懐かしき再会
それから数日、毎日がどんちゃん騒ぎで、昼夜問わず帝国主催の祝いの宴が行われた。
翌日からはロミたちは忙しそうに動き回っていた。オレだけ呑み過ごすのは申し訳ない。
オレも手伝おうと言ったが、ロミが首を横に振った。
「カノン、キミは英雄だよ。作業は裏方に任せるんだ。それに昼からのむのはカノンが望んでいてスローライフだろう。」
オレが望んだスローライフは毎日呑むことではないのだが、まあ言わんとしていることは分かる。
広場の真ん中の席に座らされて朝から晩まで飲んでいた。
ライカと話をしていると、定期的に兵士たちがやってきて乾杯が始まる。
肩をバンバンと叩かれて祝杯を上げるのを何度も何度も数え切れないくらい繰り返した。
朝から晩まで呑むことは意外と苦痛だった。流石にもう飲めない。
オレは群れるのはあまり得意じゃないみたいだな。
「ライカ。次はどこに行きたい。」
「う~ん。カノンと一緒だったらどこでもいいよ。でもオアシスはまた行きたいな~。」
宿でライカを剣に変化を頼んだが出来ないみたいだ。だが、フェンリルにはいつでも变化できるようになっていた。大きな戦力アップではあるが、それに伴い食事の量が増えた。エネルギーを大量に使うということなのだろう。
これからもしっかりと稼がないといけないな。
数日に渡り朝から晩まで呑んでいると気分が悪くなってきた。
日曜日の夜は早抜けして宿で休ませてもらう。
ベッドに横になっていると扉がノックされた。
「どうぞ。」
扉が開くと、懐かしい人達が立っていた。
「カノン、久しぶりね。」
北からはノース鉱山の頭領とニーナ。西からは走り屋のボス。南はウィル教の教皇。東のエルフ族長とカレナだ。久しぶりの再会が嬉しくて飛び起きる。
「みんな、どうしたんだ。帝都まで遠かっただろう。」
「ああ。帝国から表彰されとから前日入りしたんだ。それで、カノンに会いたいとなってな。皆で宿まで押しかけたってわけだ。」
ノース鉱山の頭領は相変わらず元気そうだ。抱きついてくるのだが、筋肉が暑苦しい。
街を守ってくれた者たちには報酬を支払うと言っていたが帝都に呼ばれて表彰されるのか。
懐かしい面々との再会に笑顔が溢れる。
「カノン、私サンタルークのギルドマスターになったんですよ。鉱山とサンタルークの兼任なので行き来するのは大変ですが、充実してます。」
ニーナさんは出世したいみたいだ。
「おめでとう。ニーナさんは優秀だから帝都に引き抜かれるかもしれないな。」
「サンドラの件とスタンビートから街を守ったことが評価されてね。でも鉱山の街が好きだからずっといようと思っているのよ。カノンもまた遊びに来てね。」
「そうか。本当によかった。心からおめでとうと言わせてくれ。」
ニーナが嬉しそうに笑った。一カ月ぶりの再会なのに、すごくニーナさんとの会話は懐かしく感じた。
◇
蠍の走り屋のボス、エーちゃんは相変わらず奇抜なファッションで帝都に来ていた。まさかこの服で式典に出るのだろうか。
「おう、カノン元気にしてたか。カノンもミトもいなくて張り合いなくてよ。早く戻ってこいよ。」
「ええ。ミトもサンドタウンに戻りたがっています。オレにもまた蠍乗せてくださいよ。」
「もちろんだ。お前は砂漠の走り屋の隊員だからな。いつでも大歓迎だ。」
「楽しみです。この騒動が落ち着いたら、最初に遊びに行く予定なので、その際はよろしくお願いします。」
ボスとグータッチをする。ボスがいなかったらロミは病で危なかった。助けてもらった感謝しかない。
砂漠のことを思い返すと、一番にカルスのことが頭によぎる。まず最初に墓参りに行きたい。
◇
「カノン、ウィル教の騎士にならぬか。」
ウィル教の教皇は教徒たちは率いて、南の街の護衛で大活躍したらしい。
一時期は戦力をほとんど失ったが、数日で立て直したのは流石の一言だ。
「オレはそんな器じゃないですよ。」
「そうか。断ると思っておったわ。南の街に来た際にはご馳走させてくれ。」
「もちろんです。魔法具の返還も落ち着いたらされる方針みたいですよ。」
「そうか。ウィル教のシンボルだから非常に助かる。カノン、キミは私の命を救ってくれた恩人だ。また遊びに来てくれ。」
そう言うと、ウィル教の教皇は部屋から去っていった。
ウィル教の帝都の会議に顔を出すらしい。
◇
「族長とカレナが帝都に来るとは思いませんでしたよ。」
エルフの族長とカレナは人間嫌いだ。それなのに褒美がもらえるという理由で帝都に来るとは思えない。
「そう言うな。ルノガーの鼻垂れが死ぬ前に一度くらいは会っておかんとのう。」
族長が笑う。
「ミトがお礼を言っていましたよ。エルフ直伝の技がなければ死んでいたと。」
「そうか。ワシらも恩返しが出来たみたいでよかったわい。」
「それにグリフォンで送っていただかなければ、教会の陰謀を止められませんでした。グリフォンをお貸しいただき、ありがとうございます。」
「フォッフォッフォ。いいんじゃよ。お礼を言うならカレナを嫁にもらってくれぬか。」
「御爺様! なんてことを言うんですか。」
「オレなんてただの放浪人ですから。もったいないお話です。」
「カノンもなに断ってのよ! 」
カレナは相変わらず元気いっぱいだった。皆もカレナの様子を見て笑っている。
皆で呑みながら楽しい時間を過ごした。ロミにミト、そしてライカも宿に戻ってきて、結局、深夜まで呑むことになった。
追放されて全てをオレは失った。
ひょんなことからライカと出会い、色々な街で事件に巻き込まれながらも、会いたいと思える大好きな人達に出会うことが出来た。こんな経験が出来る冒険者も悪くない。
仲間と集まって楽しく喋る。
こんな生活がオレにとっては今の幸せだ。
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