エルフの里の英雄
目を開けるとキラキラと氷が漂っていて赤龍が放ったファイヤーブレスが消えている。
こんな魔法を使えるのはロミしかいない。後を振り返る。
「ロミ! 」
やっぱりロミだ。嬉しくて笑みが溢れる。
「カノンも成長したと思っていたけど、まだまだだね。ほらっさっさと赤龍を片付けるよ! 」
「ああ! エマ。最大火力を叩き込むぞ! 」
エマが頷く。
ミトとカレナが矢を放ち。赤龍の目に当たる。ロミがスキを突いて絶対零度<アブソリュートゼロ>を再び放つ。
赤龍は悲鳴を上げて、苦しんでいる。今だ。
「エマ合わせろ! 」
オレは叢雲斬り<むらくもぎりを>放つ。
エマの斬撃とオレの叢雲斬りが赤龍に当たり、大きな音を立てて倒れ込んだ。
終わりだ。
壺を探す。今にでもロミと話したいが、壺を壊すのが先だ。
見つけた。数個置いてあるのを剣で叩き壊す。これで魔獣たちの暴走も終わはずだ。
「任務達成だ。急いで戻って里に出ている魔獣を倒そう。」
「少し会わないうちに見違えたね。カノン。」
「お世辞は良い。数日ぶりの再会だ。急ごうエルフの里が心配だ。」
急いで赤龍の魔石と素材を剥いで、戻る。
帰り道で見かける魔獣たちの目がいつも通りだ。暴走して地上に出る感じはしなくなっている。
入り口まで戻ると、エルフの里の皆が魔獣を倒し終わり休憩していた。
「里のみんなが無事でよかった。」カレナがポツリと呟く。
「そうだな。なんとか間に合ってよかった。ありがとうカレナ。キミの案内のおかげだ。」
「ううん。カノンたちがいなかったらエルフの里は蹂躙されていたわ。ありがとう、みんな。」
族長がオレたちの元に近づいてきて言った。
「里を代表して感謝する。ありがとう。カノンたちの頑張りで魔獣の暴走が止まった。どうなることかと思ったが解決したようじゃな。まずワシの家に来てくれ。お礼がしたい。」
頷き、族長について家に向かった。
「改めてお礼を言わせてくれ。エルフの里を救ってくれて感謝する。誰も死なずに教会の陰謀を阻止できたのもカノンたちのおかげじゃ。」
「お力になれて嬉しいです。ギリギリのところでしたね。」
「カノンたちがダンジョンに入ってから、そこの少女が助太刀してくれての。住民が殺されそうなところを助けてくれたんじゃ。本当にありがとう。」
ロミが助けてくれたみたいだ。
「僕は少女じゃないけど、エルフの里が無事で良かったよ。」
ロミが照れながら笑った。
ロミは幼くは見えるが大人だ。ロミを少女に見えるエルフの年齢感は人間とはずれているのだろうな。
「お礼になにがほしい。ワシにできることならなんでもしよう。」
「指輪のような魔法具があればお貸しいただきたい。教会の陰謀阻止のために使います。」
「心当たりはある。少しだけ待っておれ。」
族長が奥の部屋に向かい、箱を持ってきた。
「これじゃ。エルフ一族が昔から大事にしている魔法具じゃ。カノンが欲しがっているのはこれじゃろう。お前になら預けられる。」
「それです。他の魔法具が共鳴しているので間違いありません。」
「受け取れカノン。それとこれもじゃ。エルフとの友好の証じゃ、それを持ってくればエルフの里に入れる。」
「ありがとうございます。」
オレは族長から【首輪】と友好の証としてエルフの髪飾りを受け取った。これで教会より二つ魔法具を確保できた。
「今日は祝いじゃ。みなも招待させてほしい。」
「ありがたい申し出ですが、すぐに帝都に戻りたいと考えています。」
「ふむ。そうか。だがグリフォンで送れば一日で帝都まで着く。馬車で数日かかるよりは良いだろう。もう日も暮れる。明日の朝一で送ろう。」
帝都の状況が知りたいが、グリフォンで送ってくれるのであれば速く帝都まで移動できるな。ありがたい申し出だ。みなの顔を見ると頷いているようだ。
「ありがとうございます。お言葉に甘えて、参加させていただきます。」
「そうか。英雄にはしっかりとおもてなしをしなければな。広場に行こうではないか。準備はもう終わった頃じゃろう。」
エルフの里の真ん中では大きな釜を出して料理を作っていた。
お酒を振る舞ってもらい、食事をする。エルフが振る舞ってくれたお肉はすごく美味しい。帝都では食べたことがない味付けでついつい食べすぎてしまった。
ミトがエルフ達と弓の実力を競い合っている。聞いたところによるとエルフ達の間では弓矢の扱いがうまい人間がモテるそうだ。ミトは美形の男に囲まれて少しだけ嬉しそうだ。
「カノン、ちょっといいかしら。」
眺めていると、横にカレナが座った。
「カレナか。今日は大変だったな。」
「その…ちゃんと謝れていなかったから。ごめんなさい。失礼な態度を取ってしまったわ。」
「良いんだ。結界を破って入ってきたのはオレたちだ。先に失礼なことをしたんだ。しょうがないだろう。」
「でも、カノンたちがいなければエルフの里は…滅ぼされていたわ。」
「ああ。教会の狙いを阻止できてよかった。」
「カノン、強いのね。」
「どうだろうな。弓矢の扱いで言えばカレナには負けると思うぞ。」
カレナが顔を赤くする。酔い過ぎているのだろう。
「ばか。」
「バカとは何だ。カレナの弓の実力はミトと同じくらいあるのは事実だろう。」
「そうかな…決めた。カノンたちについていくわ。御爺様に言ってくる。」
そう言うと、カレナは去っていった。戦力が増えるのは嬉しいが、族長は許してくれるのだろうか。
オレはグラスの酒を飲み干す。教会に陰謀を阻止して、先行して魔法具を集めた充実感を感じていた。
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