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騎士エドガーの災難Ⅲ再びカノン捜索へ

 それから毎日の様に俺様たちはダンジョンでの討伐命令をこなしていた。


 シイナがリーダーなのは気に食わないが、討伐命令はうまくこなせている。シイナがリーダーだといつか失敗すると思うが。


 少し前まで俺様たちをバカにしていた城の奴らも最近では尊敬の眼差しで見ている。


 だが、納得がいかない。


 俺様だけ団長の地位を失っているんだぞ。


 俺様だけが理不尽な目にあって良いのか。カノンを探す道中、遊んでいたのは事実だが。


 クックック。


 そうだ。シイナの足も引っ張ってやる。


 俺様が真の騎士団、団長なのだから。





 今日もルノガー将軍に俺様たち第二小隊は呼び出された。


 「将軍、今日もダンジョンでの討伐ですか。」


 現リーダーのシイナが偉そうに質問する。それは本来、俺様の仕事だ!


 「いや、ダンジョン討伐は当分ない。今日はカノンの件だ。」


 四人とも唾を飲む。


 「父上、カノンの目撃情報はあるのでしょうか。」


 「いや、ない。ただワシ宛に私用の手紙は届いてな。お前たちカノンがどこに居るか心当たりはないかと思って呼び出させてもらった。」


 チッ。またカノン…またカノンだ。会ったら絶対にしばく。


 カノンが全てを台無しにした。諸悪の根源なんだ。


 最近、教会のお偉方も俺様のことをエドガーと呼ぶようになった。数日前までは団長様だったんだぞ。


 ふざけるな!


 「そうですね。ノース鉱山支部ギルドマスターのニーナはカノンは東に行ったと言っていましたが。」


 「ふむ。なるほど。東か。東の大きな街と言えば、迷宮都市メイロンか。」


 ここは俺様の実力をビシッと見せつけるところだな。


 「父上、カノンは東ではありません。その女がカノンを庇っていると思います。」


 「ほう。その心は。」


 「ニーナと話した感じ、時間稼ぎしているような気がしました。カノンがいないダンジョンに案内したりと不可解な点が多い。帝国に協力的ではありません。素直にニーナの言葉を信じると痛い目に合うでしょう。」


 「なるほど。たしかにそうだな。」


 父上が頷く。


 「ええ。鉱山から北は共和国側ですし停戦して間もない行く理由がありません。東はニーナがいったから可能性は低い。南は帝都で見つかる可能性も高い。と言うことは…西のここです。」


 地図に書かれている魔法都市マジクトを指さす。


 決まった。これで俺様はまた褒めてもらえるはずだ。これが元団長様の実力だ。


 父上と、シイナが目をあわせる。


 「そうだなエドガーの言うことも一理あるな。お前も反省しているみたいだ。団長に戻るのもそう遠くなさそうだ。父として嬉しい。よりいっそう励め。」


 「ありがとうございます!!! 」


 嬉しくてニヤケが止まらねえ。我が父上ながらあめえよ。俺様は反省なんか一切していない。全ては団長に戻るため、そして将軍の地位を奪うための演技だ。


 「シイナ、教会はカノンの居場所などなにか言っているか。」


 「いいえ将軍。教会は何も。引き続き、カノン捜索の手伝いはすると言っておりました。」


 最近、俺様が教会に行っても相手にされないのに、シイナがリーダーだから教会から可愛がられているのか。ムカつくぜ。


 父上は顎に手を当て考えている。


 「お前たちの戦場での報酬は王様がカノンの身と引き換えだと言っている。これはワシでも覆せない。どうだ、魔法都市マジクトにカノンを探しに行くのは。お前たちは変わった。今度こそ成功するだろう。」


 団員四人で顔を見合わせる。


 「それは命令ですか。」


 シイナが父上を見つめて言った。


 「いや、提案だ。騎士も人手が足りておらんが。お前たちが少し不憫に思えてな。ワシから先に報酬を金貨100枚ほど渡そうと思う。色々と準備に金もかかるだろう。」


 皆の目が輝く。金貨100枚ももらえるのか。数カ月は遊べるな。


 「分かりました。報酬感謝いたします。カノンの件、全力で取り組みます。」


 シイナが優等生の発言をする。こいつには裏がある。父上、信じではいけません。


 「ああ。カノンの件、早急に頼んだぞ。王様から報酬をもらった暁には、しっかりとワシに返すように。」


 「もちろんです。有効に使わせていただきます。将軍、私がカノン捜索のリーダーで問題ないですか。」


 「そうしてくれ。次こそ失敗は許されない。言っていることはわかるな。もし失敗したら全員、位は下げさせてもらうし、今後はNo.2のエマがリーダーになってもらう。王様の命令だからな。かばいきれん。」


 エマは帝国騎士で天才と言われる少女だ。あんな奴がリーダーになっていまえば、俺様の将軍への道も遠ざかる。


 シイナがリーダーなのは気に食わないが、まずはカノン確保が先だ。どんな手段も選ばない。


 「分かりました。私がリーダーであれば失敗の二文字はありません。早速明日の朝には帝都を立ちます。」


 「そうだな。魔法都市マジクトへ行くには山を超えなければならない。あの道は険しいし馬車は使えんだろう。しっかりと準備をして行ってっくれ。期間は一週間だ。捕獲できなくても帝都に一週間で返ってくるように。ワシはこれから会議の時間だ。ここで失礼する。」


 皆で敬礼して父上が部屋を出るのを見送った。


 「シイナ、偉そうなこと言ったんだ。カノンを確保する策はあるのか。」


 クロスナーが疑いの目でシイナを見つめる。


 「まあ見ていてちょうだい。その代わり、カノンがいたら私一人で行くわ。大丈夫。自信はあるもの。」


 そう言うと、シイナがニヤッと笑った。


 「まあ策があるなら。従うぜ。俺はカノン確保して金貨さえ貰えれば良いんだ。」


 クロスナーは単純な男だ。俺様が団長に返り咲いて操ってやる。


 「そうね。各自山越えの準備をして、明日の朝、鐘が鳴る時間に西門前集合してちょうだい。一秒でも遅れたらおいていくから。」


 そう言うとシイナが去っていった。


 俺様は考える。シイナの評価を落として俺様の評価を上げる方法は何かないか。


 そうだ。俺様が一人でカノンを確保すればいいんだ。


 それで言ってやる。シイナは無能で、俺様一人で確保しましたと。俺様が団長の器なのだと。


 まだまだ、神は俺様のことを見放していないみたいだな。


 カノン待っていろよ。

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