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31 サポートくらいはしておこうか

「ユート、決死隊が動き始めたニャ」


 レイの報告を聞くまでもなく山頂にいる面々の動きが慌ただしくなっていた。

 山頂に陣取ったまま陣形を組み各々が魔力を急速に高めていく。


「あの様子だと地上は無視でしょうか?」


「対空戦闘モード」


 ケイトの疑問にはスィーが答える格好となったが間違いあるまい。

 決死隊の視線は麓の方には向けられていなかったからね。

 それに空一面を埋め尽くすほど飛んでいた無数の魔物どもが移動し始めたし。

 あの数で山を飛び越えられるのはマズいと判断したか。


「地上の魔物と違って山が障害にならないニャから優先して潰すのは当然ニャ」


「そうでもないぞ」


「ニャッ!? そうなのニャ?」


「軽量級の飛行型は高い山を飛び越えられないのもいる」


 重量級の奴らは魔法の補助で飛んでいるから高度はあまり関係ないのだが。


「おおっ、ニャるほどニャるほど」


「ちなみに迫ってきているのは軽量級のようだが魔法も併用して飛んでいるな」


「真っ黒すぎてパッと見ただけでは何がなにやら分かりませんが」


 闇夜に黒一色の魔物というのは視認性が悪すぎるからケイトがそう言うのも無理はない。


「黒光りしているようだけど」


 スィーは飛来する魔物の正体に見当がついたのか微妙にしかめっ面になりながら言った。


「軽量級なのに、この標高の山を簡単に飛び越えられるニャ?」


 正体のことなど気にならない様子でレイが聞いてくる。

 見当がついていれば山越えできるかどうかなど気にしている余裕はないと思う。

 下手すりゃ1人で殲滅に向かいかねない。

 いや、距離を取って魔法を乱発するか。


「飛ぶための補助魔法しか使えないようだけどな」


 それも強風に対抗するには不完全なため密集して効果を高めている程度のものだ。

 強力な風の魔法をぶつけられれば押し返されるだろう。


「それでもスタンピードの時にそういうのが出てくるなんて迷惑な話ニャー」


「重量級のが来るよりマシじゃないか」


 そういう手合いは人などよりずっと大型で防御力の塊だから倒しきるには一度に相応のダメージを与えないといけないことが多い。


「そうかニャ~?」


 レイは疑問でもって俺の言ったことに対し異を唱えてくる。


「数は力なのニャよ」


 何処かで聞いたような台詞だが真理ではある。


「今回の相手なら山頂にいる彼らでも数を減らすことはできるだろ」


「大して減らないニャよ」


 空を埋め尽くすような数からすればレイの言うことも頷けるが、そういうのは見方しだいで感じ方も変わってくる。


「減らすかどうかじゃなく経験値を得られるかどうかで見ようぜ」


「ユートの言ってることも分かるニャけど、残った魔物に突破されたら意味ないニャー」


「それは確かにレイの言う通りなのよね」


「否定しようのない事実」


 ケイトとスィーが同意したことで俺には援軍がいなくなったが意味がないとは思わない。


「そうならないようにフォローするのが俺たちの役目だ」


「随分と過大なフォローをしないといけないと思うのですが」


 ケイトが困惑している。

 決死隊が仕留めきれない魔物の割合が8割前後だと推定したのだろう。

 彼らが纏っている魔力から推定した戦闘力で見積もったので誤差が出るとは思うけどね。


「良くて3割も削れればいいところだな」


「過半数を余裕で超えてるじゃないですかっ」


 それでフォローと言えるのかと抗議してくるケイトだったが。


「充分」


 スィーは違う意見のようだ。


「なんでよっ」


「どういうことニャ?」


 ケイトだけでなくレイも疑問に感じたようだ。


「密かに支援すれば半分は潰せる」


 どうやらスィーは俺がどういう策で対応しようとしているのか気付いているようだな。

 こういう策略的なことを考えるのは元カラスであったスィーの得意とするところか。

 まあ、言うほど複雑なシナリオを考えている訳じゃない。


「残りはどうするんですっ」


「我々で始末すればいい」


「折半したように見せかけるニャ?」


「ああ」


「何の意味があるんですかっ」


 どうどう。ケイトは興奮しっぱなしだ。


「半分なら俺たちが仕留めてもインパクトを薄くできるだろ?」


「何もしないよりはマシかもしれませんね」


 少し落ち着いたか。


「彼らに火事場の馬鹿力が出たと思わせられれば上出来だね」


「勘のいい相手だったら気付かれますよ」


 ケイトにはジト目で見られてしまった。


「じゃあ、やめるか?」


 ケイトだけではなく残りの2人にも目を向ける。


「ユート様に従います」


「ユートのやりたいようにすればいいニャ」


「異議なし」


 三者三様の返答ではあったものの同意はもらえた。


 あとは実行あるのみだが……


「射程に入った」


 スィーがそう言いながら決死隊の面々に視線を向けた。

 見れば、彼らの何人かが魔法を使う体勢に入っている。


「風系統の魔法か」


「多くを仕留めるために風で押し返すつもりなのでは?」


 順当に考えればケイトの言うとおりだと思われる。


「じゃあ、あの魔法に介入して効果範囲を広げるか」


「範囲より威力」


 スィーが異を唱えてきた。


「言われてみれば、そうかもな」


「そんな悠長なこと言ってる暇ないニャ」


「おっと」


 レイの指摘で決死隊の魔法が発動しようとしているのが分かった。


「自分がやります」


 誰が補助魔法を使うか決める前に始まったものだから少し慌てたけれど、ケイトが対応してくれた。

 決死隊の風の魔法に効果を増幅させる術式を上乗せするべく魔法を待機させる。


「バックアップするニャ」


 レイが決死隊の面々にバレないよう偽装のための魔法を発動。


「今よっ!」


 タイミングを見計らってケイトが補助魔法を決死隊の風魔法に上乗せした。

 巨大な壁となった暴風が押し寄せる黒い津波と激突。


「止まった」


 スィーが結果を報告してくる。

 俺たちにも見えているんだけど、それを指摘するのは野暮ってものだ。


「問題なし、だな」


「そうでもないニャよ」


 呆れたような声を出してレイがケチを付けてきた。


「どういうことだ?」


「決死隊がビビってるニャ」


 確かにレイの言うような状態になっているように見受けられる。


「威力が高すぎニャ」


 混乱して何人かが言い合っていたので話を聞いてみると、接近する魔物を完全に止められるとは思っていなかったらしい。

 せいぜい接近速度を落として攻撃する時間を稼げれば御の字というつもりだったみたいだ。


「ゴメン。とっさにやったから力加減を間違えた」


 ケイトは責任を感じてレイに謝っているが、俺たちの中で誰がやっても同じ結果になっていたと思う。


「間違えたじゃないニャ」


 やや呆れ気味に応じるレイは、それでも怒るようなそぶりは見せなかった。

 とはいえ、そこでほっこりしている暇はない。

 まだ決死隊の戦いは口火を切ったばかりだからな。


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