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閑話 カノンとロミの出会い

Side:ロミ


 僕は教会の後始末をする日々を忙しく送っていたが、ある程度の目処がついてきた。

 数日後には魔法都市マジクトへ戻れる許可が降りた。


 カノンたちはオアシスでゆっくりしているらしいから、手紙を書こう。

 カノンに別れ際にしたことを思いだすと、顔が真っ赤になる。

 あんなこと自分がするとは思わなかった。


 手紙を書こうと羽根ペンを手に取ろうとすると、机の上に置いていたブローチを床に落とした。

 慌ててブローチを拾う。


 懐かしいな。このブローチは、カノンともらったものだっけ。




 これは四年前のお話。

 私は帝国お抱えの賢者と活動していた。

 ガリレア王からの依頼で、新しく騎士の見習いの子たちに毎日数時間、魔法を教えることになった。

 どうも共和国との戦争が現実味を帯びてきたらしい。


 騎士見習いの子たちの書類を事前に渡されて目を通す。

 皆、あまり魔法を使うタイプではなさそうだった。

 騎士は字の通り剣を主に使うから、あまり魔法の学習には積極的ではない子が多かった。


 その中でもエマとフラメル、カノンは魔法の取得に積極的だった。

 エマとフラメルの才能は群を抜いていて、カノンはそこまで目立つ子ではなかった。


 カノンの第一印象は目が怖かったくらいだろうか。

 世の中の全てを憎んでいるような、全てを諦めている様な悲しい目だった。

 


 その日の実践魔法を教えて部屋に戻り、書類に目を通す。

 カノン=リシャール

 あのリシャール家の次男坊か。彼になにがあったのか気になった。

 あの目は子どもと言われる年齢の子がする目ではないさ。

 

 書類には経歴とスキルしか書かれていなくて分からなかった。

 ルノガー将軍にカノンの事を聞いてみた。

 

 「カノンか。あいつは優秀だが危ういのはワシも同意だ。」

 「ええ。僕もそう思います。あの子は……危ない。」


 ルノガー将軍の話を聞くと、どうもスキル猟犬が原因でリシャール家を追放されたらしかった。

 納得がいった。それで世界を恨んでいるのだろう。



 それから実践魔法の授業の中で、カノンを観察するようになった。

 カノンはどうも手を抜いているみたいだ。

 他の魔道士なら騙せるかもしれないけど、僕は賢者だ。

 魔法陣を見ればそいつの実力くらいわかる。


 注意したが、カノンはしらを切った。

 カノンにも何かしらの思惑があってのことなのだろう。

 それ移行、カノンは僕にあまり話しかけなくなっていた。

 やっぱり、年頃の子どもは扱いが難しいさ。




 一年経ってもカノンの態度は変わらなかった。

 むしろエドガーたちと同じ様にあまり真面目に授業を受けなくなっていた。

 僕はカノンを咎めはしなかった。



 ある休みの日。僕は散歩をしていると、カノンを街中で見かけた。

 悪いと思ったけど、暇だったし、カノンが休日になにをしているのか気になって後を付けた。

 もしかして、彼女とかいたりして。


 カノンが向かったのは帝都の外れにあるスラム街と言われる治安が良くない場所だった。

 狭い路地をどんどん進んでいく。

 カノンはもしかしたら悪いことをしているのかもしれない。

 帝国の賢者として悪いことは見逃せない。


 そう思っていると、カノンが辿り着いたのは孤児院だった。

 幼い子どもたちがカノンに走って寄ってくる。懐かれているのだろう。

 

 僕は自分を恥じた。

 生徒を付けて悪人だと思うのはさすがに大人がしていい行動ではない。

 バレないように帰ろうとすると子どもの一人に見つかった。


 「あの人、カノンのおともだち?」

 「やあカノン、こんなところで偶然だね。」


 一斉に子どもたちに見られる。しまったこういうところが僕のダメなところだね。

 咄嗟に嘘をついてしまった。


 絶対に偶然でこんなところに来るわけがない。カノンも不審な目で僕を見ている。


 「そうだよ。オレの友だちだ。ロミこっちにおいでよ。」


 僕はびっくりした。カノンは僕が付けてきたことくらいわかっているはずだけど、

 歓迎してくれているらしい。


 「ああ。そうだね。僕はロミ。みんなよろしくね。」


 それから、子どもたちのパワーはとてつもなかった。

 ずっと鬼ごっこやお人形遊びに付き合った。

 僕は子どもとそこまで遊ぶことはなかったからヘトヘトだ。


 「カノンのお友だちもご飯食べていってください。」


 孤児院の園長の言葉に甘えてご飯をご馳走になった。

 僕にとっては始めての経験だった。


 幼い頃からスキル賢者のお陰で、自分の大好きな魔法に没頭してきた。

 妹のレミともほとんど遊んだ記憶はなかった。

 皆が寝る時間になったらしくて、僕とカノンはまた来る約束をして孤児院を出た。

 

 二人で歩く夜道は気まずかった。


 「カノン、僕はキミに謝らないといけない。本当にごめんよ。」

 「そうか。」


 カノンはぶっきらぼうに答えた。怒っているだろう。暗くて表情はよく見えなかった。


 「カノンはよく孤児院に来ているのかい。」

 「エマに誘われてからは週末には来てる。オレは他に趣味がないから。」


 カノンは最小限の言葉だけで返事をする。

 気まずいが悪いのは僕だ。カノンの対応はしょうがない。

 無言のまま騎士の寮に着いた。


 「ロミ、また行くだろう。みんなもロミと会いたがっている。」

 「来週は仕事があるから、再来週は一緒に行こう。」


 もう二度と来るなと言われると思っていが、想定外だった。

 それから少しずつカノンは話しかけてくれるようになっていった。


 数ヶ月して騎士見習いたちが騎士の任命と共に戦場に赴くことになった。

 それとともに、僕は騎士たちへの教える任務が終わり、魔法学校の校長に任命された。


 最後の休日、孤児院に顔を出した。


 「ロミお姉ちゃんとカノンとエマが遠くに行くって聞いたから。これ作ったの。」


 女の子が手渡してくれたのはブローチだった。

 お世辞にも奇麗ではないがすごく幸せな気持ちになった。


 帰り道、カノンに呼びかけられて二人で話をした。


 「ロミ、オレは必ず戦場から帰る。俺のスキル猟犬を調べてほしい。ロミは研究が好きだろう。」

 「……もちろんさ。文献を読み漁っておくよ。カノン、戦場では気をつけるんだよ。」

 「もちろんだ。オレはどんな手を使ってでも生き残ってやる。」


 カノンと握手をして別れた。

 カノンとエマは戦地へ、私はマジクトの魔法学校へ。

 カノンとエマは強いから大丈夫だとは思うけど戦場は安全ではない。

 これがカノンと会うのが最後かもしれないと思うけど、再会できる気がした。




 カノンとの記憶を辿っても不思議と親しかったわけではないけど、

 マジクトにライカと二人で訪れた時は驚いた。


 そんなカノンがいつしか恋しくなっていたとは自分でも驚きだ。

 数日後にはマジクトに帰れる。カノンと会えると思うとそわそわしてにやけてしまうね。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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