表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/47

第二十話 初めての首都

 アルフ、ソニア、ルイザの三人はペトロフ王国の首都グリフトルに向かっていた。

 一度都市ドルムントまで転移魔術で移動し、そこから馬車で都市ドルムントに向かう。

 ちなみに都市ドルムントはルイザと初めて出会った場所だ。


 しばらく進むと巨大な壁が見え、グリフトルについたのだと確信する。


「見えてきたな。あれが首都グリフトルだ」


 こうして城門へとたどり着く。

そのまま首都に入っていくと思っていたが、門の前に立つ二人の兵士に呼び止められる。


「お待ちを。何か身分を示すものをご提示ください」

「ああ、分かった」


 そう言ってルイザが何かのカードを兵士に見せる。

 それを見た兵士は驚いたような表情をした。


「これは!! ……確認しました。それでは、荷物の確認をします。皆さん、馬車から降りてください」

「ん? 今まではそんなことしなかったと思うんだが?」

「最近、国内で怪しげな動きをする人がいるそうで、荷物の確認もするようになったんですよ」

「そうか、それなら仕方ないな」


 そう言いながらルイザは馬車から降りる。

 それに続いて僕とソニアも馬車から降りた。

 全員が降りたのを確認すると、兵士二人は馬車の確認を始めた。

 特に怪しいものはないはずだ。

 馬車の確認を終えたのか、兵士の一人が声をかけてくる。


「一応、身なりの確認もさせていただきます」


 そう言われ、服のポケットなどを確認される。


「……大丈夫そうですね。それではお入りください」


 アルフ達は馬車に再び乗り、首都内に入ろうと馬を進めた。


「なんか、厳重な警備でしたね」

「ああ、何かよくない連中がいるのだろう。兵士も大変だな」


 ルイザは馬車を引きながら言った。


「きっとああいう人達がいるから国が平和なのよ」


 ソニアがそう言った。

 少し意外だ。

 彼女なら面倒くさいとか言って兵士を気にせずに町に入っていきそうだが。

 そういえば兵士が荷物や身なりの確認をするときもソニアは嫌な顔一つしていなかった。

 彼女の考え方の一端が見えた気がする。


 都市に入ると、そこは多くの人で賑わっていた。

 こんなに人がいるものなのか。

 知らないお店もたくさんある。


「どうだ、アルフ? ここに来るのは初めてだろ?」

「はい! 活気が凄いですね!」

「そうだろ? 首都ということだけある」


 暇な時間があったら色々見て回りたいな。


 馬車をとある場所に預け、三人はしばらく町中を進んでいた。

 住宅街に来たのだろうか、様々な家が並んでいる。

 しかし、ここらへんの家はどこも大きい。

 きっとそれなりの金持ちが住んでいるのだろう。

 すると、先頭を歩いていたルイザが足を止める。


「着いたぞ。ここが家だ」


 そこには周りより小さい、こじんまりとした家があった。

 それでも十分な大きさだが。

 

「この家に住むんですか?」

「ああ、そうだ。もっと大きい家を借りることもできたが、無駄になるからな。このくらいの大きさがちょうどいいだろう」


 更に大きい家も借りれるというのか。

 普段の生活では分からなかったが、ルイザは意外と金持ちなのかもしれない。


「さて、私は荷物を置いたらすぐに出かけないといけないのだが、君達はどうする?」

「私、街を見て回りたいわ」


 即答だ。


「いいんじゃないか? 楽しんでくるといい」

「分かったわ。アル、荷物を置いて早く行きましょう!」


 そう言ってソニアが手を引いてきた。


 荷物を置き、ソニアと二人で街を歩く。

 前半は僕が行きたい場所、後半はソニアが行きたい場所に行くことになった。

 ちなみにお金は持っておらず、店に入っても見るだけになる。

 ルイザいわく、冒険者になって自分で稼げということらしい。


 しばらく歩くと、露店が並ぶ大通りに出た。

 そこでは様々な人が歩いており、とても賑わっているようだ。

 様々な店があるので、見ているだけで十分に楽しめる。

 進んでいくと次第にいい匂いがしてきた。

 そちらに視線を向けると、露店で人々に見せるように食べ物が調理されていた。

 美味しそうな匂いに思わず腹がなってしまう。


「アル……盗み食いはダメだからね」

「なっ、するわけ無いでしょ!」


 ここらへんにいたらソニアにまた変な疑いをかけられるかもしれない。

 少し別の道を通ることにしよう。


 大通りから少しそれた道を進んでいると、気になる看板の店を見つけた。

 不思議な模様の看板だ。

 中を見ると、様々なものが置いてある。

 どうやら雑貨屋のようだ。


「ソニア、ここに入ってみてもいい?」

「何この店?」

「さあ? 僕もよく分からないけど、なんか気になるなあって」

「まあ確かに、不思議な雰囲気があるわね」


 店の扉を開けてみる。

 カランカランと扉についたベルが鳴るが、店内に人の気配はない。


「ねえソニア。これって入っていいと思う?」

「店が開いてるってことはいいんじゃない?」


 さも当たり前かのように答える。

 無人の店に入るのはなんだか気が引ける。

 しかし、薄暗さは残っているが明かりはついていた。

 店員はたまたまどこかに外出しているのだろうか。


 ソニアの言うとおり、とりあえず中に入って店内にあるものを見て回ることにする。

 部屋の装飾品やアクセサリー、中には何に使うのか分からないものなど、多種多様なものが置いてあるようだ。


「おや、お客さんかな? こんな店に来てくれるとは、ありがたいね~」


 店の裏からおじいさんが出てくる。

 てっきりいないものだと思っていたので少し驚いてしまう。


「気になるものがあるのかね?」

「あの、すみません。実は、今お金とかなくて……」

「よいよい、好きに見ていきなさい。」

「ありがとうございます!」


 そう言って少し周りを見ていると、とあるものに目が惹かれた。


「アル、それって指輪?」

「うん。少し気になって」


 いくつかある指輪の中の一つに手を伸ばす。

 銀色の指輪だ。


「そんなに気になるならつけてみるといい」


 店員にそう言われ、特に何も考えずに左手の小指につけてみる。


「中々似合うじゃない」

「うん、ありがとう」


 ソニアに褒められて普通に嬉しい。

 冒険者になってお金を稼いだら買いたいな。

 そう思いながら指輪を外そうとするが、中々外れない。


「すみません、この指輪取れないのですが」

「サイズが小さかったのかな? どれどれ」


 店員が取ろうと試みるが、取れそうな様子はない。


「これ、どうしましょう?」

「一体何で取れないんだ? ……仕方ない、その指輪はあげよう」

「えっそんなの悪いです!」


 タダで貰うのはなんだか申し訳ない。

 

「ツケにしておいてください! 僕、冒険者になるので、お金が集まったら返します!」

「そうかいそうかい、そんなに言うならそうしようじゃないか」


 できるだけ早くお金を持ってくるようにしよう。

 お金がないのにずっといるのもなんだか申し訳ないので、店を出ることにする。


「また来るのを楽しみにしておるからの〜」


 その声を最期に二人は店を出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