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冒険者ギルト

もう今でも十分強いんじゃないかって?

いいえ、まだまだです。

 地下訓練場に爆煙と砂煙が充満する。

 周りにいる魔術士達は心の準備をしていなかったためか皆腰を抜かしていた。

 前方に目を向けると未だ小型の竜巻が的があった場所で畝ねりながら暴風を巻き起こしていた。


「皆の者! ここで見たことは口外を禁ずる! 破った者は魔法ギルト追放だ、良いな!」

「「「「は、はぃぃいっ!」」」」


 あれ?

 ガリルが随分驚いているぞ。

 しかも全員にすごい剣幕で怒鳴ってるけど、どうしたんだ?


「はっはっは! すげーだろ!」


 その一方ロイスは呑気に高笑いしている。

 随分すごいギャップだな。


「ルイ君? 何をしたか説明してもらえるかね? いや、大凡の予想はついてるが・・・」

「はい。まず4つの的に上級4大属性魔法をぶつけ、それからトルネードの小型版をその中心に放っただけですが?」

「だけですがって・・・ 全て無詠唱だし帝級魔法の小型版だって? そんな使い方は聞いたこともないよ」

「ええ、本来のトルネードだと規模が大きすぎるので範囲を絞った小型化に改良しました。やってみると案外簡単でしたよ? それに小型化すると術の発動も無詠唱も随分簡単になります」

「いやはや君と話していると相変わらず常識がおかしくなりそうだ。ティア君が君のことを話しながら涙を流す気持ちがわかったよ。この1年で更に力を大きく伸ばしたようだね」

「ティア先生の教えがよかったです。本当にご紹介頂いて感謝しています」

「喜んでもらえて私も嬉しいよ」


 ガリルに俺がやったことを説明すると半分呆れられたが、毎回のことだからそのまま流した。


「でもルイ君、君の魔法は素晴らしい力だが今はまだ世間に知られてはいけない。人前では控えるべきだ」

「それも上級マスターと同じ理由ですか?」

「そうだ。その年で上級マスターもさる事ながら、帝級魔法も扱えるとなると問題は更に大きくなる。その上帝級魔法ですら無詠唱で自由自在に扱えるとなると、流石に国も放ておけないだろうからね」

「・・・そうですね。分かりました。では今後は人前で使用しないことにします」

「その方がいいだろう。成人するか、本当に必要な時まで我慢した方が身の為だろう。幸い先ほど目にした者たちには口止めをしたから、本ギルトから情報が漏れることはないだろう」

「お気遣い有難うございます」

「フフ、相変わらず礼儀正しい子だね」


 先ほどガリルがギルト員に口止めをした理由を俺に説明する。

 俺も以前ティアから説明を受けていたのに軽率だったことを反省した。


「さすがガリルは気が効いてるなぁ! はっはっは!」

「君はもう少し気を使った方がいいと思うがね・・・」


 それからロイスが来年俺がこの町の学校に通うことをガリルに説明し、それを聞いたガリルも大賛成して喜んだ。


「そうか。ルイ君も学校に通うんだね。きっと更なる成長を遂げるだろう。それにルイ君が近くにいると私たちも嬉しいよ。魔法の研究も是非手伝って欲しいと思っていたところだ。8歳になって上級マスターの称号を得たらここの研究施設は好きに使ってくれて構わないからね」

