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エルフの里の事件簿  作者: 秋津 久寝
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第六話 「おとなしく、まじめで犯罪を犯す様に思えなかった」

朝、リリアは久しぶりに味わう満足感に満ちた睡眠により上機嫌であった。

いつもの習慣を終え、客間へ行く。

するとすでに目が覚め、身だしなみを整えているアイリスを見つけた。


「おはよう、アイリスちゃん!!」


「…おはよう。」


アイリスは静かにリリアへ顔を向け、挨拶を返した。


「さ、朝ごはん、食べに行こう。」


「分かった。」


食卓に着くとリウムが朝食を用意してくれた。

その内容は、別段普段通りで、アイリスに対して特別扱いをするという内容ではなかった。


「…リウム、良いのか?大地の神様の使いだぞ?」


クリサンがリウムに耳打ちする。


「とはいっても、特別なものを用意してなんとかなるなら、とうの昔にリリアも戻っているでしょう?何を見に来ているのか分からないけど、敬虔なドルイドの民としての生活をしているほうが印象が良いと思わない?」


「う、なぜにそんな突然正論を…。」


「あの子のためですから。」


突然の真面目なトーンに、クリサンはそっと、パーティーグッズを隠した。


「…美味しい。」


「そうでしょう?お母さんの食事、基本は美味しいの。時々、暴走するけど…。


「暴走?」


「アイリスちゃん、プルベリーは好き?」


「森に実るものは、なんでも好き。すべてが気持ちの良いものにあふれている。」


「うん?とりあえず、好きなんだね。前に、プルベリーを使った非常にすごいものを作ったの…。」


「?」


「あれは、もう、思い出したくないな…。」


「そんなにすごいの?」


「あー…うん、いろいろとね…。」


「ふーん…。」


「そういえば、あれは原因じゃなかったけど、そのすごいのを食べてから、異変が起きたんだよねぇ…。」


「異変?」


「胸が、大きくなったの。」


「!!」


リリアの言葉を聞いた途端、アイリスの目が見開かれた。


「…アイリスちゃん?もしかして、そのすごいのを食べようと思ってる?」


「…。」


無言で頷くアイリス。


「さっきも言ったように、それが原因じゃなかったんだよ…?だから、そんな危険なことはやめよう…?ね?」


怯えるリリア。

それでも尚、目を見開くアイリス。


―――チチチチ…


二人が見つめあう中、沈黙だけがその場に存在した。

時折、小鳥が近くを飛んでいるらしく、その鳴き声を響かせる。


徐々に顔が青ざめ目が血走るリリア。

それに相反し、目が輝き続けるアイリス。


更に数刻後、ようやくアイリスが口を開く。


「分かった、諦める。」


不意の言葉に、リリアの目に溜まった涙が一筋流れた。


「良かった…。ありがとう、理解してくれて…。」


リリアの心からの安堵と感謝の念が言葉となり、口から漏れた。


「ただ…。」


「ただ!?」


「プルベリーを食べたい。」


「へ?あ、うん。分かった。あとで取りに行こう。」


予想外の言葉に、リリアは一瞬戸惑ったが、即答した。


二人はその後、森へと向かい、プルベリーを摘み始めた。


「これ、美味しいのに、なんでお母さんはあんなものを作れるのか…。なんか、うらみでもあるのかなぁ、本当…。」


時折、つまみ食いをしながらリリアは順調にプルベリーを摘んでいく。


リウムにプルベリーを摘みに行くことを伝え折り、ジャムを作るということで多めに積むよう言われたのである。


「ま、ジャムなら美味しいからいいんだけどね。」


と口の周りをプルベリーの果汁で汚しながらリリアはつぶやく。

アイリスはその横でゆっくりとマイペースにプルベリーを摘んでいる。

時折、リリアの様子を見ながら…。


昼前、二人は帰ってきて収穫の成果を見せた。


「あら、たくさん摘んでくれたのね。ありがとう。」


「たくさん成ってたから、他の動物たちの分もしっかりあったからね。」


「そう、それは良かったわ。ところでリリア。なぜ、そんなに口の周りが汚れているのかしら?」


「え…。これは、その、より美味しい実を選別しようと…。」


「アイリスちゃん、どうなの?」


「美味いと言って、これは止まりませんなぁ、と見境なく食べていた。」


「あら、そう。」


リウムの声が低くなる。


「あー…。」


徐々に顔色を悪くするリリア。


「てへ…?」


「昼食抜き。せっかく今日は美味しいパンがあったのにね。」


「へ?」


「特別な加護を受けた小麦で作られた聖護パンが手に入ったの。長老のおかげで。」


「ふ、普通のパンとどう違うの…?」


「そりゃ、大地の神様の加護の元作られた小麦だからねぇ、それはとても豊潤で香り高く、しっとりとしていてモチっとしていながら、くちどけが素晴らしく、一口食べればそれはもう、至福を味わえる一品なのよ。ちなみに、ジャムなんか付けるともったいないなくて、そのままでしか食べたくなくなるわね。」


「…ごくり。」


「残念。」


死刑宣告にも等しいリウムの一言で、リリアは燃え尽きた。

真っ白な灰のように、ただ、その場に佇み微動だにせず、ただ、そこにあった。


「とても、美味しそう。」


アイリスがボソっとつぶやく。



―――午後の日差しが森を照らす


「リリア。」


抜け殻のようになったリリアにアイリスが声を掛ける。


クゥー…


リリアはお腹の音で返事をする。


「リリア、魔力の流れがおかしい。」


クゥー…ググ!?

「ちょ、どういうこと!?」


お腹の音で返事をしかけたリリアが、ようやく意識を戻し反応する。


「なんだか、色が違う。」


「色?」


「通常の魔力回路の色とは変わってる。」


「うん?あー…。そ、そうなの?」


「プルベリーを食べた日、他に何をやった?」


「え?」


「なにか、魔力を使った?」


「きゅ、急に言われても…。あぁ、なにしてたっけ、私…!!」


アイリスの急な言葉に、混乱し、思わず頭が真っ白になるリリア。


「ごめん。落ち着いて。考えて。」


「あ、ありがt…」

キュー…グー…


途端に、お腹が鳴り出す。


「はぁ…お腹空いた…。」

ついに原因判明!?

リリアの巨乳化の謎が解ける!!

ついでに、リリアのお腹もなり続ける!!


乳神?

なんのことでしょうか?


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