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第三話 新たな出会いとこれからの生活

 日が落ちてきた頃、アルフはルイザに自分が町に来てからの話をしていた時だった。


 ガチャッ


 玄関の扉が開く音がした。


「おや、どうやら私の弟子が帰ってきたようだね。」


 ルイザがそう言うと、部屋の入り口からローブをまとった一人の女性が入ってきた。

 きれいな女性だ。

 短く切られた金色の髪を真ん中で分けている。

 瞳は透き通った金色で、身長は自分と同じくらいだろうか。

 年齢も近く見える。


「〜〜〜。」


 金髪の女性はルイザに一言伝えるとアルフの方を不思議そうな顔で見てきた。


「〜〜〜。〜〜〜〜〜?」

「〜〜〜〜〜、〜〜〜〜〜。」


 ルイザと金髪の女性は会話を交わしている。

 様子を見るに、自分のことを話しているのだろうか。

 相変わらず言葉は分からない。


 二人が何回か会話を交わしたあと、金髪の女性は部屋から出ていった。 

 帰り際に僕の方を睨んできた。

 あまりいい印象ではないようだ。

 ちょっと悲しい。


「う〜ん、すまないな、アルフ。彼女が私の弟子なのだが。やっぱり魔人族と聞いて混乱してるようだ。あまり気にしないでくれ。」


 この大陸には魔族はいないと聞いている。

 そんなあっさり魔人と伝えて良かったのだろうか。





 彼女はソニア・ウォルターというらしい。

 ペトロフ王国という国から来て修行を積んでいるとのことだ。

 僕はソニアの稽古のタイミングでルイザから魔術を教わることになった。

 ルイザに魔法を教えるのは稽古の後だ。


「そろそろ夕飯の時間だな。今から作るから待っててくれ。ちなみにアルフの部屋は廊下の一番奥だ。」


 ルイザはそう言うと立ち上がり、キッチンへと向かっていった。


 彼女が作ってくれるのか。

 それは楽しみだ。

 とりあえず自分の部屋で待つことにした。


 食事はアルフ、ルイザ、ソニアの三人で食べた。

 食事内容はシンプルでパン、スープ、焼いた肉が出てきた。

 普通に美味しかった。

 アルフとルイザ、ソニアとルイザで話すことはあったが、アルフとソニアで話すことはない。

 というか言語の違いで話せない。

 ちょっと気まずい。

 ソニアは食事を一番に終え、部屋を出ていった。


「まあ、一緒に暮らす以上、ソニアとアルフには仲良くなって欲しいんだけど、仲良くなるには時間がかかりそうだね。」

「そもそも言葉が通じないですからね……」


 ソニアと仲良くなれるのだろうか。





 翌日、朝食を終え、ソニアとルイザの稽古を見学することになった。

 朝食が気まずかったのは言うまでもない。

 今のソニアはローブを着ておらず、地味めなズボンと長袖だ。


「〜〜〜! 〜〜〜!」


 ソニアが木刀を振り、ルイザが木刀でそれらをさばきながら何かを指導している。

 ソニアの剣術はレベルが高いと思う。

 魔法については知っているが魔術や剣術はほとんど知らない。

 しかし、素人から見ても無駄が少ないように見える。


「〜〜〜! 〜〜〜! 〜〜〜〜〜!」

「〜〜〜!」


 ルイザはソニアの木刀を全てさばいている。

 魔術の研究をしていると聞いたのだが、剣も使えるのか。

 すごい。


 二、三時間していたのだろうか。

 稽古が終わり、ソニアは草の上で寝転がっている。

 アルフとルイザはソニアの近くに座り込んでいた。

 

「ルイザさんって剣も使えるんですね。」

「そうだな。私は昔、町で冒険者をしていたんだ。その頃は、魔術と剣術を同時に扱う魔剣士という職業でやっていた。」

「職業?」

「ああ、職業っていうのはね、冒険者になると決める必要があるもので、剣士や魔術師が基本かな。冒険者はパーティーを組むことが多いから、パーティーを組むときの指標にもなる。」


 なるほど。

 魔術も剣術も使えるなんて、ルイザさんはもしかしたらとてもすごい人なのかもしれない。


「基本的に午前は剣術、午後は魔術、剣術の順番で稽古をつけている。アルフは魔術の稽古のときに一緒に参加してもらおうかな?」

「はい、分かりました。」

「午前中は好きにしていいよ。昼食になったら呼ぶから。」


 そう言ってルイザは家に向かっていった。

 ソニアはまだ寝転がっている。

 これからソニアとも一緒に暮らしていくことになる。

 彼女とも仲良くなりたい。

 ただ、言葉が伝わらない以上、どうしようもないのかもしれない。

 とりあえずソニアの隣に座ってみる。

 ソニアは一瞬こちらを見たが、すぐに目を閉じた。





 昼食を終え、魔術の稽古が始まった。


「〜〜〜〜〜、」


 ソニアが右手を前にかざし、何かを言うと手のひらに模様が形成される。

 魔法陣だ。

 すると、次第に水の玉が形成される。


「〜〜〜!」


 ソニアが何かを言い切ると、水の玉が正面に飛んでいく。

 飛んだ水の玉はマトにぶつかり、大きな音を立てる。


「どうだいアルフ、あれが魔術だ。」


 ルイザはアルフの隣で言った。

 魔術のことはルイザさんから聞いていた。

 魔術とは空気中に存在する魔気というものを使ってあらゆる事象を発生させるらしい。

 魔族が使う魔法は自身の体内で生成した魔力を使うので、性質が全く異なっているようだ。

 魔術と魔法の大きな違いは他にもある。

 魔術は魔法陣が空中に浮かび上がり、さらに、魔術は詠唱を必要とする。

 魔法は訓練が必要だが、詠唱なしでも使うことができ、魔法陣などが浮かび上がることはない。


「試しに簡単な魔術を使ってみようか。」

「はい!」


 魔術を実践することになった。

 僕にできるのだろうか。

 右手をマトに向けて教わった詠唱を始める。


「この身、この気に力を与え、この場に水の精霊の力を借りん、」


 右手に魔法陣が作られ、力が集中していることがわかる。

 

「ウォーターボール!」


 手をかざした先からぽたり、と水滴が垂れた。


「ルイザさん……これって……」


 ソニアと同じ魔術だと聞いていたが明らかに違う。

 ルイザさんは微妙な顔をしている。


「えっと、本当ならもうちょっと大きい水球ができるはずなんだけど、なんでだろ?」

「そうなんですか?」


 ルイザは考え込んでいる。

 その間もソニアはマトに魔術を打っていた。


「アルフには魔族語で詠唱してもらったから、言語の問題かも。それとも、魔族っていうのが原因?」


 自分に魔術は使えないのだろうか。


「まあ気長にやっていこうか。そもそもここで暮らす以上、人族語も覚える必要があるしね。」


 そう言うとルイザはソニアの元へ向かっていった。

 その後も魔術を使ってみたがやっぱり水滴しか出来なかった。


 その後、空いた時間でルイザさんに魔法を教えてみたが、全く使えないようだった。

 ルイザさんいわく、人族には魔力がないから魔法が使えないのだとか。

 これからルイザさんに何を教えればいいんだろう。

ありがとうございました。

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