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第三十一話 家までの帰り道

「いや~アルフ。君、中々強いね」


 さっきまで倒れていたルーカスがケロッとしている。

 さすがSランク冒険者だ。


「まさか俺がやられるとは思っていなかったよ」


 実際、俺の手の内がバレていなかったから勝てた勝負であり、半分反則だった。

 もう一回手合わせをすることになったら恐らく勝てないだろう。


「彼女達を俺のパーティーに加えるのはとりあえず諦めよう。しかし! 彼女達がパーティーに入りたいというのなら、快く受け入れるよ!」


 ルーカスがソニアとエマのことを見つめており、二人が若干引いている。

 ソニアが他人にああいう反応を示すのは珍しい。

 ルーカスがかなりやばい奴なのは事実っぽいが。


 「それじゃあまた会おうじゃないか。俺は疲れたからゆっくり休むよ」


 そう言ってルーカスが仲間と共に冒険者ギルドから出ていく。

 嵐のような奴だったな。


「それにしてもアルフさん、凄いですね! まさかSランク冒険者に勝っちゃうなんて!」

「アルなら勝てると思ってたわ」


 ソニアのその自信は一体どこから来るんだ。


「まあ、運が良かったんだよ。それじゃあ、僕達も帰ろうか」

「ええ」

「はい!」


 その後、エマと別れ、ソニアと共に家に帰っていた。


「なあ、ソニア。エマのこと、パーティーの一員としてどう思う?」

「体力が足りないわね」


 彼女の言うことはいつも直球だ。


「彼女、自分が疲れているのを隠しがちなんだよね。信頼されていないのかな」

「そりゃあすぐに信頼なんて得られないわ。アルもエマのこと信頼してないでしょ?」

「それはまあ、エマのできることって治癒魔術くらいしか知らないし」

「結局、まだその程度の関係ということよ」


 言っている言葉には少しトゲがあるようにも見えるが、いつものソニアで少し安心する。


「おや? 君は……」


 ふと後ろから声をかけられて振り向くと、そこには懐かしい人がいた。


「あなたは……リオネルさん?」





 ソニアには先に帰ってもらうことにして、とある道のベンチに座っていた。。

 ダレルさんは奴隷として僕を拾ってくれた人だ。

 以前、同じ奴隷商であるヘイデンさんが首都の方に行ったと言っていたが、まさかこんなところで会えるとは。


「お久しぶりです、リオネルさん。僕はアルフと言います」

「アルフさんですか。こうして再開するとは思っても見ませんでした。それに私の名前も知っていてくださっているとは」

「はい、以前ヘイデンさんにお聞きしていまして」


 ヘイデンさんは僕を拾ってくれた奴隷商のもう一人だ。


「リオネルさんは今は何をしていらっしゃるのですか?」

「私はここでも相変わらず奴隷商をやっていますよ。アルフさんは何を?」

「僕は冒険者をしていますよ。新しい仲間にも会えて、楽しくやっています」

「それなら良かったです」


 リオネルが微笑む。

 この雰囲気、なんだか少し懐かしく感じる。


「リオネルさんのお仕事は順調ですか?」

「それがそうでもないのですよ。未だに捨てられる子供も多くて、私はそういう子供を見過ごせなくてついつい拾ってしまうのですが、お客さんに買ってもらわないその子と生活費がかさむ一方で……」

「それは大変ですね。きっと僕はリオネルさんに拾ってもらって、更にソニアさんに見つけてもらって、運が良かったんでしょうね」


 リオネルさんが僕を見つけなければ自分がここにいることはない。

 そう思うと、よりリオネルさんに感謝する気持ちが強くなった。


 僕は、彼にずっと聞いてみたかったことがある。


「リオネルさんは何で奴隷商になったんですか?」

「ああ、私は子供が好きなのですよ。それで、たくさんの子供を助けてあげたいと思ったんです」


 リオネルは空を眺めている。


「奴隷商はあまりいい印象を持っていないかもしれませんが、私のように子供を拾ってあげることもできます。まあ、買い手次第で今後の人生がある程度決まってしまいますが」


 なんというか、リオネルさんらしい理由だ。


「そういえば、最近はブラックヘルという組織もいるようで、奴隷商としても大変です。たまにいるのですよ、明らかに怪しいお客さんが」

「そうだったんですね。そういえば僕、ブラックヘルの人達と会ったことあるのですが、凄く強い人がいたんですよ」

「ほう、それはどんな人でしたか?」


 リオネルが興味深そうにこちらを見ていた。

 ソニアとダレルの戦いを思い出す。


「剣を使う人でしたね。凄く強かったです。あ、あと凄い体の曲がり方をしていました!」


 その説明で理解したのだろうか、なるほどといった顔をしていた。


「そんな人がいるとは。中々恐ろしい組織のようですね」

「そうですね」

「おっと、すみませんが私はこのあと用事がありまして。このあたりで失礼します」


 そう言ってリオネルがベンチから立ち上がる。


「また機会がありましたらお話をしましょう」

「はい、ありがとうございました」


 リオネルが去る姿を見て自分も帰ろうと思い、帰り道を歩き始める。

 首都にいればまたリオネルさんと出会うこともあるだろう。

 あ、リオネルさんの働いている場所を聞いとけば良かった。

 そうすればいつでも会いに行けたな。

 そう思いながら大通りを歩いていると、とある建物が目に入る。


「図書館か……」


 ソニアは先に帰ってしまったが、時間はまだある。

 ここに寄ってみてもいいかもしれない。





 首都グリフトルに来たら調べようと思っていたことがあったが、ここに来てから色々あってずっと忘れていた。

 図書館に入り、とある本を手に取る。


「根源悪か……」


 あのダンジョンで出会ったほっそりとした男。

 ルイザさんは根源悪という言葉を使っていたのだが、その男は根源悪と関係がある人間なのだろうか。

 読書スペースの椅子に座り、本のページをめくる。


『根源悪とは、世界の敵である』


 とんでもない始まり方だ。


『根源悪とは、突然世界中に現れる、七人の悪である』


 そのまま読み進めていく。


『根源悪が現れるたび、世界は危険な状況に追い込まれるとされている』


 この書かれ方だと、根源悪は何回も現れているということか?


『根源悪は突然生物の意識に現れ、世界に出現する』


 どういうことだ?


『根源悪は強力な能力を持ち、ときには私達の知り得ない知識を持つ』


 僕とソニアはダンジョンでスロースという男と会ったときに、剣を抜くことができなかった。

 もしかしてそれは、根源悪の持つ強力な能力だったりするのか?


『直近の根源悪は四大英雄によって討ち滅ぼされた。次にいつ現れるかは、誰も知らない』


 つまり……今、根源悪が現れて動いているということか?

 それに、七人の悪と書いてあるということは、スロース以外に六人もいるということか?

 今の世界って相当ヤバいのかもしれない。


 根源悪についてある程度知ることができた。

 正直世界規模の敵となると僕一人が何をしても意味がない気がする。

 とりあえず今は冒険者のことや、怪しい動きをしているブラックヘルという組織のことを考えることにしよう。

 ソニアも家で待ってるだろうし、もう帰るか。

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