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転生

※2017年10月30日 内容を一部修正致しました。

 目覚めるといつもと違う天井が見えた。

 どうやら本当に異世界へやってきたらしい。今日から新たな人生のスタートだ。今度は悔いのない人生を送ろうと心に誓う。

 まずは自分の状況を確認しよう。


「あう、あうう・・ おぎゃ!?」


 あれ?

 声を発することができない。しかも動きづらい。まるでどこかに埋もれているような感覚だ。

 ここはどこだ?


 必死に体を動かし周りを確認する。


 大きな木の柵に、巨大な木製家具が目の前に並んでいる。

 部屋はあまり広くはなく、雰囲気は欧風のそれと似ている。

 そして俺は布団に包まれていた。

 動かしづらい体をなんとか動かし、自分の体を見てみると、一部しか見えないが俺は現実を悟る。


 俺、赤ん坊だわ。

 

 以前読んだラノベでは赤ん坊に生まれ変わるものもあったが、最近のものは若者からスタートするものが多い。

 だからてっきり少し若くなってどこかの森の中、或いは村の中に現れ、そこで仲間と出会い、共に冒険を進めていくものだと思い込んでいた。

 まさか赤ん坊に生まれ変わるとは思っていなかった。


 人生のやり直しってそこからかよ・・・

 

 俺としたことが、転生と転移を間違えるとは。

 そんなことを考えていると、目の前に巨大な女性が現れた。


「あら、ルイどうしたの? おねしょ? それともお腹がへったのかな?」


 赤ん坊目線から人を見るとこういうものなのか。

 巨人じゃん・・・

 でも不思議と恐怖は一切なく、なぜか安心感を抱いている。

 この女性が俺の新しい母なのだろうか。


 女性を観察してみる。

 真っ直ぐな銀髪が肩まで伸び、蒼い目がくりっとしている。整った顔は誰が見ても美人だと思うだろう。年齢は二十歳前後か?


《はい、その通りです。彼女の名はマリー、19歳、マスターの母です》


 え? 

 どこかで聞いた声だ。

 それにマスター? 俺のことか?


《女神シャルワーナ様が加護を授けられたので世界の声を聞くことが可能となりました》


 そうだ。

 あの少女から加護を授かった時に聞いた声だ。

 何となく理解できるけど世界の声か。小説でよく見かけるものだがこの世界にもあるんだな。


《当然です》


 うわ、なんか怒られた気がする・・・ 

 この世界の声は随分と感情豊かのようだ。誰にでも聞こえるのかな?


《いいえ、加護を授けられた者しか私の声は聞こえません。また、現在加護を授かっているのはマスターだけです》


 ここまで会話が成立するのか。

 随分高性能だな。


《シャルワーナ様の加護ですから当然です》


 ま、また怒られた。

 いろいろ気になる事と突っ込みたいころはあるけど、しばらくそっとしておこう。

 おいおいこの世界のことも確認しないとな。


「おねしょじゃないみたいね。じゃあお腹が減ったんだね」


 そう言いながら目の前の女性は着ている服をめくり上げ、当然そこから白い双丘がプルルンと顔を出す。

 大き過ぎず、然れど決して小さくもないソレは完璧に整っていた。

 

 あざーっす!!


 あれ?

 赤ん坊だからか、それとも母だからか全くいやらしいとは思わんな。

 ちょっと残念。


「ルイはお腹が減ったんだね? たーくさん飲むのよ」


 そう言いつつ彼女は自分の胸を俺に近づかせ、俺は本能の赴くまま手を胸に当て顔を近づけた。


 うん。

 母乳ってあんまり美味しくないんだな。


「お? ルイが起きたのか! どれどれ俺の子は元気にしてるか?」


 ドアの方から若い男性が入ってくる。

 金髪で爽やかな笑顔を浮かべている。さらに筋肉質でイケメンとか見ていて腹立たしい。

 こいつと母がよろしくやって俺が生まれたのだろうか。

 爆発しろ。


「お、元気に飲んでるじゃねーか。その調子だ。将来は俺のように強い男になれよ」


 自分で強いとか言って自信過剰じゃないのか?

 もしかして俺の父は頭が弱いのかもしれない。いづれ成長してその自信を打ち砕かせてやることを密かに誓う。


「もう、ロイスったら。ルイはあなたのような脳筋になったらどうするの。ルイはたくさん勉強して魔術師になるんだよねー」


 ざまー! 

 母に脳筋と言われてる時点で父はあまり賢い人ではないのだろう。


 ん? 待てよ。

 今魔術と言ったか?

 やはりこの世界には魔法が普通に存在するんだな!

 あるとは分かっていたけど実際に聞くとワクワクしてしまう。


「ひでーな! ルイは将来俺と同じ剣士になるんだよ。魔術なんて小難しいものは俺の子には似合わねーよ」


 はっはっはと笑いながらロイスは俺を見つめる。

 生まれてまもない赤ん坊の将来を勝手に決め付けるとか、どうやら俺の父はかなりの脳筋らしい。


「そんなことないわよねルイ。きっと立派な魔術師になるんだから」


 どうやら俺の母は魔術士で、父が剣士のようだ。

 剣士は何となくイメージできるが魔法は実際に見たことはないから正直かなり見てみたい。


「あう、あうあう、おぎゃう」


 これでは伝わらないと思いながらも魔法が見たいと必死にアピールする。


「あら? ほらロイス、ルイも魔法に興味があると言ってるよ」


 伝わった!? 

 母親は赤ん坊の気持ちが分かると聞いたことがあるが、まさかな。

 

 きっと偶然だろう。




お読み頂き有難うございます。

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