第1話 〜ラリッツ侯爵目線〜
小説を書くのは初めてですが、どうぞよろしくお願いします。
ラリッツ侯爵である私、マライン・ラリッツに娘が生まれた。
しかし、生まれつき体が弱い方だった私の最愛の妻、レスミル・ラリッツは娘を産んで死んでしまった。
シュライン公爵家の末の子であり、溺愛されていた箱入り娘のレスミルに先立たれ、葬式では全員が大泣きだった。
そしてレスミルに似て生まれた娘、レティリアはハイエルフだった。
シュラインの初代公爵は初代国王に仕えていたハイエルフであり、建国時の大きな功績によって大賢者と呼ばれ、公爵に任命された。
しかし、人間と結婚が多く身内同士では滅多に結婚しない為、ハイエルフの血は薄まり続け、今ではハイエルフの特殊能力とエルフ位の寿命、そしてハイエルフの特徴の1つである美しい美貌を持つほぼ人間である。
そして、何回かシュライン公爵家の女性が嫁に行ったことのあるランドグリスの皇族と、シュライン公爵家の者はすごく美しい美貌を持つためいつもすごい人気だ。
本人達曰く「すごく鬱陶しくて最悪」との事だが私は贅沢な悩みであると思う。
そしてそんなシュライン公爵家とランドグリスの皇族の中には稀にハイエルフが生まれる。
これが数が極少数にも関わらずハイエルフが絶滅しない理由である。
そんなシュライン公爵家の末の子であるレスミルの娘、レティリアは稀なハイエルフとして生まれた。
しかし、ハイエルフの血は黒魔法において最高の媒介と言える。
だからハイエルフは高く売れるため、黒魔道士達にに狙われる。
だからこそレティリアに変化の魔法をかけ、ハイエルフだということをレティリアにも告げず隠すことにした。
そして外出は控える代わりに娘の部屋の隣に専用の巨大書庫や、広い遊び部屋、書斎をつくり大切に育てようと思ったが、私は仕事で忙しい為、サレン・リメルダーという女性と結婚した。
◇◇◇◇
娘が5歳になった。
私たちが住んでいるランドグリス皇国では、5歳になると建物に子供達を集め、順番に宝玉に触れて魔力を測定する。
だが、娘が触れると宝玉が割れてしまった。
昔の英雄の中で最も強大な魔力を持っていたとされている大賢者様でさえ宝玉にひびが入るだけだったにもかかわらず割れてしまったのだ。
建物内に居た大人達は「化け物だ」と大騒ぎし始めた。
父親として娘を安心させなければならないはずの私は全身が震え、動けず声を出すことも出来ずにいた。
やがて周囲を見ていた娘の視線が私の方へ向き、目が合った。
娘はこちらへ走り出した。
しかし走っている途中で目を大きくし、止まった。
私が震えているのが見えたんだろう。
娘はまた走り出した。
今度は私の方ではなく、ドアの方へ。
その後私は娘が恐ろしく感じていて、会いに行こうにも行けなかった。
だから娘に直接何していたのかなど聞けなかった。
娘の護衛にその日何をしていたのかを報告させることにした。
娘につけている護衛からの報告では、娘は魔力測定の翌日に親友だと言っていた子達に会いに行ったそうだ。
しかし、娘は会いに行った親友達に「ごめんね。お母様とお父様がレティリアにはもう会ったらいけないって言い出したの。だからもう会えないの。」と拒絶されたそうだ。
その後、廊下で泣きながら走る娘に会った。
その時娘が涙を拭き私に聞いてきた。
「お父様も私のこと化け物だと思っていますか?」と。
私にはどう答えるのが正解なのか分からなかった。
だから何も言えず、無視をしてしまった。
翌日から娘は自室に鍵をかけ、出てこなくなった。
生まれて5年しか経っていない子供にそんな決断を迫るようなことをしてしまったのだ。
罪悪感はある。
だが、罪悪感だけでは恐怖に打ち勝つことは出来なかった。
もしかしたらシュライン公爵家の者達がいたなら少しはマシだったのかもしれない。
だからせめてもの償いとして毎日ご飯とお菓子を魔法で部屋に送ることにした。
こんなことをしたところで私が娘にしたことが許されるわけがないのは百も承知だ。
だが、やれることはやりたいと思った。
月に一度ぐらいで投稿するつもりです。たまに早かったり、遅かったりすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。