狐の村の不思議②
勢いよく宿を飛び出す。雨は昨日よりも強くなっている。
東西南北、四箇所を周らないといけない。東から時計回りでいこう。
地図を見せてもらったかぎり、北に本殿があるから、そこは最後だ。
まずは東だ。
村は大きくない、祠までは五分も走れば着く距離だ。
見上げると祠には、黒いモヤがかかっている。
嫌な予感がするな。
黒いモヤから何かが二人現れる。
狐のお化けだろうか。剣を持ち階段からこちらを見下ろしている。
これが例のお化けだろうか。
狐人が階段を一気に駆け下りて、斬りかかってくる。
剣で受ける。
剣同士が激突する
高い金属音が木霊する。
受けられるならやりようがある。
剣で受けて狐人に斬りかかると手応えはない。
ふむ。なるほど。お化けというのは事実だろう。
物理攻撃が当たらない敵なら、魔法だ。
無詠唱でサンダーボルトを放つ。
狐人に当たるが、どうも痛がる様子もない。
チッ面倒だな。
狐人二人は一気に襲いかかってくる。
剣も妖しく光っている。これは剣を叩き落として無力化もできなそうだ。
バックステップで避けて、階段を駆け上がる。
倒せない敵と戦っていても時間の無駄だ。
祠にたどり着くと、ツボが置いてある。
以前、フェンリルの森や鉱山で見たツボとは色が違うが、教会が置いたツボだろう。
後から狐人二人が斬りかかってくるが避けて、先にツボを叩き壊す。
そうすると、狐人二人は消えていった。
「あっ…ありがとう。」
安らかに眠りについていたところを、無理やり動かされていたのだろう。死者への冒涜だ。教会のやつらめ。手段を選ばないのか。
ツボを壊すと、ここらへんを覆っていたモヤもなくなった。
なるほど。やはりこのツボで呼び出していたのだろう。
嫌な予感がする。急ごう。次は南だ。
南の祠でも先程の同じ様に狐人が二人いるようだ。
無視して、一気に階段を駆け上がる。
ツボを一閃で壊す。
後、二箇所だ。次は西。
西の祠まで走ると、今度は人の姿が三人見えた。これは狐人じゃない。
「おい、そこで何してる。」
三人は呪文を唱えているようだ。
させるか。
呪文を阻止するために階段を駆け上がる。
一人が呪文詠唱を辞めて斬りかかってきた。
「おまえ、邪魔するな。」
「うるせえ。どうせ教会の人間だろ。」
「なぜそれをっ…お前まさか、カノンだな。」
「どうだろうな。死ねっ。」
剣で一閃。
教会の人間が胴体を真っ二つだ。残り二人。
もう一人も慌てて斬りかかってくる。
「遅い。」
再び、一閃で屠る。残り一人だ。
「お前、詠唱を辞めて投降しろ。悪いようにはしない。」
何をしているか。少しだけ痛い目に合わせて吐いてもらうが。
「バカがもう終わったんだよ。」
男は斬りかかってくる。
正直、遅い。こんなの当たるわけがないだろう。
剣で受け、カウンターで斬る。
手応えありだ。
教会の男の腹から血が出る。
お腹を手で押させている。
「さすがは、カノンだな。お偉方が警戒しろと言うはずだ。」
「ほう。そうか。」
「だが、これでお前の負けだ。」
教会の男は何かを飲んだようだ。
禍々しいオーラを感じる。
体も傷が消え、筋肉も出て、魔人のような角も生えている。
魔人化というやつか。戦時中に共和国側が開発していると聞いたことがある。飲んだ者の能力を一時的に劇的に上げるものだ。意識もなくなり、味方も攻撃するようになるため開発停止したと聞いていたが…
「我が名は教会の三銃士ことアルス。カノン、お前を殺す者の名だっ! 」
アルスが斬りかかってくる。
速い。
ギリギリのところで剣で弾く。少しでも油断して剣を下げていたら、一撃でやられていた。
「遅いぞ。カノン。猟犬の実力はこんなものか。」
連続で斬る。
剣で弾き、バックステップで躱す。
このままではジリ貧だ。
距離を取り、無詠唱で速度アップ、筋力アップのバフをかける。
次はこっちの番だ。
駆け出し、アルスに斬りかかる。
連続で斬る。反撃するスキを与えない。
速度ではイーブンか。
アルスはたしかに強い。強いが勝てない相手ではない。まだまだ実践の数で差がある。
わざとスキを作り、アルスは好機と見て剣で突いくる。
―――今だっ
寸前のところで半身で躱し、足を蹴りよろめいたところで、腹を斬る。
手応えありだ
アルスの腹から血が出て、倒れると思ったが、倒れない。
アルスが距離を取る。
今ので確実にやったと思ったが、致命傷ではないみたいだ。どうも防御力もかなり上がっているようだ。
「ここまで強いとはな、カノン。お前はここで消さないと教会の脅威になる。」
「ほざくな。追い込まれているのはお前だ。」
「ふん。愚か者め。我には全然ダメージが入っていないぞ。」
アルスが斬りかかってくる。
先程よりも速い。
急いで、バフを重ねがけする。どこまで能力が上がるんだ。この魔人は。
バフの重ねがけをしていなかったら、まずかった。
余裕でさばける。
「どうしたこんなもんか。教会の三銃士も大したことないな。」
剣でさばき、オレの余裕を感じさせるように煽る。
「うるさい。教会に逆らう異教徒がっ。」
スキル水平斬りで一気に決着をつけよう。
顔を真赤にしてアルスが斬りかかってくる。スキも当然大きくなる。
がら空きになった左腕を水平斬りで一閃。
アルスの左腕が飛ぶ。
「バカなっ。なぜ。俺様が負けるわけがない。くそっなぜだ。魔人化は最強じゃないのか。」
アルスの左腕が斬られたことで動揺しているようだ。
「ふん。魔人化しようが弱いものは弱い。それだけだ。」
「くそっ。ふざけんな。これさえ終れば、俺は出世できるんだ。カノンを殺せば、将軍にだってなれるはずなのに。殺す。殺してやる。ぶっ殺す。」
アルスが叫ぶ。羽が背中から突き出る。先程により角も長くなっている。
先程より数倍は強くなったのだろうか。人の姿をもう留めていない。ここまで来るともう化物だ。
俺はアルスを見つめて笑みがこぼれた。
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