魔法都市マジクトへ
狐の村を出て、魔法都市マジクトへ向かう。
歩けば数時間の距離だ。急ぐ理由はない。このまま歩けば夕方には着くことができるだろう。
ライカは人型のままだ。これで三日連続で人型だ。
人型でいる期間が伸びているのか。ライカに狼に戻れるのかと聞くとクビを横に振る。ライカに関してはわからないことだらけだ。もう少しフェンリルに聞いておけばよかったな。
「まあでもライカが人型でいることは、マジクトに行くのには好都合だ。」
「それってどういうこと。まさか…私、実験に使われるの。」
ライカが怯えている。まるで小動物みたいだ。すごくかわいい。
「魔法都市マジクトに行く目的はとある人に会うことだ。」
「その、ある人って誰なの。」
「彼女は魔法の若き天才。『帝国の賢者』と言われていて、魔法都市の魔法学校では校長を勤めているらしい。性格に少し難があるのだが…それはあったら分かるさ。ほらもう着く。さっそく街に入ろう。」
魔法都市マジクトは名前の通り、魔法使いのための街と言っても過言ではない。街を行き交う人は、ほとんど魔道士のローブを着ているのだ。魔法学校も帝都の魔法学校に並ぶ名門で、魔法を学ぶため魔法使いがいっぱい居る。いや魔法使いしかいない。
ここでは冒険者の格好は目立つが、買うのはもったいない。後で借りればいい。
魔法学校に向かって歩く。魔法学校は街で一番大きい建物だ。城を使用していて、デカデカと魔道士の杖が書かれた垂れ幕がかかっている。街に入れば場所は一目瞭然だ。
校内は学生でごった返していた。ちょうど学校が終わった時間なのだろう。
一人の生徒に声をかける。
「すまないが、校長室まで案内してくれるか。校長の友人なんだ。」
「えっ。校長室は入って左手の一番奥の部屋です。」
そう言うと、生徒は走り去っていった。冒険者の姿をしていて驚かせてしまったのか。いや、オレが不審者に見えたのだろう。
校長室と書かれた部屋の前まで来た。
扉をノックする。
「どうぞ~開いてるよ~」
中に入ると、ロミが机に座って本を読みふけっている。本がオレの身長より高く何重にも積まれていてる。本が崩れたら潰されるぞ。
「それでキミは僕に何のようかなっ。」
「いやあ、久しぶりだなロミ。」
オレの声を聞き、ロミが顔を上げる。目が嬉しそうに輝き、オレに飛びついてきた。
「カノンじゃないか。どうしたのさ。それに何年ぶりだい。大きくなったね。今は元気なの。そう言えば、戦争終わったけど帝都の騎士は最近どうだいあまり良い噂は聞かないけど。うんうん。元気そうで何よりだよカノン。」
そう。ロミは話し始めると止まらないのだ。
ロミとは騎士の訓練過程で魔法講師として招かれていて出会った。魔法を教えてもらっていたのだが彼女とはウマがあった。講師が終わってからも個別に連絡と取っていたのだ。
ロミはエドガーから影で『ロリっ子巨乳変態僕っこメガネ』と言っていたがあながち間違いではない。身長は145センチ程度。年齢は秘密みたいだがもう三十歳は超えているのではないだろうか。髪色は青色で、眼鏡の縁も青色。青色がトレードマークだ。
「落ち着いてくれ。ロミ。こちらはライカ今共に旅をしているんだ。」
「ふむふむ。美少女だね。なにやら特殊な匂いがするけど…」
「はじめまして。ライカです。よろしくお願いします。」
ライカが丁寧に頭を下げる。ロミが笑顔でライカに近づき観察している。
「うんうん。僕はロミだよ。それでライカちゃん君はなにものだい。」
ライカは不安そうにこちらを見ている。オレは口を開く。
「ライカはフェンリルらしい。らしいというのは詳しいことはよく分かっていないんだ。」
フェンリルとのやり取りをロミに説明した。
「なるほどね~だから特殊な匂いがしていたのか。うんうん。やっぱり僕の考えは間違えていなかったさ。」
ロミは悪いやつではない。むしろ良いやつだが、知識欲が優先順位の一番にある人間なのだ。オレが言うのも何だが、普通の人間ではない。少し変わっている。天才とはこういう人を指す言葉なのだろう。
「それで、カノンはなぜ魔法都市まで来たんだい。まさかリシャール家との間を取り持ってくれなんて愚かなお願いは辞めてくれよ~。」
「オレはもうリシャール家とは何にも関係ないさ。」
「冗談さ。ごめんごめん。どうも最近、教師たちからユーモアが足りないと言われていてね。挑戦しているんだけど難しいね。」
少しムッとしたのが顔に出てしまったのだろう。
悪気のない顔で謝られると毒気を抜かれる。ロミには悪気がないのだ。本気で謝ってくるとつい許してしまう。
「ああ。今回は以前依頼していたオレのスキル<猟犬>とライカのことを帝都一の頭脳を持つ賢者ロミなら何か知っているのではないかと思ってね。」
「なるほどね。猟犬については二年間かけて少しだけ調べがついたよ。ライカちゃんのことはそうだな。実験させてくれるなら少しは分かると思うよ~。」
実験は冗談だろうが、すごく冗談なのかどうか分かりにくい。
「そうか。実験と言ってもライカが嫌がらない範囲でお願いするよ。」
「もちろんだとも。一緒にお風呂に入ったりするだけだよ。魔法都市にはどれくらい滞在するんだい。」
お風呂に一緒に入るのは普通、実験とは言わない。
「そうだな。特に日にちは決まっていない。今の職業は冒険者だからな。」
「カノンが冒険者!! 驚いたよ。いやでもカノンが帝国の騎士で収まる器ではないし、いい選択なのかもしれないねっ! 」
ロミが返事を聞かずに言葉を続ける。
「今日の仕事はもう終わりだ、僕の家に泊まるだろう? なに遠慮はしなくていいさ。最後に会ってから二年ちょっとの話を聞かせてくれよっ。」
宿代がかからないのは正直ありがたい。それにロミに話すことは山ほどある。聞きたいこともあるしな。
「もちろんだ。甘えさせてもらうよ。」
ロミがうんうん。と頷いていると扉がバンと開いた。
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