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戦争の始まり


 翌朝、グリフォンで送ってもらい帝都に飛んだ。


 ミトは空高く飛び立つ際に、悲鳴を上げていたが高いところが怖いのだろう。ライカは空をとぶのを楽しんでいる様だ。ライカが落ちないようにオレと一緒のグリフォンの背中に乗っている。


 ちなみに、カレナも着いてくる事は許可が降りなかったみたいだ。族長からの反対があり、ぶーたれていたがまた遊びに来ることを約束した。



 グリフォンはどんどん進む。空を駆けるのがこんなにも気持ちが良いことだとは思わなかったな。


 「カノン、このまま帝都上空に行くと敵だと思われるし、教会に感づかれる可能性もあるのさ。手前の街で降りよう。」


 「そうだな。グリフォン、あの街で降ろしてくれ。」


 グリフォンがアオンと鳴いた。


 ミトはずっとしがみついて目を瞑っている様だった。



 街の手前でグリフォンから降りて歩いて向かう。昼過ぎには帝都に着けそうだ。グリフォンにお礼を言うと、エルフの里に飛び去っていった。


 「ミト、大丈夫か。」


 「ええ。なんとかね。」


 顔色はあまり良くないが、急ぐ必要がある。歩みを進めて、昼過ぎには帝都の手前に着いた。


 「ロミ、どうやってルノガー将軍に会うか決めているのか。」


 「もちろんだよ。僕は出る前に将軍と決め事をしていたのさ。」

 

 目立たない様に、地下道から帝都に入り、どんどん道を奥に進む。細い道を進むと行き止まりだ。


 「ロミ、道間違えていないか。行き止まりだぞ。」


 「ここは秘密の通り道さ。左側の壁のここを押せば…この通り。」


 壁だと思っていた箇所が動く。どうやら仕掛け扉になっていたみたいだ。


 そこから数個は仕掛けが有り、ロミの言う通りにすると階段がある。


 「カノン、警戒しなくて大丈夫さ。僕が先頭で進むよ。」


 さっきまで蜘蛛が怖くて後を歩いていたくせに。


 扉を開けると王城の中だ。それにここはルノガー将軍の部屋ではないか。


 「待っていたぞ。カノン、それにみんな。活躍はクロスケから聞いておる。」


 ロミの使い魔のクロスケが「カァ」とルノガー将軍の肩で鳴いた。


 真っ暗な地下道を歩いてきたから地上に出ると眩しい。目が慣れてきて周りを見渡すと、ガリレア王とルノガー将軍、レミが座っていた。


 「遅くなりました。無事に二つの魔法具を確保してまいりました。」


 「カノンよ、久しいな。二年ぶりか。」


 「ガリレア王、ご無沙汰しております。」


 「カノンはもう騎士ではないのだ。そうかしこまるな。まずは座って食事を取ろう。」


 椅子に座ると机には豪勢な食事が用意されていた。食べながら、これまでの経緯の説明を一通りする。


 「そうか。こちらの調査だと、教会は既に一つは魔法具を抑えているようだ。レミが研究を続けてくれてな、もう一つは帝都にあると思われる。」


 ロミが頷き発言した。


 「最後の一つは聖女ルーンだ。ルーン本人がそう言っていた。聖女ルーンの心臓が最後のピースさ。」


 「なるほど。帝都に全て揃ったみたいだな。どうするかの。カノン達に魔法具を持ってどこかに行ってもらうか。」


 ガリレア王が長く立派な髭を触りながら言う。


 「たしかにそうですね。それで教会の企みは防げますが、議会の過半数はすでに教会の手に落ちています。帝国が乗っ取られてしまいますよ。」


 ガリレア王とルノガー将軍がうんうんと唸っている。


 「オレは教会を滅ぼすしかないと思いますけどね。逃げることもできますが、根本的な解決にはならない。」


 「たしかにな。だが、帝国が表立って教会に攻撃することはできん。」


 ガリレア国は君主制ではあるが議会が大きな発言権を持つ。攻撃して何もなければ教会に主導権を奪われるのは目に見えている。それくらいの小細工は教会はすでにしているだろう。


 「僕もカノンに賛成かな。数でも不利なんだからこちらから攻めないと押し切られるさ。」


 沈黙が続く。魔法具は確保できたのだが、次の一手が見つからない。



 「ルノガー将軍、報告です! 」


 扉がノックされて兵士が入ってきた。


 「今は大事な会議中だ。後にしてくれ。」


 「いえ。緊急事態です。教会の信者たちが攻めてきました! 」


 兵士の話を聞くと、各地で暴動が起きている報告が入ってきたらしい。


 ガリレア城にも教会の使徒が集まってくる。その数、数万人。数えられないほどの人数が城門に群がっているそうだ。


 部屋を出て走る。謁見の間の2階に上がり、帝都を見下ろす。


 なんて数が多いんだ。人だけじゃない。魔獣の姿もちらほら見える。魔道士が操っているのだろう。

 城を囲み、門は閉じられているが、無理やり開けようとしているようだ。


 「数万どころじゃない。教会の攻めてきている人数は10万人はいるかもしれませんね。」


 「まずことになったの。帝都に今いる戦力は騎士を含めて1000人程度じゃ。」


 騎士合わせても1000。100倍は戦力差があるのか。時間が経てば門を突破される。


 「…なんてことじゃ。」王様がよろめく。


 「王様は隠れ部屋に退避を! 戦争が始まった。各都市に連絡を入れよう。ギルドにも連絡。城の護衛と主要箇所の鎮圧要請を王勅令で出そう。」


 護衛の騎士が王様を連れて出ていった。


 ルノガーが将軍が陣頭指揮を取るのであれば耐えることはできそうだが、数日は持たない。


 オレたちに今できることはなんだ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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