「はい。その時はお願いします」

「そん時は世話になるよ。まぁルイはもう帝級魔法すらこんな感じで使えるから上級マスターの称号貰ったところで驚けねーな。はっはっは!」

「ははは、その通りだな。とにかく来年を楽しみにしているよ」

「はい。こちらこそ!」


 それから俺たちは地下から上に上がり、応接室でお茶を飲みながら会話を楽しんだ。


「そんじゃ邪魔したな。他にも用事があるからそろそろ行くわ」

「そう言えば旧友に会うと言ってたね。またいつでも来てくれたまえ。君たちなら随時大歓迎だ」

「ガリルさん、お邪魔しました」


 別れの挨拶を済ませ、俺たちは魔法ギルトを後にした。


「そういえばこの前発表された学校の新制度について伝え忘れてしまったな。まぁ入学するぐらいだからきっともう知っていることだろ」


 そんなガリルの呟きを聞くこともなく。



――――


「父さん次はどこへ行くの?」

「冒険者ギルトだ」

「本当に!?」


 俺はロイスと何度かここミュールに来ているが、今まで一度も冒険者ギルトに寄っていない。

 理由は冒険者ギルトには乱暴者も下品な者も多いから子供の俺が行くところじゃないと頑なに反対されたからだ。

 それがロイスと剣術稽古をして、しかも今や一本取れるまでに成長したから許可してもらえたのだと思う。

 前世で読んだ小説で数多く登場した冒険者ギルト、常に行きたいと思っていた。

 そこへついに行けると思うと自然と足取りも早くなる。


「着いたぞ。ここが冒険者ギルトだ。お前みたいな子供がいると絡まれるから俺から離れんじゃねーぞ」

「う、うん。分かったよ」


 俺の力はもうその辺の冒険者より断然強いらしいが、やっぱり強面の剣士が入口で屯しているのを見ると緊張してしまう。

 ロイスにピッタリくっついて建物へと入る。


 おぉ!!

 いるいる!

 重装備して大剣を背負ってるやつはタンク職か?

 チーフっぽいのもいるな!

 あっちの色っぽいお姉さんは剣士か? めちゃくちゃ露出してる!

 魔術士もいるいる!

 すげーな!


 冒険者ギルト内は魔法ギルトと比べると少し品に欠けていたが、意外と中は整っていた。

 正面には長い木製のカウンターがあり、受付のお姉さんが数人並んでいる。きっとあそこで依頼を受けたり報酬をもらったりするのだろう。

 更に横に目をやると大きな掲示板があり、たくさんの張り紙が貼られていた。

 多分依頼内容などが書かれているはずだ。

 そして奥にはバーが設置されており、冒険者ギルトならではの光景が広がっていた。

 まだ明るいからかお酒を飲んでいる人は少なく、軽食を取っている人が結構いた。

 イメージ通りの冒険者ギルトに俺は感動し、キョロキョロしながらギルト内を見渡す。


「おい、何だこの坊主は? ここはガキの来るとこじゃねーぞ!」


 俺がギルト内で浮かれていると厳つい剣士風のオッサンから声を掛けられる。

 テンプレキターー!! 

 と内心叫びたかったが、そんな余裕はなかった。

 睨みつけられて体が硬直してしまう。


「おい、あんまうちのガキをいじめてやるなよ」

「あぁん? 誰だテメー?」


 そんな俺とオッサンの間にロイスが割り込み相手を睨みつける。

 場の空気が一気に張り詰めた。

 とそこに細身の男がやってきてオッサンに話しかける。


「おい、やめとけって。あいつはロイスだ。Bランクだぜ」

「っな、なに! Bランクだと!? こんな優男がか?」

「あぁ、お前は最近この町に来たから知らねーだろうが、今でも現役だぜ」

「・・・っち、わーたよ」


 男がロイスのことを紹介し、自分より上位ランクだと知りオッサンは渋々その場から離れた。

 この世界でもランクの高さは強さの目安になっているらしい。

 それにしても優男って。

 俺からしたらロイスも十分マッチョだ。

 オッサンの筋肉が異常にでかいだけだろ。

 もっとも筋肉の大きさは強さに比例するとは限らないが。


 なんか誇らしくなりロイスの顔を見上げる。

 やっぱりロイスって有名なんだな。

 Bランクって言えば俺の知識でもベテラン冒険者だったと記憶している。

 マリーが言ってたことは本当だったんだな。


「ルイ、あまりここで浮かれるなよ。血の気の多いやつも多いからしっかり俺の側にいろ」

「うん、ごめんなさい」

「まぁ、ケンカになったらお前が勝つだろうけどな」

「ちょ、ちょっと」


 またそんな爆弾発言を平気で言う。

 ほら見ろ。

 後ろの方でさっきの厳ついオッサンが「なんだとぉこらぁ!?」と叫んでいる。

 まぁ直ぐに周りから宥められその場から動いていないが。


「あらあら、ロイスもしっかり親父になったもんだね」

「ガハハハ! あのやんちゃロイスがなぁ!」

「うるせー! もう来てたんだな」


 俺たちが騒ぎを起こしてる間に二人組の男女が奥のバーから出てくる。

 女性は身軽さ重視の軽装備姿で、金髪のショートカールスタイル。

 大きな目が可愛らしく、その外見から保護欲を唆る印象だ。

 一方男の方は小柄で、ボサボサの茶髪に伸び放題の無精ひげ、先ほどのオッサン以上に筋肉隆々とした体つきだ。

 如何にも冒険者らしい二人に俺の好奇心が疼く。


 ロイスと知り合いみたいだけど誰だろ?

 もしかしてロイスが会うと言ってた旧友か?


お読み頂き有難うございます。

次話は明日投稿予定です。

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