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※ティアの帝級魔法を風属性のみに変更しました。
「ええ、いいですよ」
ティアがすんなり俺の家庭教師を受けてくれるみたいだ。こんなに軽いノリで大丈夫かと少し不安になる。
「ルイの家庭教師を受けてくれるのは嬉しいが、こんなに簡単に決めて大丈夫か?」
ロイスも同じことを思ってかティアに尋ねる。尋ねたガリル本人も驚いているようで戸惑いの表情を浮かべている。
そもそも給料のことも、教える内容もまだ何も相談していない。
「ええ、大丈夫ですよ。給料に関してもそちらで決めて頂いて構いません。魔法に関してなら一通りのことはお教えすることができると思います。私も丁度ルイ君に興味がありましたので問題ありません」
うふふと笑顔を浮かべながらティアが答える。
本当に可愛いなあ。本人が大丈夫なら俺としては大歓迎だ。
「そうか。それなら有難い。ルイに教えるのは魔法の基本とその練習だ。具体的な内容はうちに来てから女房のマリーと話してくれ。ちなみにお前さんはどれぐらい魔法が使えるんだ?」
「それなら問題ありません。お力添えできるかと思います。私は風属性なら帝級まで使えます。それ以外は上級までです」
「帝級まで扱えて、それ以外が上級か。大したもんだ。ガリルが紹介するだけあるな」
二人は簡単に俺の授業内容について話し合っている。
帝級と言えば王宮魔術士でも上位に位置するとマリーから教わったことがある。
見た目は少女なのにマリー以上に魔法に長けているようだ。さすがエルフと言ったところか。
「ティアが話に乗ってくれて助かる。当ギルトで妥当な人材がいなかったところだ。私からも礼を言おう」
「いいえ、私の研究のためでもありますので、むしろ私が感謝したいぐらいです」
「うむ。そう言ってもらえると私も嬉しいよ」
どうやら話はまとまったようだ。
この瞬間ティアが正式に俺の家庭教師となった。
「ティアさん、有難うございます。これからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ宜しくね。ルイ君」
俺もティアに感謝を述べ、互いに頭を下げる。
これからこの美少女と一緒に勉強できると思うとワクワクしてしまう。
ティアも笑顔を浮かべているので、嫌ではなさそうだ。
「準備にどれぐらいかかるんだ? 日を改めた方がいいか?」
「いいえ、私はほとんど荷物もないので本日一緒に移動しましょう。早く環境に慣れた方がいいでしょうし、私も早くルイ君と仲良くなりたいわ」
早速今日からティアがうちに来ることになった。
ティアの荷物は本当に少ないようで、すぐに小さなカバンを片付けて一緒にうちへ帰ることになった。
「ガリル、今日は本当に助かった。今度マリーを連れて挨拶に来るよ」
「気にしなくていい。私もルイ君には期待しているんだ。きっと彼はすごい魔術士になるよ」
ガリルが町の門まで俺たちを見送り、ロイスと簡単な挨拶を済ませる。
ティアもガリルに別れを告げ、俺たちはうちへ戻る馬車に乗り込んだ。
来た時と同じ道を通り、同じ風景が流れるが、ティアが目の前にいるからか時間がより早く感じる。
たわいもない話をしているとあっという間にうちへ到着した。
家を出てそんなに時間は経ってないはずなのに、帰ってきたことを喜ぶ。
「ここが俺たちが住んでる家だ。まずは上がってくれ」
「お邪魔します」
ティアが俺たちの後に続き家へ入る。
するとマリーがすぐさま俺たちを迎え入れる。
「ルイ、ロイスおかえり! あらあら、素敵な家庭教師さんね。私はマリーよ、宜しくね」
「初めまして。ティアと申します」
家の中へとティアを案内し、皆で雑談を交わす。
マリーはティアの魔法階級を聞いて驚き、ティアはマリーの魔法教育について熱心に聞いていた。
「ルイ君がこの年でこれだけ魔法を扱えるのはマリーさんの教育の賜物ですね。本当に参考になります」
「そんことないよ。ルイは天才だから教えたことはすぐに吸収するし、独学でどんどん上達してしまうの。本当に信じられないぐらいよ。だからティアさんのような家庭教師が来てくれてうれしいわ」
話し込んでいるうちに外はすっかり暗くなり、マリーが料理を運ぶ。
マリーも余程うれしかったのか、今日はいつもより豪華な料理が並んでいた。
「遅くなってごめんね。さあ、料理を食べましょ」
「有難うございます。私もマリーさんの話に夢中になってしまいました。では頂きます」
食事中も会話が途絶えることはなく、マリーとティアは楽しそうに話していた。
ティアが加わったことで食事はいつもより賑やかで、料理も更に美味しく感じる。
見た目が子供でも俺が男である証拠だろう。
「お口に合ったかしら? 今日はもう疲れてると思うから早く休むのよ。奥の部屋が空いてるからそこを好きに使うといいわ」
「有難うございます。料理もとても美味しかったです。ではお言葉に甘えて今日はもう休みます」
「おう、本当にありがとな。これからルイのことは頼むよ」
食事を終えてマリーがティアを部屋まで案内する。
ティアの部屋は俺の部屋のすぐ隣だ。
自分の部屋の横に美少女が寝泊りしていると思うと少しドキドキしてしまう。
慣れるまで中々寝付けないかもしれない。
「ルイも初めての町で疲れたでしょ。今日は早く休むのよ」
「とても楽しかったから大丈夫だよ。じゃあ僕も部屋に戻るね」
「ルイ、明日からがんばれよ」
「うん!」
マリーに勧められるまま俺も自室へと戻る。
一日を振り返ると非常に濃い一日だったと思う。
ミュールの町は大きくて賑やかだったし、ファンタジーの定番である魔法ギルトにも行き、新しい魔法も覚えた。
何よりもティアと出会い、これから一緒に魔法の勉強ができる。
振り返ると嬉しい気持ちになる。
なかなか寝付けないと思っていたが、やはり子供の体のせいか、その日はすぐに眠りにつくことができた。
隣で怪しくぶつぶつと独り言を言い、くっくっくと笑うティアに気づくこともなく。
――ティア視点――
ふふふ、これでこれから堂々とあのガキを研究できるわよ。
一応これから私の教え子だから名前で呼んであげるか。
マリーに聞いたところ、特別変わった訓練をしているわけではなかった。
それなのにあの子は異常な程の魔力と魔力制御を身につけている。
だとしたらやっぱりルイが特殊ということか。
その秘密を少しずつ暴いていくわよ。
それにしてもなかなか良さげな家庭でよわかったわ。
マリーは優しいし料理もなかなかのもの。
私は全然料理がだめだからそのうち教わりたいわね。
いくら表面上お淑やかでも、料理もできないとね。
ロイスはさっぱりしているから割と付き合いやすい。
私ってあまり男が得意じゃないんだよね。
私を見てもあまり反応がないところを見ると夫婦仲はよさそうだ。
くっくっく。
なんて恵まれているんだろ。
希少な研究対象がいて、苦にならない環境。
最高だ。
「やっぱり家庭教師を受けてよかったわ」
その一言を残し、ティアもその日眠りについた。
お読み頂きありがとうございます。
次話は明日の予定です。