表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/95

旅立ち

 その日のノーズ鉱山防衛成功のお祝いは広場でずっと続いた。


 皆は楽しそうに飲んでいるし、何回も前に立たされてスピーチをさせられた。


 かなり恥ずかしかったけど、何とも言えない気持ちになった。人に求められることがこんなに幸せだとは思わなかった。


 だいぶ酔っている人が多くなっていく中で、ニーナさんが隣に来て座る。


 「カノンさんのお陰で街は救われました。」


 「いえ。ニーナさんまでそんな事言わないで下さい。」


 「カノンさん…街から出ていくんですか。」


 ハッとする。まさかバレるなんて思わなかった。


 頷く。


 「ええ。今日中には出ていこうと思っています。」


 「そうですか。寂しくなりますね。」


 ニーナさんが空を見上げる。


 「カノンさん。これ。」


 ニーナさんが袋を手渡した。


 中を確認すると金貨が入っている。


 「どうせ皆に黙って出ていくんじゃないかと思っていました。先に報酬をお渡しします。」


 ニーナさんは気が利く女性だ。


 「ありがとうございます。」


 「お礼言うのはこっちのほうですよ。私はずっとカノンさんと居たかったな。」


 沈黙が続く。



 ニーナさんが口を開く。


 「ギルドとしてカノンさんを保護することが決まりました。帝国から要請があっても引き渡したりしません。冒険者ギルドとして人を救ってくれていますので当然ですが。それに、新しく冒険者カードを作っておきましたので、これからはこちらを使ってくださいね。」


 ギルドカードを手渡される。名前がカノンと書かれており、ランクもDと印刷されている。


 「すみません。こんなによくしてもらって。すごく嬉しいです。」


 「後、帝国は騎士団を使ってカノンさんを探しているみたいです。エドガー団長が指揮を取って探しているみたいです。注意してくださいね。この街に来たときには、別のところに行ったと嘘ついておきます。」


 ニーナさんは笑った。


 何から何までニーナさんにはお世話になりっぱなしだ。


 「ニーナさん何から何までいつもありがとうございます。」


 「いいえ。これくらいしか私に出来ることはありませんから。」


 ニーナさんの横顔は奇麗だ。月の光で茶色の髪が輝いて見える。


 「カノンさん、私はギルドの職員だから、付いていきたいけどそれは叶いません、最後のお願いです。もう少しだけ二人きりでいさせてください。」






 ニーナさんとお別れをして、ライカとこっそりと街を出る。


 街道を歩いていると、後から爆発音が聞こえた。振り返ると大きな花火が上空に輝いている。


 頭領たちが送り出してくれたのだろう。


 笑みが溢れる。


 街を救えてよかった。


 今日のうちにサンタルークまで辿り着こう。


 街道を歩いていると、木の影から男が現れた。


 「待て。カノン。」


 警戒して剣に手をかける。声をかけた男の顔は見えない。


 「お前のせいで、散々な目にあった、ふざけんなよカノン。全てが台無しだ。」


 どうやらサンドラみたいだ。


 睨んで剣を構えている。


 「サンドラ、今はどういう気持ちだ。ギルドに捨てられて、教会からも見捨てられたのか。」


 サンドラが斬りかかってくる。


 「うるせえ。ぶっ殺してやる。」


 サンドラの剣は遅い。


 目をつぶっていても躱すことはできる。


 サイドステップで避けて、サンドラの斬撃が床に落ちたところで腕を蹴り上げる。


 サンドラは剣を落とし、うめき声を上げた。


 みぞおちを蹴り、跪かせる。


 弱い。弱すぎる。


 「サンドラ。お前にはすべて吐いてもらうぞ。オレは頭領と違って甘くないからな。」


 サンドラは怯えている。


 オレは脅すように笑った。


 サンドラはすぐに吐いてくれた。目論見通り、教会から依頼があってツボを置いたみたいだ。ツボを置けとだけ言われたらしい。


 依頼主のことを話すのは渋ったが、少し刺すだけですぐ吐いた。教会のお偉方から依頼が来たらしい。人を介しての依頼で名前は分からないと言っていたが、恐らく本当だろう。


 卑怯な男が、この命がかかった状況で嘘をつく訳がない。


 「もうこれだけ言ったんだ。助けてくれ。なあ。」


 どうしようか悩む。


 サンドラをこのまま放置していても良いことは起こらないだろう。


 賭けで決めるか。


 「サンドラ、お前はオレだけではなくギルド、そして街の皆までも危険にさらした。殺されても文句は言えないだろう。」


 「ちっちがうんだ。俺は言われただけだ。」


 「チャンスをやろう。コインをトスして、表なら殺す。裏なら見逃す。どうだ。のるか。」


 押さえつけていたサンドラから手を離し、装備も返してやる。


 コインを取るのを手間取る仕草をして、わざとスキを作る。


 「うるせえ。お前にそんなことを言われる筋合いわねえ。」


 そう言うと、サンドラが斬りかかってきた。


 残念だ。


 一閃でサンドラのクビをはねる。


 害をなす人間は駆逐すべきだ。


 「ライカ行こう。こんなまずそうな肉食べちゃダメだ。」


 ライカが少し残念そうな顔をしてアオンと吠えた。


 歩く足取りは軽い、次の街ではどんな出会いがあるのか楽しみだ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


「面白かった。」


「続きが見たい。」


「頑張って更新して!」


と思った方は、


下にある☆☆☆☆☆をタップして、作品の応援をお願いいたします!


面白かったら「星5つ」あんまりだなと思ったら「星1つ」

正直に感じた気持ちで押してくださいね!


重ねて、ブックマークもお願い致します。


何よりも励みになります!


「S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る」も同時連載しております。こっちも見てくださいね☆


も同時連載しております。


みたい方は「作者マイページ」から見ることができます。ぜひ見てくださいねッ☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 醜い野郎をぶち殺して憂いを絶ったのが素晴らしかった!…あそこまでチョーシこいたんだから、殺されて当然ですわな!!! [気になる点] …今回のツボには刻印はありませんでしたが…まぁ初犯ではな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