episode1
車の音、それを聞くだけで心が安らぐ
いつもの風景
走る車は依然として流れている川のようなものだった。
だけど、今じゃ走る車は決まっている。
軽自動車とか、実用的な車、その車に夢などあるのか?っと思ってしまう。
窓から写る景色を眺めて、バスは走る。
だけど、時々、走る車に心踊らせる時がある。
それは、スポーツカー、もしくは、レトロな車もそうだ。
子供の頃にも自動車に対する愛があった、しかし、その愛というものは、純粋的な好奇心であって、中身は伴わないものであった。
だけど、年を重ねるにつれて、味というものに興味が湧いてきた。
運転したい、個々の車の奏でる音、匂い、フレームの光沢、エンジン、それらを眺めたいという欲求がわいてくる。
サスペンションをチェンジする時の音もいい、
そう、僕は車に恋をしたんだと、確信した。
「今日も飽きないわな、大学どうしてんだよ、ちゃんと勉強してるのか?」
兄貴が聞いてくる
「うん、まぁね、勉強はボチボチかな」
ボチボチだともしかして、ボッチにはなってないよな、とかからかって笑う。そのからかい癖には慣れている。
「学科は文系なのに、お前本当は理系の方がよかったんじゃないか?」
「かもね、でも、学校の型に合わなかったんだろうな、哲学やって、数学面白いなぁってやっと気づいたからね」
だけど、戻りたくても戻れないのが現実だ。
やっと、自分の目指すべき道ってのが、
心臓の底から手が出てきたように
実感を伴った痛みを痛感させた。
それから、色々、大学でのことを話したり、
バイトの話をしたり…………
「そんじゃ、頑張れよ」
と言って、兄貴は立ち去る。
そして、車に乗っていくのは、軽自動車のタントカスタム。
恐らく、今日も仕事なのだろう。
まぁ坂道で溢れる長崎の地じゃ、狭い道を走るには必須なもんだって感じだしな。
対して、自分は漫画に憧れて豆腐店にしようか迷ったけど、やっぱり怖くて尚且つ安いダイハツのミライースにした。
だから、対して、じゃなくて兄貴と同じ会社の車で
ダイハツ兄弟と言っても違うとはいえない。
兄貴の仕事は自動車販売点の整備士をしてるって言ったら、
こじつけみたいに聞こえてしまうんだろうが。
まぁそのおかげで、ガレージは備えてある。
「とりあえず、お腹すいたな」
僕は、車に乗っていこうか?迷っていた
歩いていっても、程遠くない。
フンガーハットがあって、歩いていって、
15分ぐらいのところにある。
そのとなりには鈴木電気ふれあい館がある。
あそこは、今じゃ何でも屋さんみたいになってる感じだけど、
駐車場が大きいから止まるには困らないだろう。
「車or足か?」
答えで言えばどっちもどっち、
だけど、せっかくだから、
運転慣れしておきたいっていう憧れがある。
「車かな」
僕は、腹の空腹がおさまらない。
とりあえず、チャンポンを求めている
加えて、餃子も添えてかな。
僕は、ギアをDにして、飛ばした。
いや、正確には安全運転にね。




