幕開:崩壊した日
おにゃのこ4人組とは関係ありません。ひとり足りない?U&Iちゃんだよね。
俺の名は佐藤。35歳。どこにでもいる普通の人間だ。
あー、ダルいっ。つーか、マジでダルいよ。さすがに48時間連続ネトゲは疲れりゃー。ひゃっはー。テンション高いよ。
うぅ、このペットボトルも早く捨てねーとな。汚いし。小蝿ウザイよね。
でもって3時間後には攻城戦か。忙しーな俺。寝る時間2時間半しかねーじゃねえか。あー、さっさと寝るか。
コホン、どこにでもいる普通の人間だ。…価値観は人それぞれであると断っておく。
さて、唐突だが俺の平穏はここまでだった。
寝入ろうとしたときに、俺の持つ邪気眼のひとつ、千里眼が神の試練の発動を感知したのだ。すでに超展開だな。
で軽く説明すると、この能力は神の試練とか運命すら感知できる強力な力であるが、その対象はかなり大きなものにしか発動せず日常ではまったく使えないので、いまいち便利さがわかりづらいかもしれない。しかし、数多の大成フラグを回避し、この狭い部屋とその部屋が5℃は熱くなるパソコンを生活の中心とする俺にとって、この力こそが全てといえた。
そんな説明の間に、俺は椅子から体をひねって横のベッドにダイブすると、さらにそこから反動を活かして部屋の扉に飛び移る。
ベッドから離れる一瞬、パソコンの方にちらりと視線を向けると、そこにはディスプレイから光る両手が伸びており、これが異世界召喚ものだと予測できなければ、軽くホラーな光景だった。
しかし、千里眼の未来視はここで終わりではない。いまは空中で最早振り返ることなどできないが、いま離れたベッドの方からはゴゴゴゴ…と何やら空間の歪みが発生しているようだ。どうあっても異世界に行かせたいらしいな。しかもまだある。
お次は扉を開けたら異世界だったパターンだ。ご丁寧に不自然に扉が開きかけている。
舐めんな。最近腹が気になるおっさん舐めんな。その扉の隣の壁はかなり薄い。俺は最初からそこを狙っていた。
バキッと音をたてるかとおもったが、俺の中ではゴドンッだったな。と、どうでもいい感想は置いておいて、玄関は目前。
ここを切り抜ければ、俺は、この物語は、日常話が中心のちょっと堕落した小粋なおじさんが学園で仲間と一緒にバンドを始める。
そんな平凡で芥川賞が取れそうな話になるんだ!芥川賞さんサーセン!フヒヒ
しかし現実は非情である。そろそろ話が進まないと業を煮やした試練が、とうとう力技に乗り出しがった。いままで玄関のあった場所が急激に離れていく。これなんて無理ゲ。さらに向こうから亜空間が近づいてくる。坊、泣いちゃうぞ。
咄嗟に飛び上がるが、既に着地する床もなくなった。予知して回避できたのは日常プラスな発生だけだ。人体で回避できないものなんてどう仕様も無い。
もう諦めたから面倒なんで説明省くぞ。次は異世界からだ。
「知らない天井だ」
見たこともない真っ白な天井だった。どうやらここは病院のようだ。
目を移すと点滴が見えた。どうやら自分に繋がっているらしい。
そこまで考えて、俺はひとつの結論に達した。
おしまい
といった感じに、一話完結とかどうでしょう?