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ご馳走さまでした~退店

 丼の底が見えるまでラーメンを味わい尽くしたが、そこにあったのは『退屈』と言う名の味の暴力だった。


 やり場のない怒りのような悲しみのような良く分からない感情。アンケート用紙にその全てをぶつけようと手を伸ばしたが……止めた。目の前に見えたアンケートボックスは恐らく空で、今日これから私以外の紙が入ることが無さそうだったからである。勿論私のような気まぐれ者が沢山いれば話は別だが……。


 私は席を立ち、競馬の予想に興じている店主にお会計を促した。競馬よりラーメンに熱を注いで貰いたい気持ちをグッと堪え、私は長財布を開いた。


「えー……味噌ラーメン一つで900円になります!」


 私は耳を疑った。ラーメンの価格は地方で異なると思うが、私の地方では600~800円が相場である。チェーン店なら500円程で食べられる程だ。それを超え(この味で)900円は取り過ぎではなかろうか?


 私はアンケート用紙が出口に無いか念頭に置きながら1000円札を手渡し、お釣りの100円を受け取った。そして辺りを見渡しながら出口へと向かったが残念な事にアンケート用紙は見当たらなかった。



 私は暖簾を潜った後、大きくため息を吐いた。とんだはずれを引いてしまったと思い項垂れるも駐車場には次なる犠牲者が来ていた。私と同じ独り者。私には彼を止める権利を持ち合わせていない。そして何より私だけが複雑な気分で帰るのが嫌だったから、特に何も言わず目も合わせず私は車へと乗り込んだ。


 徐にスマホを取り出し今ごろ寿司を堪能しているであろう友達に連絡をした。


 『今日飲みに行かないか?』


 寿司屋に乗り込んでも良かったが、忙しいと言った手前それはちょっと躊躇われた。だから酒で誤魔化して憂さ晴らしでもしてやろう。今日はそんな気分だ…………

読んで頂きましてありがとうございました!!

(๑´ڡ`๑)

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― 新着の感想 ―
[一言]  個人的な感想になりますが、私としてはむしろ口の中を失意の砂漠に変えてしまうような店に巡り合えた方が貴重な経験だと思います。
[一言] 友人から寿司の誘いがあったのに、あえて見知らぬラーメン店に入った。 店主にやる気が感じられず、店は汚く、味は平凡で、そのくせ、値段だけは高かった。 という話を読ませる話に再構成し、にじみ出る…
[一言] 凄い!w 本当にラーメン屋で昼飯を食べるだけの話だったのに、何でこんなに面白いんでしょう!!ww これはしいたけさんの新境地ですね!! 現実でもありそうな、ギリギリのさじ加減が最高でしたッ!…
感想一覧
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