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衝突サルス戦

 サルスは連続で斬ってくる。


 なにかきっかけを。反撃するきっかけがほしい。


 奥ではミトとエマが黒龍二体と戦っているようだが気にかける余裕もない。黒龍の咆哮が聞こえた。二人の悲鳴が聞こえないから優勢なようだ。


 「なにを考えてるんだ! 集中しろカノン! 俺を落胆させるな! 」


 しまった。


 サルスの剣撃で鎧を縦に斬られる。


 衝撃でふっとばされる。鎧が防いでくれたから肉体にダメージはほとんどないが精神的にズシンとくるな。


 「情けないな。こんな男にカルスは殺されたのか。冗談だろう。なあカノン。」


 「減らず口をよくたたく男だ! 」


 オレは起き上がり駆ける。攻撃に転じる。リスクは承知だ。


 連続で斬るが防がれる。


 「ツバメ返し! 」


 音速で二度斬る。一撃目は防がれたが二撃目はサルスの腕を斬った。


 サルスの腕から血が吹き出る。


 「やるじゃねえか。もっと踊ろうぜカノン! 」


 踊るだと。そんな遊びじゃない。殺し合いだ。やるかやられるか。


 「黙れ! 」


 スキルを使えば消耗はするが傷を与えられる。勝ち筋が見えてきたな。


  もう一度ツバメ返しを放つ。


 今度こそ、手応えありだ。


 サルスの右腕が飛に剣が落ちる。これで終わりだ。


 「さすがカノンだな。甘く見ていた。だがこの形態はお前は見たことがないだろう。」


 サルスが叫ぶ。禍々しい黒いオーラがサルスを覆う。


 サルスが失った腕が生えてきて、肌の色も褐色に変化した。


 「どうだ。カノンなら俺の力がどうなったか分かるだろ。これが完成系だ。」


 サルスは人の言葉を使っているが、これは魔人化なんてもんじゃない。魔人だ。


 立っているだけで圧がすごい。近寄るだけで自分が真っ二つにされるイメージしか沸かない。


 「ビビってるんじゃねえよ。カノン。ここからが本番だぜ。」


 サルスが火の玉を5発放ってきた。


 寸前のところで転がり避ける。爆発音とともに床に大きな穴が開く。


 「おいおい、ただのファイヤーボールだぞ。俺を失望させるな! 」


 落ちた剣を拾って斬りかかってくる。


 速い。俺の2倍は速い。なんとか寸前のところでさばけているが長くは続かない。


 サルスの剣撃を剣で押し返し、距離を取る。


 「カノン、俺はお前を気に入っているんだぜ。お前は魔人になる素質がある。俺の手を取れよ。最後のチャンスだ。」


 サルスは余裕綽々な表情だが、油断はしていないのだろう。オレから目を離さない。


 「いらねえよ。オレはオレの力で強くなる。それが楽しいのさ! 」


 オレは勢いをつけて斬りかかる。


 「残念だ。それがお前の限界だ。」


 オレの草薙の剣を弾き、サルスの拳が顔面にヒットした。オレは吹っ飛ぶ。鼻から血が出ているだろう。目がチカチカする。


 「ほら剣を拾えカノン。」


 サルスが剣をオレの前に投げる。


 舐めやがって。こいつ遊んでやがる。


 血が沸騰する感覚。またあの感覚が出てきた。もっとオレに力を貸せ。オレはこいつを殺す。


 オレは無意識に笑った。


 「その顔だ! カノン、全力で来い! 」


 オレは剣を拾って草薙の剣で十文字斬りを放つ。


 「良い攻撃だ。こんなもんじゃないだろ。もっとだもっと本気を出せ! 」


 「ウォオオオオオ! 」


 次はツバメ返しからの十文字斬りを放つ。


 サルスに当たったが血は出ていない。


 「こんなもんか。残念だ。残念だよカノン。」


 サルスが剣を上段で構える。


 その刹那―――黒龍の絶命する事が聞こえた。


 これで3対1で戦える。


 「そうか。あいつらが居なければカノンはもっと本気を出すのか。」


 サルスが笑い、膝をついているミトとエマに向かって超音大爆発<エクスプロージョン>を放った。


 二人共黒龍で消耗している、避けられない。


 オレは駆け出し、二人にエクスプロージョンがぶつかる前に背中で庇った。


 衝撃で体ごと吹っ飛ぶ。鎧も完全に壊れた。


 宙に舞っている最中、遠くから見守るライカが心配そうな目をしているのが見えた。


 オレは意識を失った。




 『カノン、起きろカノン。』


 もう起きれない。このまま寝かせてくれ。


 『いつまで甘えているんだ。こんなところで終わる人生じゃない。』


 「お前は誰だ。オレはサルスと戦っていたはずだ。」


 『バカが。仲間を庇って気絶したんだ。このままここで寝ている間に皆殺しにされるぞ。』


 「そうか。オレは負けたのか。」


 『まだ負けてねえ。まあこのまま起きてもすぐに殺されるだけだがな。』


 「どうすればいい。」


 『ハッ甘えるな。自分で考えろよ。お前は猟犬だ。奇麗に戦おうとしてんじゃねえよ英雄気取りが。仲間や装備全てを使って相手の喉元に食らいつくのが仕事だろ。』


 「そうか。オレは周りを信じていないのか。」


 『そうともいうかもな。あんなやつ噛み殺せ。』


 誰だから分からないが元気が出てきた。

 

 「ああやってやる。お前は誰だ。」


 『それは……だ。ほらもう戻れ。また会うときが来るだろう。』




 オレは目を覚ました。背中に激痛が走る。起き上がるだけで痛い。


 「カノン、大丈夫なの。」


 ライカが心配そうにかけよりオレにポーションを渡してくれた。


 「ああ。戦況はどうなっている。」


 「カノンが庇って、魔法が当たって倒れたの。ミトとエマがなんとか戦っているけど…かなり厳しいと思う。あの人笑ってるもん。」


 「分かった。ポーション助かった。オレも戻る。ライカ、力を貸してくれ。变化できたらでいい、オレが叫んだらサルスに襲いかかってくれ。」


 ライカを見ると手が震えている。


 ライカの手を強く握る。


 「大丈夫だ。変化できなくても責めはしない。それにオレも怖いんだ。でも皆を、そして帝国を守りたい。できたらでいい。力を貸してくれ。」


 ライカが頷く。震えは止まったみたいだ。


 オレはミトとエマを追い詰めているサルスに後から魔法を放った。

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