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エルフの里の事件簿  作者: 秋津 久寝
1/8

序章

ふとよぎったネタをなんとか形にしました。

短めに行く予定です。

ご意見・ご指摘あればよろしくお願いします。

※不定期連載

ある大陸に存在する大森林地帯。

その中でも、樹齢が500年を超える大樹が密集している場所にエルフの隠れ里がある.

敬虔なるドルイドの使徒である彼らは、その魔力・長命を活用し、日々、信仰と研究の日々を過ごしている。


朝陽が地平線から光を漏らし空が白む頃、あるエルフの娘が目を覚ます。


「…んん。」


柔らかな綿の枕に埋もれたエルフ特有の耳がピンと立つ。


「ふぁ~…。朝かぁ…。うー…。」


その見た目は、まだ幼さを残す15~16の娘のようであるが、すでに50を超えていた。

長命であるエルフの成人は、通常の種族のように15であるため、すでに成人はしているが、この隠れ里の平均年齢は200歳前後。

エルフの寿命が約4~500年程度であることを考えるとまだ、幼い年齢である。


「起きないと…。起きて、朝の支度を…。お母様に怒られる…。」


少女のようなエルフ、リリアが懸命に目を開けようと努力する。


「起きる…。私は、起きる。起きるんだ、リリア!!」


気合とともに上体を起こし、窓から外を見る。

すでに、夜の群青のような深い青は空から消え、明るさが満ち始めていた。

緩慢な動きでベッドから降りると窓の前へ行き、ひざまずき、祈りを始める。


「偉大なる大森林に宿る神々よ、新しき一日をもたらす朝陽を迎えられる喜びに感謝いたします。

また、我らに自然に宿る恵みを分け与えていただき、ありがとうございます。

今日も一日、お導きを頂けますようお願いいたします。」


いつものお祈りを捧げるとリリアは立ち上がり、洗面所へと向かう。


洗面所には、銀で作られた桶ほどの大きさの丸い鏡が壁に掛けてあった。

洗面台の横に置かれた、蓋のされた甕から桶一杯分の水を汲む。

そして、顔を洗い、細かい毛がびっしりと生えた丈夫な葉を巻き付けた枝で歯を磨く。


と、リリアの背後から彼女の母親が顔を出す。


「おはよう、リリア。今日は、ちゃんと起きたのね。」


「…‼」


急ぎ、口にくわえていた歯ブラシを取り、口をゆすいでリリアが返事する。


「ふぁ、はい、お母様。ちゃんと、起きました。」


「お祈りは、きちんと済ませた?」


「はい。」


「では、朝の支度をお願いね。」


「はい、しっかりやります‼」


「じゃ、よろしくね。朝食の用意してくるから、それまでに済ますのよ。」


母親はそう言うと、さっさとその場から離れていった。


「ふー…危ない危ない…。さっさと着替えてきますか。」


リリアは聞こえぬよう呟くとタオルで顔を拭くと自室へと急いだ。


ゆったりしたら白い寝間着から、青く染色されたワンピース状の服に薄い灰色をしたカーディガンを羽織り、カーディガンと同じ色した緩いパンツを履き表へと向かった。


エルフの家の形は基本、レンガ造りの丈夫な作りであり2階建てのものが多い。

屋根は森に溶け込むように緑色に彩色されることが多く、リリアの家も同様であった。

そして、特徴的なのが、各家に自身の家系を司る神樹が植えられている。

初代となる人間がその場に家を建てる際に、自身の象徴となる木を植え、ドルイドの秘術を用い大木へと成長させる。

そして、その木の傍に家を建てるのである。


「神樹にやどるご先祖様、おはようございます。」


リリアは表に出るなり、神樹に向かい、挨拶する。

エルフの一日は、この神樹の世話から始まる。

神樹の周りを掃除し、魔法を使い健康状態を確認する。

必要であれば、生命力を活性化させる魔法を施し、健康を保つのである。

そして、近くを流れる川から水を汲み、神樹の周りに撒く。

ここまでが、朝の支度となる。


この日もいつものようにリリアが朝の支度を終え、家の中へと戻る。


「お母様、終わりました。」


「ありがとう。まだ、少しかかりそうだから、お父さん呼んできて。たぶん、付近の散策に出てると思うから。」


「分かった。」


母親に命じられるまま、リリアは再び表へ出て、父親を捜し始めた。


「えーと、シルフ…で良いよね?風を司るシルフよ、我が魔力に応え、顕現せよ。」


リリアが自信なさげに祈りの言葉を唱えると小さな緑の光が集まりだした。

そして、徐々にそれは妖精の形を取り始める。


「おはよう、シルフ。」


リリアが声をかけるとシルフは嬉しそうに手を振る。

大きさは手のひらほどのシルフが、うっすらとした緑色の輪郭の体でリリアに挨拶をする。


「お父さん、どこにいるか知ってる?」


リリアの問いにシルフは、笑顔で答える。

