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カノン将軍になる?


 月曜日の昼過ぎに城から兵士に呼ばれた。正装を着て来てほしいと言われたが、

 冒険者の正装は冒険服だ。


 昼過ぎからだったのが不幸中の幸いだ。だいぶ酒も抜けてきた。


 ロミ、ミト、ライカと共にガリレア城へ向かう。聖女ルーンは別行動だが、呼ばれているはずだ。


 謁見の間に案内されると、ガリレア王にルノガー将軍。研究所のレミに聖女ルーン、エマたち騎士に貴族も集まっている。


 それに父リシャール子爵に兄ロトも居るようだ。

 こちらを睨んでいる様だが気にしない。オレはもうリシャール家は勘当されているからな他人だ。



 「よく来たな。英雄たちよ。面をあげよ。」


 ガリレア王に呼ばれて挨拶をする。堅苦しいのは騎士の時代から苦手だ。

 

 「この度は帝国の危機をよく救ってくれた。それぞれに勲章と報酬を授与する。」


 貴族のお偉方がザワつく。当然だろう。この度の功績が讃えられて新しくライバルになる貴族が生まれるかもしれないのだから。


 「静まれ。予が決めたことだ。まずはサンドタウンの首長ミト。サンドタウンをまとめよくチャーチル教に立ち向かってくれた。教皇を倒したのはお主の功績も大きい。」


 ミトが元気よく返事をする。


 「ミトにはサンドタウンの領地を男爵としてこれからも発展させてくれ。功三級金騎士勲章と金貨500枚を授ける。」


 金貨500枚あれば数十年は働かなくても大丈夫だ。それに男爵は貴族入りだ。貴族の中では位は低いが、砂漠の街サンドタウンでは反帝国派の噂も流れていたから自治の意味を兼ねているのかもしれない。


 「ありがとうございます。誠心誠意務めさせていただきます。」


 ミトが報酬を受け取る。顔は後からは見えないが、覚悟を決めている顔をしている気がする。


 「次はロミ。ロミの頭脳がなければチャーチル教会に打ち負けていただろう。ロミには大賢者を名乗ってほしい。報酬として金貨500枚を授ける。これからも帝国を頭脳で支えてくれ。」


 歴史に二人目の大賢者の誕生だ。大賢者は帝国ができた1000年前に一人だけだ。

 実質今まで空席だった。魔法使いの名誉ある称号。

 ロミは天才だがこの若さにして大賢者を名乗るプレッシャーは計り知れないが、ロミなら気にせずマイペースに研究を続けるのだろう。


 「次はレミ、お主がいなければ魔法具にはたどり着けなかった。帝国研究機関長を任命する。金貨は200枚授与する。」


 レミは元々帝国の職員であるが、大出世だ。

 姉のロミに似て研究に没頭できるのは最高の環境だろう。


 「聖女ルーン、お主の今後の扱いの決定は最後まで難航した。今回の騒動でチャーチル教は解体せねばならぬ。だがお主は教皇を止めてくれた。ガリレア教の聖女として活動するのはどうかな。ガリレア教の布教に勤しんでほしい。」


 「配慮いただきありがとうございます。殺される覚悟でした。」


 ルーンの目から大粒の涙が溢れる。身は保証すると約束してくれてはいたが、不安な日々を過ごしていたのだろう。罪を償うかの様に、兵士や教徒の回復や後処理に忙しく動き回っていた。落ち着いたら話をしよう。


 「次はライカ。カノンたちと力を合わせて教皇を倒してくれたと聞いておる。まだ若いし貴族の地位や勲章が重しになってはいかん。貴族入りしたければ、大人になってから任命させてくれ。まずは、金貨500枚を授けよう。」


 ライカが金貨を受け取る。オレにこどもは居ないがこどもの成長を見守る親の気分だ。

 少しだけ泣きそうになったのは内緒だ。


 「最後は予からのお願いじゃ。カノン。」


 オレは前に呼ばれる。任命でも報酬でもなくお願いというのが気になる。


 「カノンは帝国騎士の将軍を勤めてはくれぬか。ルノガーが強く推薦してな。エマは帝国騎士の団長をになってほしい。二人には金貨500枚を授ける。」


 オレが帝国騎士の将軍だって。大出世だ。戦争に行く前であれば嬉しくて飛びついていただろう。

 だけどオレは冒険者だ。今のオレはライカや仲間たちと旅しながら冒険したい。


 「ガリレア王、申し訳ないが、王様の頼みであれば辞退させてもらうよ。エマが適任だ。貴族ではなく、一般人が上に立つんだ。帝国の新たな象徴になる。」


 オレが断ると貴族の偉い方が今日一番ザワザワした。


 「バカな。将軍職を断るとは。」

 「たしかにリシャール家が帝国の代表する騎士なんてあり得ない。」

 「バカ息子が。我の顔に泥を塗りやがって。」


 口々にオレの悪口を言っているのは聞こえるが、オレは気にしない。


 「ルノガーが言った通り断られてしまったの。それもよかろう。だが一つだけお願いしたい。帝国は共和国と停戦中だが、教会とつながっている証拠が見つかった。すぐにでも戦争に突入する可能性がある。抑止力として勇者に任命する。特にカノンを制約するものではない。ただ帝国がピンチに陥った際には力を貸してくれ。」


 素直にガリレア王が納得するとは思わなかったが、ルノガー将軍がうまく取り持ってくれたのかもしれないな。ここらへんが落としどころかもしれない。


 「一つだけ条件をつけさせていただけますか。」


 「申してみよ。」


 「新しい勇者候補が見つかったら、勇者を辞退させてほしい。勇者であろうとなかろうと帝国の力にはなります。」


 「そうだな。それでよかろう。予が責任を持って覚えておこう。」


 「わかりました。謹んでお受けさせていただきます。」


 金貨と勇者を証明するバッチを受け取る。


 「皆の者、よくやってくれた。次は帝国の街を守った者たちの勲章授与じゃ。カノンたちは下がってくれ。」


 オレたちは挨拶をして謁見の間を出た。

 金貨だけでもう一生働かなくても良いが新たな地へと旅立ち冒険しながらスローライフを送りたい。

 オレは追放されてから自由な身だからな。


 

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