第七話(最終話) 「カッとなってつい…」
最終話です。
いつもより長くなっております。
ご面倒ですが、最後までお付き合いください。
「はぁ…はぁ…あぁん。」
艶めかしい吐息が漏れる。
豊満な胸の先には、洗濯ばさみが付けられ鈴が鳴る。
チリン…
「うぅん!!」
目隠しをさせられ、後ろ手に拘束されている。
暗いその場所に一人取り残され、自身の身に与えられる快楽に身を悶える。
チリン…チリン…
なんとかバランスを取り立ち上がろうとする度、鈴が鳴る。
その鈴の音は快楽の合図。
気が付くとその場から脱するために動いているはずが、快楽に身を任せるようになっている。
不意に、もう一人が立っていた。
「さて、乳神様、いい加減嫌がらせをやめましょうね?」
「ち、違う!!嫌がらせではない、今回はちゃんと有益な情報を…!!」
「嘘をつかない!!」
胸の妖精が洗濯ばさみを一つもぎ取る。
「あ…!!」
恍惚の笑みを浮かべ、乳神は倒れこむ。
「その態度を見るとあなたが言っていることが事実かどうか怪しいんですよ!!」
「はぁ…はぁ…ほ、本当だもん…。決して、ごほう…罰が欲しくてやっているんじゃないもん…!!ほしいけど…。」
「あぁ、気持ち悪い!!」
思わず、乳神から距離を取る胸の妖精。
「だ、大地の神が接触してきて、自ら確認するという情報なのに…。」
乳神が絶え絶えの声で、胸の妖精に聞こえないほどの声でつぶやいた。
―――リリアの家
「美味しい…。これ、本当にすごい…。」
そこには、アイリスが残していた聖護パンを食べるリリアの姿があった。
「落ち着いた?」
「落ち着いたけど、逆に落ち着けない…!!美味しい、このパン!!」
呆れたようにリリアを見るアイリス。
しかし、核心に迫った今、なんとか記憶を戻そうとヤキモキしている。
「あら、リリア何を食べているのかしら?」
ふと背後にリウムがいた。
「…ぐっ!!」
急なリウムの登場に喉を詰まらせるリリア。
「私のをあげてるだけ。」
「あらそう?なら良いんだけど。」
リウムが冷たい目をリリアに向けながら答える。
「たぶん、原因は分かった。」
「え!!そうなの!?」
「ただ、最後の要因が分からない。」
「どういうことかしら?」
「おそらく、リリアがなにか魔法を使ってそれが原因で、こうなった。」
「魔法…。」
「そして、落ち着かないからと食べさせている。逆効果だった。」
「そうみたいね…。はぁ…。」
―――翌日
結局、そのヒントを得たその日、リリアは聖護パンが頭を離れず、何も思い出せずにいた。
「うー…何やってたっけ…。」
思い出そうとすればするほど、記憶が混乱する。
「こりゃ、一回、リフレッシュにいつも通りのことをさせたほうがいいな。」
クリサンが、その惨状を見て、方針を決めた。
その際、長老に解決の兆しがあること報告した。
「やはり、アイリス殿は大地の神の使いだったのだな。魔力の回路が見れるとは…。」
「いやはや、ようやくここまで来たというのに、リリアが申し訳ございません。」
「いや、リリアも良くやっておると思うぞ?ただ、抜けているだけで…。」
「そう言っていただけると助かります…。はぁ…。」
「何、もう、目の前じゃ。焦らずな。」
「はい、ありがとうございます。」
「さて、まずは、朝起きてお祈りを捧げて、ご飯を食べて泣きそうになって…。」
「あれは、すごかったな…。」
リリアとクリサンが当日を振り返る。
「あら?」
リウムがすっと参加する。
「「なんでもありません!!」」
リリアとクリサンが同時に返事する。
「さて、あの日はそのあと…あ!!」
「何なに!?」
リウムが考え込んだ途端に声をあげた。
そして、即座にリリアが反応する。
「なになにもあなたのことでしょう…。それはともかく、確か、あの日は実りを促進させる作業あったわよね?」
「大地の神様の力を借りて作物を丈夫にしたりする作業、したね…。」
「その時、豊穣の魔法を使うわよね?」
「うん。」
