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上級魔法

 あと少しで累計10,000PV! 2,000ユニーク!

 本当に有難うございます!

 ティアとの魔法授業は今日で1週間目だ。

 初級魔法を完全に習得するのに1日も掛からなかったが、中級魔法はこれだけ時間が掛かってしまった。

 もっともそれをティアに愚痴ると、中級魔法を1週間で自由自在に無詠唱で使えるようになれるのは俺ぐらいだと怒られた。

 年単位でようやく威力の調整がある程度自由にできるようになり、無詠唱で出来る者はほんの一部なのが中級魔法だそうだ。


 でも実は最初の3日間で中級魔法を無詠唱で使えるようになっていた。

 ではそれ以外の時間は何をしていたかというと応用の練習をしていたのだ。

 中級魔法はウォール系と言われる防御魔法であるが、俺は攻撃用に使えないかいろいろ試した。

 ウォール系魔法は直線の壁を作る魔法だが、俺は並行思考を使い、壁をいくつも作ってみたり、そしてそれを組み合わせて立方体にしてみた。

 それを見たティアは驚きのあまり言葉を無くす。

 炎の壁に四方から囲まれ、更に蓋をされるのだ。

 閉じ込められた人にしてみたらオーブンに入れられたような地獄を味わうだろう。


 水属性の場合、水中に相手を閉じ込め、すぐに溺死させられる。

 土属性はその場で牢屋替わりとなり使用する場面も多いだろう。

 風属性は大した効果がないように最初は思っていたが、中にいると音や声が外に漏れないことを発見し、俺とティアは大いに喜んだ。


 ティアが言うにはこんな使い方は前代未聞で、既に中級魔法の領域を超えているそうだ。

 俺みたいに一人では出来ないが、集団魔法なら再現できると、新たな発見に本人はとても喜んでいた。


「ルイ君は魔力や魔法制御もすごいけど、その発想力が一番怖いですね。こんな魔法の使い方があったなんて思い付きもしませんでした。これを発表したら大きな反響があるでしょうね」


 ティアは大絶賛しているが、俺がゲームや小説から得た知識は伊達じゃない。

 でも知らないとなかなか思い浮かばないのだろう。

 前世でみる新商品のアイディアなんてのもそんなもんだ。


 ちなみにこの一週間俺はティアの前で何度も魔力回復を行っている。

 最初は興味津々で、俺に何度も方法やコツを聞いていた。

 しかしいくら練習してもマナを感じ取ることが出来ず、ティアはそれがギフトの力だと結論付け、  早々に習得を諦めた。

 その辺の判断の速さも彼女のすごいところだ。

 女神の加護がないとマナを感じ取れないんだから当然だろう。

 でも俺が魔力回復する時はしっかり記録を取っており、今では俺の魔力が切れるタイミングと回復時間をよく把握している。


「少し休憩にしましょう。魔力が回復したら上級魔法を教えます」

「はい! 有難うございます」


 このように魔力が切れる前にはしっかり休憩させてくれる。

 中級魔法は初級よりも遥かに魔力を必要とし、更に並行思考で同時発動させているから魔力がかなり消費される。

 おかげで魔力増強の効率も良く、今ではティアと出会った頃よりも魔力量は相当高くなっている。


「今日もしっかりと魔力が増えていますね。本当に末恐ろしいです」

「はい。自分でも魔力が増えていることが分かります。ティアさんのおかげです」

「いいえ、私はただ魔法を教えているだけです。こんなペースで魔力が増えるのはルイ君ぐらいですよ」

「それならティアさんとギフトのお陰ですね」


 そう言うとティアは俺に微笑む。

 あぁ・・・ 天使のようだ。


「確かにギフトの力は大きいでしょうが、やはり幼少時の魔力増強率は高いみたいです。でもルイ君の年でここまで魔法を扱える子供はまずいないでしょうから検証が難しいですね」

 

