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魔法学校の教師と対峙する。

 ロミが先導して校庭に移動する。


 アドルフは「ロミ校長、俺の勇姿を見ていてください。」と張り切っているが、今はそれどころではない。教会の尻尾が掴めたんだ。早く終わらせてロミと話そう。


 アドルフと数メートル距離を取って対峙する。


 生徒が集まってきてこちらを見ている。校門の横にあるのだ。そりゃ決闘が始まれば見るよな。気持ちはわかる。


 「ルールはどうしようか。なんでもいいんだけど、アドルフは武器はあまり使えないから、武器禁止の勝負っていうのはどうだい。」


 オレは頷く。正直なんでもいい。


 「もちろんだ。ロミ校長。オレは魔法学校で次期校長になると言われているんだ。せいぜい痛い目にあっても泣きごと言うなよガキ。」


 「オレもそれでいい。次期校長なんて自分で言うやつに負けるわけがないからな。」


 さすがにロミとの会話を何度も邪魔をされて苛ついてきた。


 「僕が辞めと言ったら終わりだよ。それでは、始めっ! 」


 アドルフが詠唱して呪文を放つ。


 ファイヤーボールだ。


 ファイヤーボールが三発飛んでくるが、オレはサイドステップで避ける。


 生徒たちが「すごい移動の速さだ。」「アドルフ先生のファイヤーボールも疾いぞ」と騒いでいる声が聞こえる。


 「どうしたそんなものか。魔法学校の教師でも詠唱しないと魔法も使えないのか。」


 「ふん。まだこれからだ! 無詠唱が見たいなら見せてやるよ! 」


 アドルフが無詠唱で炎の嵐<ファイヤーストーム>を放つ。炎の嵐<ファイヤーストーム>は火の中級魔法だ。爆発するので、避けると爆風に巻き込まれるな。


 オレは無詠唱でウォーターウォールを出す。


 水の壁を作り出し、ファイヤーストームと相殺する。


 「なっ…お前もまさか無詠唱が使えるのか。」


 アドルフが驚いている。


 生徒たちも無詠唱を見てざわついている。


 「アドルフ、もういいだろう。魔法使いなら相手の実力くらいもう分かるだろ。」


 「うるさい。まだ俺の攻撃は終わっていない。」


 アドルフが詠唱を始める。


 詠唱時間が長い。


 無詠唱でサンダーボルトを打ち込めばすぐに終わるが、次期校長と言われる魔力がどれくらいの魔法を使うのか見てみたくなった。


 やっと詠唱が終わったみたいだ。


 「喰らえっ! 最上級火炎魔法インフェルノ! 」


 ほう。詠唱を長くすれば最大級火炎魔法が使えるのか。威力は十分だ。


 オレも無詠唱でインフェルノを放ちぶつける。同じ呪文がぶつかれば、魔力が強いほうが残る。


 オレのインフェルノがアドルフのインフェルノの飲み込み、アドルフに直撃した。


 「ぎゃああ。熱い。」


 アドルフが苦しんでいる。これで終わりだ。


 生徒たちはかたずを飲んで見守っているようだ。


 ロミを見るが、まだ決闘を止めようとはしない。


 アドルフに目を向けると、魔法を詠唱している。


 「魔法だけの決闘とは言ったが、召喚は禁止とは言われていない。来いっデュラハン。」


 先程、ロミの部屋にいた、デュラハン二体がノシノシとアドルフの前に来る。


 「デュラハンは魔法が効かないはずだ。卑怯じゃないのか。」


 デュラハンには魔法は効かない。物理攻撃で押し切って鎧を壊すしか倒す方法はない。


 「ふん。ロミ様は武器禁止とだけ言ったんだ。形勢逆転だな。」


 デュラハンが交互に剣を振るう。


 武器は使ってはいけないということは、素手での物理攻撃ならいいということか。


