再会
デュラハンとの戦いが終わり、ライカとともに学校を後にした。
学校を出ると憲兵数人とすれ違った。人目がつかないように深くローブを被って移動した。危なかった。もう少し戦闘が長引いていればオレは捕まっていただろう。
ライカは犬型のままで元気そうに歩いているが、オレはさすがに疲れたな。
すぐに街を出られるように、商会に寄って買い物を済ませてしまおう。ロミはこの後忙しくなるだろうし、それらいの準備はしないとな。
「カノン?」
後から名前を呼ばれた。誰だ。
この街でオレの名前を呼び捨てで呼ぶ人がいるとは思えない。
顔は見せないように警戒しながら振り返る。
振り返ると、帝国の騎士No.Ⅱのエマが立っていた。
エマは帝国騎士の中で最強と言われている女性だ。身長は低く長い茶髪で目も茶色。物静かであまり話さない大人しい子だ。細身の体からは想像できない重い攻撃と魔法を操る。スキル聖騎士を持っていて、まさに帝国の騎士になるべくして生まれた女性と言えよう。
騎士に居た頃は小隊は違ったが会えば会話をする仲だった。仲は悪くはないが良くもない。
マズイことなった。どうする…やるか…。
ローブの中で剣を手で握る。エマとやりあえば無事ではすまない。オレもデュラハンロードとの戦いで万全の状態ではないし極力、戦闘は避けたい。
とりあえず他人のふりをするか。
「人違いですよ、僕はライカです。」
「うそ。カノンの匂いがする。」
エマはこういう直感も鋭い。俗に言うポーカーフェイスでなにを考えているか分かりにくい。
エマを見つめると心配そうな顔でこっちを見ている。オレは深くローブを被っていて、顔は見えないようにしている。
「魔法学校で事件が起きたから向かっているの。私にあなたの捕縛指示はだされていない。」
嘘ではないみたいだ。
他人のふりをしてもエマは誤魔化せないだろう。警戒しながらも、ゆっくりと頷く。
「久しぶりね。カノン。」
「ああ。久しぶりだな。エマ。」
「元気にしてるの。」
「まあそうだな。」
「よかった。心配していた。カノンに会ったことは誰にも言わない。安心して。」
エマの顔からは感情は読み取りにくい。
言葉を額面通りに受け取るのはどうかと思うが、エマは嘘をつくような人間ではない。
「ああ。」
「気をつけてね。帝国はエドガーを使ってカノンを探してるわ。ちゃんと顔を隠してね。」
ローブを頭からすっぽり被っているんだ。普通は気が付かない。エマがすごいだけだ。
「困ったことがあったらあの孤児院に手紙を出して。私が助けになるから。」
オレは頷く。
エマがオレの目の前に来て、抱きついた。
「心配だった。居場所は教えなくていいから定期的に手紙を頂戴。」
そう言うとエマは学校の方へと去っていった。
ホッと安堵のため息をつく。とりあえず、現時点ではエマに敵対心がないことはわかった。
あの孤児院とは騎士の訓練中にエマと休日に遊びにいっていた孤児院のことだ。エマはその孤児院の出身だったっけ。
エマは味方と考えていいのかもしれない。ライカが警戒していなかったからな。
エマが帝国に報告するとは考えにくいが、念のために一刻も速く魔法都市を出ないといけないな。オレとライカだけでも先に魔法都市を出るべきか。いやあれだけの騒動があったんだ、今街を出るには身分確認をされる可能性も高い。ロミと一緒であればリスクは少ないか。
今できることは買い物を素早く済ませて、ロミの家に帰ることだ。
商会に入ると人がごった返している。大人しく列に並ぶ。
これは買い終わるまでに一時間はかかりそうだ。
明日は砂漠を越えるんだ。サソリが多く出るみたいだし、毒消し草も購入は必須だ。その他にも生活必需品を購入した。
これで明日以降の準備はバッチリだ。
買い物が終わると、深くローブを被って商会を出た。ロミの家で休ませてもらおう。
商会を出ると、日も暮れだしている。思ったより時間がかかったな。
目の前からロミが手を振って近づいてきた。
「よかった。家にいなかったから、ここだと思ったよ。大丈夫だったかい。」
「もちろんだ。エマに見つかった。捕縛する気はなかったが、すぐにでもこの街を出たほうが良いかもしれない。」
「エマかい。それは…そうかもしれない。夜のうちに出発しようか。それまで知り合いの店で時間を潰そう。」
エマの実力はロミも認めている。警戒が必要だ。
「ああそうしよう。」
ロミの知り合いの魔法道具を販売している店の奥に案内された。数時間待機して日が沈みきったら行動開始だ。それまで体力を回復させるために仮眠を取る。
「カノン起きて。日暮れだ行こう。家で荷物だけ取ったら西へ進もう。」
よく眠れた。体力バッチリ回復できた。
オレは起き上がりロミに続いて歩く。
ロミの家の周りには誰も人の姿見えない。罠が仕掛けられてもいなさそうだ。
念には念を入れる。オレは家に入らずに警戒する。
数分後にロミが出てきた。
急いで西門に向かおうと歩き始めると、男が叫んだ。
「カノオオオオオオオオオン!会いたかったぜぇぇぇ! 」
振り向かなくても分かる。この不快な声。エドガーだ。
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