 さすがティアだ。

 ティアは俺の魔力回復の速さを差し引いて計算している。

 センセイも魔力は幼少時代から鍛えた方が成長は早いと言っていから事実だろう。

 でも俺には成長限界突破があるから普通ここまで早くない。

 これは言わないでおこう。


 ちなみにティアといる間、センセイも大活躍している。

 センセイは俺が予備知識を持っていないと魔法について教えてくれないが、ティアが教えたことなら的確なアドバイスをしてくれる。

 それも俺の急成長の秘密だ。


 しばらく休憩してティアが立ち上がる。


「ではこれより上級魔法を教えます。中級よりも更に難しいですが、ルイ君ならすぐに習得できるでしょう」

「はい。お願いします」


 いよいよ上級魔法の練習が始まる。

 これを習得すればマリーと同じ階級の魔術士になる。

 きっと喜んでくれるだろうが、少しは拗ねるだろう。

 フォローもしっかり考えておかないとな。


「上級魔法からは格段に威力が上がりますので、少し離れてくださいね。」

「分かりました」


 俺が的の岩から離れたことを確認したティアは魔法の詠唱を始める。


「灼熱の炎よ、我が手に集い来たれ、そして敵を貫き焼き尽くせ、フレイムランス」


 ティアの手から2メートル程の真っ赤に燃え盛る炎の槍が生まれ宙に浮かぶ。

 離れたここからでもその熱を感じ取ることができた。

 熱は今もどんどん上昇しており、ティアが魔法に魔力を込めているのが分かる。

 そしてティアは手を振り下ろすと炎の槍は一直線に的の大岩へと飛ぶ。

 次の瞬間、大岩を貫いたと思ったら大きな爆発音が響き、大岩がバラバラに爆ぜた。

 これが上級魔法か。

 初級魔法の比じゃないな。


「どうですかルイ君? 上級魔法にもなると殺傷能力は大幅に上がります。その分魔力制御も格段に難しいですよ。今ので大体7割程の威力です」


 あれだけ威力が出ているのにまだ7割程度なのか。

 ティアが言うにはやろうと思えば上限まで魔力を込められるが、これぐらいが一番スムーズに発動できるらしい。


「ではルイ君も試してみてください」

「はい」


 俺は深呼吸をして、先ほどの魔法を思い出しながら詠唱を始める。


「灼熱の炎よ、我が手に集い来たれ、そして敵を貫き焼き尽くせ、フレイムランス」


 一気に体から魔力が奪われ、そして俺の手からティアと同じ炎の槍が生まれた。

 ここまでは呪文を唱えるだけで自動的に出来る。

 あとは魔法に魔力を込めて威力を上げていくだけだ。

 早速俺は魔法に魔力を込めようとするが、なかなかうまくいかない。

 確かに魔力は魔法へと流れているが、同時に魔法から魔力が漏れている感覚に陥る。

 俺が戸惑っていると、炎の槍がふわっと拡散して消失してしまった。

 

 あれ?


「ふふふ」


 それを見たティアが手で口を隠しながら笑っている。


「よかった。上級魔法まであっさり発動させられたら本当に自信を無くすところでした。ルイ君にも出来ないことがあると分かって逆に安心しましたよ」


 魔法を失敗したのにも関わらずティアが喜んでいる。

 少し複雑な気分だ。


「どうして失敗したんですか? これまでと同じようにやっているのに、魔力をうまく込められませんでした」

「さあどうしてなんでしょうね。魔力制御が得意なルイ君なら自分で答えを見つけてみてください」


 むむぅ。

 ティアがまた俺をからかうように笑う。

 そう。俺は中級魔法まではもう自由自在に扱える。

 自分で言うのもあれだが、魔力制御はかなり優れているはずだ。

 同じように魔法に魔力を込めたはずなのに、うまくいかない。

 なんでだ?


《上級魔法はこれまでのようにただ魔法に魔力を込めるだけでは成功しません》


 センセイの解説キター!!


 確かにいつも通り魔力を込めても、同時に抜ける感覚があった。

 何でだ?


《魔法は魔力を込めることで発動されますが、魔法には受け入れる魔力量が決まっています》


 ふむふむ。

 それぞれの魔法には魔力を溜める器のようなものがあるんだな。

 その器に魔力を込めることで発動するし威力も高まる。

 満タンになれば上限になるってわけだ。

 風船に空気を入れるようなもんか?


《その通りです。強い魔法ほど受け入れる器は大きくなります》


 俺が言った例えにセンセイが同意する。

 俺のイメージを読み取ってか、風船と言っても分かってくれた。

 確かに生活魔法から中級魔法を比べると、込められる魔力は大幅に上がっていた。

 生活魔法が小さな風船で、中級魔法になると風船も大きくなる感じか。

 なら上級魔法は更に大きな風船ってことだよな?

 なんで普通に魔法を込められないんだ?


《上級魔法は魔力を受け入れる器が硬くなるからです》


 ん? 器が硬くなる?

 普通の風船がゴム手袋のような厚い風船になるってことか?


《その通りです。だからいつもと同じように魔力を込めても魔法に押し返されて失敗します。上級魔法以上になると短時間で強く魔力を送り込まないと魔法は発動しません》


 何となく言っていることが分かった。

 風船なら大きさに関係なく息を吹き込めば膨らむが、皮が厚くなると力を込めなきゃ膨らまないのと同じだな。

 その分中の空気が圧縮され、大きな力が得られるわけだ。

 ん? 待てよ。

 圧縮? 

 そうだよ!


「灼熱の炎よ、我が手に集い来たれ、そして敵を貫き焼き尽くせ、フレイムランス!」


 俺はもう一度フレイムランスの呪文を唱え魔法を発動させる。

 先ほどと同じく炎の槍が宙に浮かぶ。


 ここからだ。


 俺はいつも通りただ魔法に魔力を込めるのではなく、魔力を圧縮させるイメージで魔力を魔法に送り込む。

 ぐぐぐと魔力が魔法に込められて行くのが分かる。

 数秒の出来事だが緊張のせいか、或いは炎の槍の熱さのせいか額に汗が浮かぶ。

 そして直感的に上限まで魔力が込められたと分かり、俺は大きく腕を振り下ろす。


「行っけええええ!」

 

 俺の声に合わせて炎の槍は大岩へと飛び向かう。

 着弾した瞬間大岩を貫き、ティアの時よりも凄まじい轟音が響く。

 煙幕が晴れて目を向けると、大岩は完全に砕け、小石が周りに散っていた。


「う、うそ・・・」


 その光景を見たティアは一言だけ発した後ただ佇んでいた。



お読み頂き有難うございます!

次話は明日投稿する予定です。


そして魔法呪文募集中!

と言うより呪文が集まるまで無期限募集します!


お願いです。

お助けを・・・・

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