 無詠唱で、速度アップ・攻撃力アップのバフをかける。


 「オラッ! 」


 デュラハンの剣を避け、強化した膝をデュラハンの鎧に叩き込む。


 鎧が割れるが、膝も割れるほど痛い。泣きたくなる痛さだ。


 膝を叩き込んだデュラハンは動かなくなった。後一体。痛いが我慢しよう。


 アドルフがファイヤーボールを数発放ってくるが、難なく躱す。遅いんだよ。


 もう一体のデュラハンに先程と同じ要領で、おもいっきり膝を叩き込む。


 鎧が砕け散る。膝も砕け割れそうだ。今更後悔しても遅いが、防御力アップのバフを掛けておけばよかった。


 デュラハンが大きな音を立てて崩れ落ちた。これで最後だ。


 「もう降参しろ。お前に勝ち目はない。」


 アドルフが最後の足掻きでファイヤーボールを無詠唱で放ってくるが、当たるわけがない。


 「まだやるんだな。どうなっても知らんぞ。」


 「うるせえ。うるせえ。ロミ様は俺のものだ! 」


 アドルフの言う事はよくわからないが、まだやる気だ。痛めつけるのではなく、心を折るしかない。


 俺はアドルフから距離とをって詠唱を始める。


 「全てを焼き払え! 『流星の輝き<メテオインパクト>』」


 上空から幾千もの火球が落ちてくる。オレが使える最大の魔法だ。


 「そこまでっ!決闘はここで終わりさっ! 」


 ロミが宣言して、杖を振った。絶対零度<アブソリュートゼロ>を放ち、空中に水と氷の膜を張りった。落ちてくるメテオインパクトを吸収した。


 さすがはロミだ。オレの最大魔法を一瞬で打ち消すなんて。


 生徒たちが歓声を上げる。


 「すごい戦いだ。あの冒険者も一流の魔法使いだ。」

 「いやロミ校長が一番強い。」

 「あの冒険者かっこいい。」

 「ねえアドルフ先生漏らしてない。」

 「汚い。」

 「いつも偉そうだしざまあみろだな。」など生徒たちは好き勝手に言っているのが聞こえる。


 アドルフを見ると、地面に倒れ込んでいる。腰を抜かしているのだろうか。それに漏らしている。大の大人が恥ずかしい。


 「きょっ…今日はここらへんにしておいてやる。」

  

 アドルフは校舎の中にそそくさと帰っていった。


 「お疲れ様。カノン。さすが僕が直接育てただけはあるね。うんうん。魔力も上がっているし、強くなったねええ。」


 「ロミ、こうなるのが分かっていて、あんな決闘の条件にしたんだろ。」


 ロミが嬉しそうに笑う。


 「さすがはカノンだね。頭も切れる。カノンの実力が見たかったのさ。まあでもカノンの全力は見れなかった気がするけどっね! 」


 「まあいい。早速家に行こう。お腹もすいたし、話がしたい。」


 「それもいいけど、生徒たちにサインをしなくていいのかい。」

 

 生徒たちがオレとロミをじっと見ている。


 「オレは有名人でもなんでもない。ただのランクDの冒険者だ。サインなんてしないよ。」


 生徒たちが「あの強さでランクD」「あり得ない強さだろ。」「宮廷魔道士にもなれるじゃん」と話しているのが聞こえる。ギャラリーが居ると気が散るな。


 「冗談さ。さっ、生徒の皆も気をつけて帰るんだよ。僕たちも行こう。お腹が空いた。」


 そう言うと、ロミが校門に向かって歩き出す。


 ロミが自由だ。ロミが戦えと言ったのに、もう自分の空腹にしか興味がない。


 人によってはデリカシーがないと言う人もいるだろうが、オレにはロミのこの感じが心地良い。物事を偏見や地位、立場で判断しないからだ。


 ロミを追いかけてライカと歩く。


 教会の件でやっと真相に迫れる。楽しみだ。

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