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予想以上の才能

※内容を修正しました。

まだまだこんなもんじゃ足りないですよね。


 マリーと魔法の訓練を初めて1週間が経った。


 最初の3日間は俺とマリーが一緒になって四大属性の生活魔法を練習し、多くのことを学んだ。初日に無詠唱をマスターしたとは言え、発動速度や、魔法の応用などまだまだ課題は尽きない。

 別にセンセイを悪く言うつもりは全くないが、やっぱり誰かと一緒に練習していた方が発見は多いのだ。

 

《・・・》


 いや、だから悪く言うつもりは全くないぞ?


 そして残りの4日間は自主トレを行っていた。

 生活魔法はもう完璧だと3日目にマリーから言われ、更に俺が自主トレしたいと主張したからだ。どんどん新しい魔法を覚えるのもいいが、やはり基礎はしっかり固めた方がいいと思っての判断だ。

 

 それに多分マリーも人に魔法を教えた経験がないから、今後の授業の内容を準備させたかったというのも理由の一つだ。


 その甲斐もあり、この1週間で俺の魔法はかなり上達したと思う。

 魔法の発動は無詠唱で出来るだけでなく、呼吸をするのと同じぐらいスムーズになってるし、魔法の制御も自由自在だ。


 当然自主トレではマナ共鳴の練習も行い、その過程で魔力とマナ共鳴の仕組みも大分理解できた。

 普通、魔法の威力は込める魔力の量によって変化する。マリーもそう教えてくれた。俺の魔力量は今や莫大な量になっているため、自分の魔力だけでも威力の高い魔法は出せる。

 

 一方、マナ共鳴というのは魔法にマナを込めて魔法の威力をあげる方法だが、この方法は活性化されたマナじゃないと使えないし、マナを感じ取れないと使えないから俺独自の技だ。

 

 よくよく考えるとこのマナ共鳴というのはチート以外の何者でもない。だってマナは無限と思える程この世界に溢れているから、魔法を強化し放題なのだから。

 まぁ、実際に試したらそう都合よくはならなかったが。

 確かにマナで魔法を強化できるが、その威力はその魔法本来の上限までしか威力を高められないようなのだ。生活魔法を攻撃用に使えないか試して検証した結果だから間違いないだろう。

 でもそもそも魔法を最大威力で発動させるのも本来は難しく、自他共に魔法の強化ができ、魔力が少ない状態でも魔法が使えるんだからやはりチートには変わりない。

 

 そしてマナ共鳴にはもう一つの特徴がある。

 それは魔法の効果をイメージ通りに変化させることができるのだ。

 アクアの時のように水を美味しくしたりと、自分のイメージを魔法に乗せられる。尤もイメージが弱いと反映されないが、前世の知識を持っている俺ならそれも可能だ。

 言い換えればイメージの力でいくらでも魔法を強くできるとも言える。

 


「じゃあルイ、練習の成果を見てみよっか。一体どれだけ凄いことになってるのか少し緊張するけどね」

「うん! 母さん見てて」


 まずは火の魔法、ライトからだな。

 俺の指先から小さな火の玉が生まれる。

 そして俺は更にライトに魔力を込めるとビー玉サイズだった火の玉が野球ボールほどのサイズに変わり、明るさもかなり増した。

 

 今度はライトを操作する。

 俺の周りをくるくる回転させてからマリーの方へと近づけ、マリーが手をライトに伸ばそうとした瞬間俺はライトを素早く上空へと移動させた。

 

