいですわよ、
わたくし達はもうお友達なんですから」
「じゃあお言葉に甘えて普通に喋るよ!
じゃあ飛鳥さんとこに行こ!」
マリアさんを連れて飛鳥さんがいるであろうところを向かった。
「やっと見つけたよ飛鳥さん!」
「お嬢様、スマートフォンで呼んでいただければすぐに向かいましたのに」
「あーそうだった、忘れていたよ!
飛鳥さんに相談があるの」
「今日二度目の相談ですね。
どうぞ、このスーパーメイドに相談してください」
前に過ごしていた部屋を掃除していた飛鳥さんを見つけた。
「えっとね、あのね、えーと、」
「安心してください。何を言われてもわたしは全てを受け入れますよ」
「痩せようと思ってね、なんか良いアイディアがないかなって?
え?飛鳥さんどうしたの?」
相談した飛鳥さんが目から涙を流していた。
「申し訳ありませんお嬢様。
嬉しさのあまり目から汗が出てしまいました。
お痩せになりたいのですね、では武様を呼ぶのはいかがでしょう。
武様ならきっとお嬢様の力になってくださると思います」
「たけちゃんか、少し連絡しずらいな」
「大丈夫ですよ。
武様はずっとお嬢様を心配していました。
だから大丈夫です」
たけちゃんは頻繁に連絡してくるけど、引きこもった自分が恥ずかしくて返信することが出来なかった。
『ねぇレイカ、タケシとはどなたですの?』
「えーと、一応私の婚約者かな?」
見てくれてあざっす