そして、リリアの指を掴み、先導する。


集落全体を囲むように存在する森林へと入り、数分程歩くとすぐに自身の父親を発見する。


「あ、いた‼ありがとう、シルフ。」


リリアがお礼を告げるとシルフは、笑顔で手を振り光の粒となって辺りに霧散した。


シルフ達妖精は、普段は自然に宿り、そのなかで生活しているため姿を現す力がない。

しかし、魔力という媒体を用いれば、魔力を存在力へと変換し、姿を現し物理的に鑑賞ることが可能になるのである。


「お父さん、お母さんが朝ごはんって‼」


「おぉ、ありがとう。じゃ、戻るか。」


「お、娘ちゃんがお迎えか。羨ましいねぇ~、クリサン。」


クリサンと呼ばれた男が、仲間たちに別れを告げ、やってきた。


「母さん、今日は何作るって?」


「あー、聞いてないや。」


「もう、この間のキノコ酢漬けスパゲティはないよな…?」


「うげ…。あれは、頑張って食べきったから大丈夫だと、思う…かな?」


「母さん、たまに訳の分からないごはん作るから、怖いんだよなぁ…。」


「それが怖くて、メニュー聞くの嫌なんだよねぇ…。」


「普段は普通のものしか作らないのに、なんで、変なの作るんだろうなぁ…。」


「んー…。前にストレス発散って言ってたけど…。」


「なんかやったか、父さん?」


「いや、お父さんもだけど、私も何もしてないよ。」


「身に覚えがないから、本当、やだなぁ…。」


「あーでも、井戸端会議した時にすんごいのが出てる気がする…。」


「それじゃないか、原因…。」


「でも、見かけたときはいつもニコニコしてるよ?」


「そりゃ、ご近所付き合いだから、ニコニコしてるだろうよ…。」


「そんなもんなの?」


「そんなもんだろ。今度、変な料理出たら、さりげなく聞いてみてくれ。」


「何を?」


「嫌なことでもあったの?って」


「嫌だよ~、怖い。」


「父さんだって嫌だよ~。」


「子供に自分の嫌なこと押し付けていいの?」


「ぐ…それを言われると父さん辛いなぁ…。」


「でも、一番の理解者でしょ?」


「それを言い出すとお父さん男だから、わからんなぁ。女同志ってことで、リリア、聞いてくれよ~。」


「え~、自分の妻でしょ?」


「分かった、今度、森の巡回の時に琥珀を取ってきてやる。それならどうだ?」


「え⁉琥珀‼ そ、それなら、いいかな~?」


「やった。じゃ、それでよろしく。」


「分かった、よろしくされよう。」


と、父娘で母親をネタに盛り上がりながら、短い帰路に着いた。


□□□◇◇◇□□□◇◇◇□□□


「お父さん、これ、なんだと思う?」


「どう見ても、木の実だな。それもとても甘く、美味しいはずの。」


「それがなんで、スープに浮かんでるの?」


「それは、父さんじゃなくて、母さんに聞くべきことだと思うな?」


今、リリアの家の食卓には、トーストされたパン、ジャム、サラダに、謎のスープが置かれていた。

スープに浮かぶ果物は、パルベリー呼ばれ、ヘビイチゴのような形をしている。

特徴としては、普通のヘビイチゴと違い、明るい紫色をしており、非常に甘い。

ほのかに蜂蜜を彷彿とさせるほどある。

通常であれば、ジャムにしたり、そのまま食すもので、決してスープにするものではない。


「と、とりあえず、お母さんが戻ってくる前に味見してみよう?」


「そうだな…。もしかすると普通の味かもしれない。」


母親であるリウムが、朝食の準備で使用した調理器具を洗っている間に、二人で一口、スープを飲む。


「うぐ…‼」


「…むぅぅぅ‼」


クリサンはスープを口に含むと吐き出すのをこらえ苦しみ、リリアは即座に飲み込んだものの、その後味にもがき苦しむ。

異様にしょっぱいスープに、熱々のプルベリーの甘さ。

甘じょっぱいというより、加減ができず、暴力的で両極端な味覚が口内で暴れる。

ペーストにした豆のスープをベースにしたのか、妙に苦い。

また、プルベリーの甘い香りが、豆の臭みと相まって、異様に口に残る。


「み…水‼」


リリアは咄嗟に、水を洗うように飲む。

クリサンも同様に、口に残ったスープを水で流し込む。


二人が汗を滴らせ、肩で息をする。


「これ、なんていう兵器?」


「わからん。 料理がわからんというより、母さんがわからん…。」


「ん?あなた、私のなにが分からないの?」


気が付くと、クリサンの背後に母親が立っていた。


「リ、リウムさん、このスープはなんでしょうか?」


「これ?最近流行っているらしい、絶妙スープらしいわよ?美味しい?」


「え、えーと…。リリアはどうだ?」


クリサンが、突然、リリアにパスをする。


「と、とても個性的な味がする…かな?」


「あら、そう?」


母親であるリウムが、リリアの頑張って作っている笑顔を見ながら、答えを反芻する。


