第二十二話 冒険者ギルド
ソニアと街をぶらついた翌日の早朝。
ルイザも含めて三人で食事をとっていた。
「二人とも、街はどうだった? 楽しめたか?」
「はい! 初めて見るものも多くて楽しかったです!」
「私も楽しかったわ。なぜか最後に行った店だけアルがついてきてくれなかったけど」
慌てて口を塞ぐ。
こいつ、ルイザさんの前で何を言ってるんだ!
ルイザは楽しそうな二人を見て微笑んだ。
「それは良かった。きっと欲しい物もあったんじゃないか?」
「はい。買いたい者がたくさんありました!」
「そうかそうか! じゃあもう冒険者になるしかないな!」
なんか少し勢いがある気がする。
それほど冒険者に思い入れがあるということなのだろうか。
「じゃあ、今日にでも冒険者ギルドに行ってみようと思うのですが、どうでしょう?」
「いいんじゃないか? 言ってくるといい」
こうしてソニアと共に冒険者ギルドに行くことになった。
朝食を終えて準備を整え、アルフとソニアは外に出る。
この都市にはいくつか冒険者ギルドがあるようで、とりあえず近くのギルドに向かうことにする。
しばらく歩くと、剣のような模様の看板がついた建物が見えてくる。
あれが冒険者ギルドだろう。
とりあえず入ってみる。
中を見ると、右側に受付、左側にいくつかの丸テーブルがあり、冒険者で賑わっていた。
「ここが冒険者ギルドか。人が多いね」
「とりあえず受付に向かいましょう」
ソニアに言われて受付に向かう。
「おはようございます! 今日はどのようなご要件で来たのでしょうか?」
受付嬢が対応をしてくれる。
何人か受付嬢がいるが、どの人も容姿端麗だ。
「はい。俺達、冒険者になりたくて来ました」
「冒険者の方ですね。それでは冒険者について簡単にご説明いたしますがよろしいでしょうか?」
「はい」
「それではご説明いたします。
冒険者とは、基本的に人々の安全を守り、未知を発見することを目的とした組織です。
次に冒険者ランクについてご説明いたします。
基本的にランクはDからSまでの五段階に分かれています。
ランクによって受けられる依頼は決まっており、依頼を達成することで代価として貨幣をお渡しする仕組みになっています。
なお、依頼を失敗された場合は違約金が発生するのでご注意ください」
冒険者にランクがあるようだ。
きっとルイザさんはSランクだったに違いない。
「それでは、こちらの用紙に必要事項を記入してください」
そう言われ、年齢、性別、種族などの必要事項を記入していく。
種族は人間族と書いても多分バレないだろう。
そうして書いていくと、希望の職業の欄を見つける。
いくつか職業が書かれており、希望のものを選ぶ形式のようだ。
「ソニアはどの職業にするの?」
「私は……剣士にするわ」
一番シンプルな職業を選ぶようだ。
確かに、彼女は剣士が一番合ってる気がする。
希望する職業欄を見ていると、気になる職業を見つけた。
「僕は魔剣士にしようかな」
「いいんじゃない? それってルイザが冒険者だった頃の職業でしょ?」
「うん、そうだね」
こうして必要事項を書き終え、受付嬢に提出する。
「……確認しました。それではこのあとでランクを決める試験を行います。準備をしますのでしばらくお待ち下さい。」
「はい、分かりました」
「それと、アルフさん。ここでは希望する職業の職員や冒険者が試験を担当するのですが、魔剣士が現在いない状況です。剣士と魔術師の職員が担当すると思われますが、よろしいですか?」
「問題ないです」
魔剣士という職業は珍しいのだろうか。
受付嬢が奥に入っていったので、空いている椅子に腰掛けて待つことにする。
「おいおい、お前ら冒険者になりたいのか?」
突然見知らぬ冒険者が声をかけてくる。
中年くらいだろうか。
髪はボサボサで、あまり清潔感がないように見える。
「おいおい、またあいつ新人に嫌がらせをするぞ」
周りの声が聞こえてくる。
どうやらこの人はあまり好かれてなさそうだ。
「懐かしいな〜。俺も最初は冒険者を夢見てここに来たもんだ」
「何か用でしょうか?」
「いや別に用があるわけじゃないんだが……随分可愛い子を連れているじゃねえか」
そう言って男はソニアのことをじっと見つめる。
全身を舐め回すような視線を向ける男に、思わず鳥肌が立った。
ソニアが男を睨むと、男はビクッと震える。
「なあなあ、少しだけでいいからよ~、あの子を貸してくれないか? 悪いようにはしねえから」
こいつ、キモすぎる。
なぜそんなことを突然言えるのか理解できない。
「おいおい、聞いてんのかお前。おい!」
そう言って男が僕の肩を掴んだ。
すると、すぐさまソニアが剣を抜き、男の顔に剣を向ける。
「お前……アルに触れるな」
そう言うソニアの目は冷たい。
下手なことをすれば簡単にやられそうだ。
「おいおい、彼女が剣を抜くところ見えたか?」
「いいや、全然見えなかったよ」
周りから声が聞こえてくる。
これで周りは、ソニアが凄い人だと認識したのかもしれない。
男は右手を肩に乗せたまま左手を振って弁明しようとする。
「おいおい、冗談じゃないか。ただ俺は、君と話がしたくて」
「聞こえなかった? アルから離れろ」
ソニアが僕を守ろうとしてくれている。
ソニア、カッコよすぎない?
男なのに思わず胸がときめいてしまう。
ソニアの剣が男の頬に触れ、僅かに血が流れる。
男はそっと手を離すと、その場でじっとする。
「だから、冗談だって」
「失せろ」
ソニアの声を聞き、男は慌てて入り口に向かう。
「くそっ、何なんだお前ら!!」
そう言い残し、男は姿を消した。
いや、お前が何なんだよ。
「お嬢ちゃん、やるじゃねえか! あいつを追い出すとはな!」
「あいつは元々嫌いだったからスッキリしたぜ」
周りから次々と称賛の声が聞こえてくるが、ソニアは当然とばかりに落ち着いている。
やっぱりあいつ嫌われ者だったのか。
「アル、大丈夫だった?」
「うん、全然大丈夫だよ。ありがとう」
あんなカッコいい姿を見せられたら惚れてしまうんだが。
するとさっきの受付嬢が戻ってきた。
「お待たせしました。試験の準備ができましたのでご案内いたします」
そう言って受付嬢が案内をしてくれる。
アルフ達は受付嬢について行って試験場に向かった。