 ここまでは普通のライトだ。

 と言ってもマリーを見ると、その顔には驚きの表情が浮かんでいた。


 そして最後に俺はマナをライトに送り、俺のイメージを魔法に込める。

 高度をどんどん上昇させていたライトは上空でぴたっと止まり、次の瞬間には打ち上げ花火のように弾けて消滅した。


「すごい・・・ 強化具合も制御もすごいけど、最後のは・・・ 何?」


 俺の魔法にマリーは驚くが、まだまだこれからだ。


「じゃあ次に風を試すよ」


 手のひらをマリーに向けて魔法を発動させる。

 そよ風が吹き、マリーが気持ちよさそうに目を細める。

 少しイタズラをしてみるか。

 俺が更に魔力を込めると風力が一気に強まり、マリーの髪が強風によって乱れた。


「こら! ルイったら!」


 マリーが俺を叱っているが無視だ。

 更に魔法にマナを込めて制御する。

 小型の竜巻をイメージしながら風を頭の上で渦巻くように操作する。

 するとマリーの無方向に乱れていた髪の毛が纏まって頭の上で逆立ち、それを見て俺が笑っているとマリーは俺を睨みつけた。


「ルイー・・・ イタズラが過ぎるわよ!」


 マリーの迫力に負け、俺は直様魔法を解除した。


「ごめんなさい!」

「まったくもぅ! 魔法が凄すぎてついて行けないけど、でもイタズラするルイを見てると安心するわ。やっぱり子供なんだなってね。ふふふ」


 いや、実年齢はマリーよりかなり年上だけどな?

 幼稚でスミマセン。


「じゃあ次は土の魔法を見せてちょうだい」


 それを聞いて俺は地面に指を向けてアースを発動させる。

 魔力を徐々に強めると地面に土が徐々に集まり、小さな山が生まれた。

 そしてマナを込めると、土の山はその形を徐々に変え、やがて小さな泥人形の形へと変わる。

 うーん、まだまだ俺がイメージするようなフィギアには程遠いな。


「これだけの量の土をここまで操作できるなんてすごいね」

「その人形に触ってみてよ」

「ん? 触ればいいの?」


 首を傾げながらもマリーは俺の言う通りに手を人形に伸ばし、そして持ち上げた。


「え? 重いわね。 あれ? 土なのにすごい硬い! 岩のようだわ!」


 そう。

 俺はマナによって土を操作しただけでなく硬度も強化したのだ。

 マリーが人形を触りはしゃぐ姿を見ながら俺は最後の魔法に取り掛かる。


「じゃあ最後に水だね」


 俺は指先から水の塊をまず浮かばせた。

 そして魔力を込め、水の塊をどんどん大きくしていく。

 最初はコップ一杯分だった水が今ではお風呂を満タンにできるほどの量になっている。


「すごい・・・」


 マリーが呟く。

 でも驚くのはこれからだ。俺はそれらの水にマナを込めて形を変えていく。


「え? 何これ・・・ 文字?」


 マリーが言うように俺は水の形をどんどん操作して文字の形にしていく。

 こんなことは本来のアクアでは不可能だが、マナを共鳴させた状態なら意のままだ。


 「マリー・・・大、好き・・? マリー大好き!?」


 マリーが俺の書いた文字を見て口を両手で抑えながら驚く。

 空中に水の文字が浮かぶ姿はなんとも幻想的だ。


「ありがとうルイ、ママも大好きよ! って、水をここまで操作できるなんて聞いたことないよ! しかもルイ、あなた文字の読み書きできるの!? えぇ!?」


 しまった! 

 また調子に乗ってやりすぎた!


 マリーが驚きのあまり混乱する。

 俺は慌てて魔法を解除してマリーの元へ駆け寄る。


 そう、気付いたのは最近だが、俺は日本語感覚で文字の読み書きができるのだ。

 センセイ曰く、どうやら転生する前に女神から授かった【異世界言語】の力らしい。

 

「家にある本を読んで覚えたの! がんばったんだよ!」


 とりあえず可愛らしさで誤魔化してみる・・・

 マリーは俺を見ながら少し考え込んでいたがすぐに笑顔を向けてきた。


「えらいわルイ! やっぱりルイはとんでもない天才ね! 後でパパにも教えないと!」


 マリーが俺の頭を撫でながら褒めてくる。

 そしてしばらく経って少し悲しそうな目を俺に向け口を開いた。


「やっぱりママじゃもうルイに魔法は教えられないわね」

「え?」


 いきなりの言葉に俺は戸惑った。



お読み頂き有難うございます。

次話は明日投稿します。

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