「で、あなたはどうなの?」


「えーと…そのぉ…あー…、あ‼ 新しい味、だなと、思い…ます。」


「あら、二人とも気に入ったみたいね。」


「「う、うーん?」」


二人して、なんとも微妙な反応で返す。

料理を担当し、食卓を管理するリウムに逆らうことは、食事抜きを意味する。

そのため、ご機嫌を損なうことに恐怖を感じている二人は、なんとか、スープから回避を試みようと動く。


「か、母さんは食べたのかい?」


「ん?私?いいえ。せっかくの新作料理だったから、まずは二人に食べてほしかったのよ。」


リウムはとても良い笑顔を二人に向ける。


「た、食べてみる?」


リリアが恐る恐る尋ねる。


「それがね、作ってる最中におなか一杯になっちゃって。とりあえず、今、二人分で作った分だけだから、二人で食べちゃって。」


リウムの容赦ない死刑宣告。

二人には、そのようにしか受け取れなかった。


「じゃ、朝の用事もやらなきゃだから、さっさと食べちゃってね。」


リウムはそう言うとさっさと、家の掃除を始めた。


「…どうしよう。」


「どうするも、これ、食べないと大変だぞ?」


「でも、食べても大変そうだけど…。」


「捨てる?」


「それも気が引けるというか…。」


そんなやり取りをしばらく続けたところでリリアが意を決して、スープを食器ごと持ち上げ、飲み干す。

その様子を見て、クリサンも覚悟を決める。



その日、元気のない笑顔で二人は一日を過ごした。


どうにか、リウムには、同じスープを作らないように了承させたことが、この日二人が得た、最大の成果であった。



そして、翌朝、事件が起きた。


□□□◇◇◇□□□◇◇◇□□□



いつものように目を覚ますリリア。

そして、いつものように祈りを捧げ、洗面所へ。


はっきりしない頭で顔を洗い、鏡を見る。


「あれ?顔が汚れてる…。お母さん、水甕の水、汚れてるよー‼」


リリアがリウムに大声で言いながら、顔を拭く。


「もう、顔洗いなおさなきゃー…。 あ、水瓶の水、捨てておこう。」


そう言いながら、リリアは水甕を持ち上げ、洗面台に流そうとする。

するとリウムがやってくる足音がする。


「リリア、女の子がそんな大きな声出さないの。」


水を流しながら振り返ると背後にリウムが。


「もう、お母さん、水汚れてたよ~。 たぶん、お母さんも顔、汚れてるんじゃないの?」


いつも先にリウムが顔を洗い、朝食の準備をするため、リリアはそう思って、母親の顔を見る。

だが、リウムの顔には汚れがない。


「もしかして、お母さんの悪戯?」


「…。」


リウムの悪戯かと思い、問いただすもリウムからの反応はない。

むしろ、愕然とした表情でリリアを見ている。

顔、胸、足と全身をくまなく見る。


そして、おもむろにリリアの胸を見つめたまま、リウムは自身の胸に触れ、何かを確かめている。


「え…?どう、したの…。おかあさ…」


再び、リウムに話しかけようとした瞬間、リウムが口を開く。


「く、クリサン‼り、り、リリアが…‼リリアが‼」


「え、何?お母さん、ちょっと、落ち着いて‼」


突然、錯乱するリウムに戸惑うリリア。

異常を察知したのか、クリサンが洗面所にやってくる。


「どうした、リウム。朝から大声出して。」


のほほんと姿を現すクリサン。

リウムの様子を見て、一瞬驚くも、すぐに落ち着き、リリアへ視線を移す。


「リリア、かあさ…って、リリア⁉」


とクリサンもリリアを見て、驚きの声を上げる。


「ど、どうしたのお父さん⁉」


固まるリウム、慌てふためくクリサン。


「お、お父さんは、リリアをそんな風に育てた覚えは…。いや、リリアはいつも通り、いい子なはず…。

 な、なら、君は誰?姿かたちはリリア…。 い、いや、そのエルフにあるまじき肌の色はなんだ⁉」


クリサンが、真っ先に得た違和感を指摘する。


「え?これ、水甕の水が汚れて…。」


リリアが、水甕の水が汚れていたと言おうとした瞬間、リウムが動き出した。

そして、有無を言わさずに、リリアの胸を鷲掴んだ。


「へ?」


リリアが、我が身で体感し得ない感触に驚き、自分の胸を見る。


そこには、いつものスレンダーさを強調するささやかな胸ではなく、セクシーさを主張する豊満な胸がいた。

そして、食い込んだリウムの指が、胸に埋もれ隠れてしまっている。


「…え?」


全員の時間が止まった中、ようやくリリアが一言を発した。



こうして、リリアのダークエルフ化事件が始まったのであった。


ひとまず、巨乳エロフは存在しない世界。

いるのは巨乳ダークエルフ!!!!!

エロいのはイクナイヨ?

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