10/13
episode10
「追い付きたい」
「駆けろ獅子よ」
そんな心の声の秘めたる感情が
ハンドルを握っていると、伝わってくるのだった。
「どうしたんだ?駒乃」
かぶりをふって、その悪魔的な誘惑を断ち切る駒乃、
ここは一般道、死なせてしまえば、彼の人生は終了だ。
「いや、何でもないよ、」
駒乃は努めて明るく振る舞った、
相手に不安を、心配の匂いをちらつかせないように。
「そうか、」
沖田は駒乃の我慢しているようなところには気づきはしたが、
触れられたくないのだろうと思うと、正面の景色を眺めるのだった。しかし、友人のよしみで言えることをと思い、口を開く。
「だけどな……困ったことがあれば、言ってくれよ、ラーメン道一緒に極めるんだろ」
「まぁそうだな」
ミライースを走らせて、いつか来る先の見えない不安と、実現不可能の走り屋という夢を含ませている駒乃の視界には、
既に黄色のスポーツカーはいなくなっていた。
かつての走り屋は今、ここにはいない。
駒乃の見た車、RX-7の残像を、