「うんって…。だから、それが要因でしょ?」
「リリア、プルベリー食べて、魔法を。」
いつの間にかいたアイリスが指示を出す。
「あら、今あるのはジャムだけだけど…。」
「試してみて。」
アイリスがリウムに指示する。
―――パク
リリアがジャムを口にする。
周りの視線が集まる。
「うん、変化が出てきた。魔法を。そこの鉢植えを対象に。」
再びアイリスが指示を出す。
「え?う、うん…。」
リリアは言われるままに魔法を唱え始める。
鉢植えの植物がほのかに光、生気に満ち始める。
それと同時に、リリアにも変化が始まった。
徐々に胸がサイズを増し始めた。
「胸に集中した魔力が循環を始めてる…。」
「おぉ…こんなことが…。リウム、おまえ…グフ!!」
クリサンがリウムに声を掛けるなり、即、拳が飛ぶ。
「ということは、豊穣の逆をすれば、元に戻る。」
アイリスが何事もなかったかのように言う。
魔法を終え、リリアがアイリスの言葉を聞く。
「そうなの?えっと、そしたら、毒草の排除に使うのを使えばいいの?」
「そう。」
「分かった、そしたら、ちょっと外に出る!!」
と、リリアは飛び出した。
―――森の中
そこには、新芽のみとなった小さな毒草と胸が小さくなったリリアがいた。
「戻った…。やった…。」
ブカブカになった胸元を見ながら棒立ちになったリリアが、喜びに震えながら呟いていた。
「あれ?でも、色が戻らない…。」
「大丈夫。もうそろそろ戻る。」
いつの間にかリリアの背後にいたアイリスが答える。
「え?なんでわかるの?」
「…。」
と、リリアの肌の色がすっと褐色からまぶしい白色へと色が抜けるように変化し始めた。
そして、わずか数十秒程度で落ち着いた。
「あ、本当だ。アイリスちゃん、すごい!!まるで、大地の神様みたい!!」
「…大地の神だよ。」
アイリスが答える。
「え!?」
と、アイリスの姿が変わり始めた。
が、ほぼその外貌は変わらず、わずかに身長が伸び、胸がほのかに膨らんだ程度であった。
「ちょっと大人っぽくなった…けど…。」
「けど、なに?」
「な、なんでもないです…。」
胸に視線を向けながら言うリリアをアイリスが、冷たく牽制する。
「おめでとう、リリア。これで元通り。」
「え?あ、ありがとう…ございます?」
未だ、混乱しているリリア。
なんとか理解をしようと努力する。
「戻ろう。」
アイリスがリリアを促す。
「う、うん。」
―――村内
「ただいま!!」
リリアが長老、両親のもとに出てくる。
元通りになったリリアを見て、全員が驚き、安堵の表情を浮かべる。
「これからも変わらぬ信仰を。」
本当の姿になったアイリスが告げる。
「あ、アイリスちゃん、大地の神様だった…。」
リリアが告げる。
と同時に、全員がその場にひれ伏せる。
「気にしないで。」
「いえ…。その大地の神様、御自らありがとうございます…!!」
長老が畏まり、礼を述べる。
「やはり、原因は、リリアに…?」
「そう。ただ、偶然が重なった。気を付ければ問題ない。」
「そうか、良かったな、リリア。これまで以上に、大地の神様に感謝を捧げなさい。」
リウムがリリアに言う。
「うん。大地の神様、ありがとうございます。」
「ふぅ…。では、また元に戻る。」
アイリスはそう言って、森の中に戻ろうとした。
「あ、忘れてた。乳神はアテにしてはいけない。」
そう言って、アイリスは森の緑に溶け込むように消えていった。
「それにしても、なんで、胸が大きくなると恩恵がなくなるのかな…?」
「そりゃ…な…?」
リリアの疑問をクリサンが濁す。
「もしかして、コンプレックスだった…とか?」
「リリア!!しっ!!」
こうして、エルフの森の事件簿は幕を閉じたのであった。
最終のみ、いつもより長くなりました。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
また、ちょこちょこ修正が入るかもしれません。
ではまた、お会い出来れば…




