砂漠の街サンドタウンへ
オレはエドガーを痛い目に遭わせた後、ロミと作戦を立てた。
西門の憲兵にロミが報告する。
「キミ、僕は魔法学校の校長ロミだ。今、僕の家の前で帝国騎士が倒れていた。助けに行ってくれ。」
慌てて憲兵が武装して駆け出す。
憲兵全員を門から引き離す事はできなかったか。憲兵が一人だけ残っている。
「ロミ様は行かれないんですか。」
どうもロミを怪しんでいるようだ。
「そうだね。行きたいんだが…今日、魔法学校での暴走があっただろ。後処理で時間が押しているんだ。すぐに出ないと調査に間に合わない。キミ、この手紙をルノガー将軍に届けてくれないか。急を要する。頼んだよ。」
「ええ。分かりました。お気をつけて! 」
ロミとライカは門から出ていった。
オレは西門から少し離れたところから、闇に乗じて、壁をよじ登った。
作戦通りだ。
◇
作戦はシンプルだ。オレからルノガー将軍に伝言しても説得力はないだろう。ただ、これが帝国の賢者であるロミからであれば話は別だ。いい加減、逃げ回るのも面倒になってきたし、牽制の意味も兼ねてルノガー将軍に手紙を出す。
オレは西門に向かいながらロミにお願いした。
「ロミ、お願いがあるのだが、ルノガー将軍宛に手紙を書いてくれないか。」
ロミは驚いた顔でこちらを見ている。
「手紙の内容はこうだ。カノンがエドガーに襲われた。帝国の意図は分かるが、私が共に旅をしてカノンを監視する。教会の怪しい動きがあり、研究がてら教会の動きを探ると。」
「それは名案かもしれないね。わかった。僕に任せておけばいいさ。」
ロミが自分の胸をドンと叩いた。
「ああ。これで帝国は一旦は手を出してこないはずだ。教会の動きは逐一報告していたんだ。整合性は取れている。」
「カノン、言っていることは分かる。でも…なぜ手紙なのさ。僕のクロスケならすぐに将軍にも伝えることができるじゃないか。」
「いやこの手紙は誰かに盗み見してほしいんだ。そうすれば教会も表立って計画を進めずらいだろう。オレと言う犬が計画を嗅ぎ付けるかもしれない。教会の動きが遅くなれば万々歳だ。それに教会の手が帝都ではなくオレに向けば返り討ちにできる。」
「なるほど。なるほど。カノンは賢くなったさ。」
「まあ悪知恵は働くようになったな。」
オレがそう言うと、ロミは笑った。
「その作戦で行こう。」
作戦は全て計画通りに進んだ。無事に魔法都市マジクトを出れたし、手紙も出せた。
◇
歩き始めて数時間は経っただろうか。
砂漠を歩くのは疲れる。足が砂に取られるからだ。それに、夜の砂漠はすごく寒い。
ライカは毛がモフモフだから良い。人間には少し寒い。
ロミが魔法で火を灯しているが、満月に近い夜だ。月明かりだけでも歩ける。
「カノン、僕は疲れたよ。冒険者と違って普段から歩かないからね。」
ロミの足取りが重い。フラフラと歩いている。
「大丈夫か、ロミ。ライカ、ロミを乗せてやってくれ。」
ライカが吠える。優しい子だ。
「ごめんよ。鍛錬不足だ。」
そう言ってロミがライカに跨がろうとした時、ロミがよろめいて倒れた。
「大丈夫か。」
ロミを起こそうと手を差し伸べると手が熱い。
慌てて額に手を当てると高熱が出ている。
「すまないね。初日から足を引っ張ってしまった。」
「良いんだ。オレたちは仲間だ。そんなときもある。」
「ライカちゃんの上で休ませてもらうよ。」
「ああ。毒ってわけでもない。環境が変わって疲れたんだろう。今日は昼からいろいろなことがあった。」
ロミが力なく頷いて目を閉じだ。
砂漠の街サンドタウンまでは、歩いて数時間はかかる。ライカに乗せて走ってもいいがロミの体に負担がかかるだろう。
ロミがただの体調不良であればいいが、地域病と言われる疫病にかかっていれば命に関わる。
「ライカ少しだけ急ごう。ロミに負担がないギリギリの速さで進もう。」
ライカがワオンと吠えた。
どんどん進むが、一面広がるのは漆黒の砂漠。本当にたどり着くのだろうか。迷ったらどうしようかと、不安になってくる。
目の前から火が何個も動いているのが見える。こちらに向かってきているようだ。
警戒していつでも剣を抜けるように準備する。
いかつい男たちが現れた。十数名はいるだろうか。皆、奇抜な髪型をしている。それにサソリに乗っている。
ライカが吠えないし、悪い奴らではなさそうだ。
「おい、お前たちこんなところでなにをしている。」
男がオレに言った。
「オレたちは冒険者だ。砂漠の街サンドタウンに向かっているんだが、彼女が熱を出してしまってな。」
「本当か。」
男の一人が駆け寄り、ロミの額に手を当てる。
「兄貴、本当だ。彼女すごく熱いぜ。」
「そうか。砂漠に来た奴がよくなる症状だ。その女を攫っているわけじゃないんだな。」
男がオレを睨む。
ロミが力なく言葉を発する。
「僕は攫われてなんていないさ。彼は仲間だ。むしろ足を引っ張ていて罪悪感で死にそうだよ。」
男が頷く。
「よしわかった。オレたちが砂漠の街サンドタウンまで送ってやるよ。」
サソリに紐をつけて引っ張っている男は正直怪しい。怪しいが、ロミの体調を考えると助けてもらうべきだろう。
「すまない。オレはカノン。そっちはロミで、この子はライカだ。」
「オレたちは砂漠の走り屋。サソリの暴走族と言えばオレたちのことよ。オレは皆からボスと呼ばれている。サソリの暴走族の頭だ。」
ボスはえーちゃんと言うらしいが、皆ボスと呼んでいる。ボスと呼んだ方が良さそうだ。
「ボス。ありがとう。助かった。」
荷台を付けているサソリにロミを寝かせる。
オレはボスのサソリの後ろに乗った。サソリは砂漠を駆ける。すごいスピードで進むが、ほとんど揺れない。サソリにこんな使い方があるなんて知らなかった。普通は馬じゃないのか。
「ボスは普段、何してるんだ。」
「まあ一応、冒険者だ。砂漠で魔獣が暴れ回ってるんだ。砂漠を走る趣味も兼ねて魔獣を狩っている。最近、悪さするやつも多くて警戒させてもらった。不快な思いをさせたな。」
外見はいかついが、すごい良い人なんだろう。
「いや、それが正しい反応だろう。ボス、感謝する。ロミを助けてくれてありがとう。」
「困った時はお互い様だろ。さあ飛ばすぜ。舌を噛まないように捕まってな! 」
サソリに乗ったオレたちは爆速で進んだ。
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