騎士エドガーの災難Ⅱリーダー剥奪
その週はシイナの家で謹慎期間を過ごそうと思ったが、シイナが予定があると言われて断られた。
渋々、実家で過ごした。
父上と顔を合わせるのは少し気まずかったが、反省しているふりをした。
週が明けると、父上に騎士団メンバーに集合がかかった。
ついに謹慎が明けた。俺様の成り上がりはここからはじまるんだ。
「謹慎明けそうそう呼び出してすまない。入用でな。ワームロードの魔石が必要になった。三十階のワームロードであればお前たちで倒すことができると思うんだが、やるか。できなければ第一小隊に回すが。」
「ルノガー将軍。私たちにお任せ下さい。お前たちやるよな。」
シイナ、クロスナー、フラメルが頷く。
「そうか。よし、それでは頼むぞ。今回の依頼はシイナお前がリーダーをしてもらえるか。序列から見てもシイナが適任だろう。」
シイナが目をぱちぱちさせる。
「私でよろしいのでしょうか。」
「ああ。急な依頼だししょうがないだろう。帝国は人材不足だ。たとえ、毒であろうと利用させてもらうさ。」
父上が何を言っているか頭に入らない。理解が出来ない。
俺様が団長だったんだ。リーダーは俺だろ。
「ちょっとまってください。パパ、いやルノガー将軍! ここは私がリーダーとして結果を出します。」
「そうか。良いのだな。もしミスをしたら…エドガー、どうなるか分かってるな。」
ルノガー将軍が俺様の目を見つめる。
「どっ…どうなるのでしょうか。」
「そうだな。少なくとも一カ月は馬小屋の掃除係だ。」
馬小屋の掃除係なんて騎士のやる仕事ではない。なんて重い罰なんだ。臭いし汚いし、皆が嫌がる仕事だ。
でもこの依頼を達成できれば、団長に戻れるかもしれない。
「エドガー黙ってちょうだい。私がリーダーに任命されたのよ。」
くそっ。先日からシイナが調子に乗っている。俺様の凄さを分からせないといけないが、殴られるのは困る。
「まあ争うならワシが決めるが…今回の依頼はお前たちでリーダーを決めろ。その代わり失敗は許されぬぞ。」
三人と顔を見合わせる。
皆、自分がリーダーになれると思っている顔だ。
誰も発言しない。無言な時間が流れる。
「明日にはダンジョンに向かってくれ。リーダー等決めたら報告に来るように。それでは、ワシはここで失礼する。」
そう言うと、ルノガー将軍は去っていった。
父上が去ってからも、沈黙が流れる。
ここは元団長の俺様がリーダーシップを発揮してメンバーを認めさせるべきか。
「今回の依頼は、将軍は俺たちを試している。」
それっぽいことをゆっくりと言うのが説得力を増す話し方らしい。
「それで、エドガーは何が言いたいのよ。」
シイナがまたも俺様の話の腰を折りやがる。
「つまり、なんだ、その…失敗は許されないということだ! 」
どうだ。決まっただろ。
「まあ、エドガーの言うことも分からなくはない。俺たちに失敗は許されない。誇り高き帝国の騎士なのだから。」
クロスナーよく言った。
「それで、どう決めるんだい。僕がリーダーをやってもいいと思うけど。」
フラメルは自分がリーダーだと思ってやがるな。生意気だ。俺様が殴れば一撃なのに。
「そうね。私が最初にルノガー将軍から任命されたのだから私がリーダーで良いと思うけど。エドガーが話を止めなければ私がリーダーだったはずだし。」
このアマ…いつか泣かす。
よくよく考えれば、三十階のワームロードなんて負けるわけがないんだ。つまり簡単な依頼だ。是が非でも俺様がリーダーとなり成功させて評価を上げたい。
「待てよ。俺様が元団長だったんだ。俺様がリーダーをやる。汚名返上する機会があってもいいだろう。」
「それで、カノンの確保も失敗したでしょ。いいわ。私がリーダーやるから。」
この女、口だけは達者だ。
「まあエドガー、今回はシイナにリーダーを任せようぜ。」
くそっ。クロスナーは単細胞のバカだ。ここは俺様を推すタイミングだろうが。
「これで二票が私ね。フラメルとエドガーは自分に一票ずつかしら。」
「わかったよ。僕もシイナがリーダーで良い。エドガーもいいだろ。」
これで三対一だ。降参するしかないだろう。
「これで決まりね。それじゃあ明日、朝10時にダンジョンの入口集合で。私はルノガー将軍に報告してくるわ。」
そう言うとシイナが去っていった。
クロスナーとフラメルもシイナに付いて部屋を出る。
俺様一人だけ部屋に残された。
納得がいかない。机をバンと叩く。全てカノンだ。カノンが悪いんだ。
◇
三十階のワームロードは弱かった。
見た目はでかい虫。こんな敵に負けるはずがなかった。
魔石を持ち帰ると特にシイナは父上に褒められていた。クロスナーもフラメルも褒められてまんざらでもない顔をしている。
実に面白くない展開だ。
今後もシイナがリーダーで行く方針らしい。
父上は将軍だから、父上が言うことは絶対だ。
俺様が団長に戻るには、カノンを捕まえるしかない。
カノン、待っていろよ。俺様は一人でもお前を捕まえるからな。
カノンを捕まえて報酬の金貨をすべて俺様のもの。シイナも跪かせてやる。
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