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第十九話 帰還

 アルフ、ソニア、ルイザ、アイリスの四人は、ダンジョンでの戦いを終え、無事に家にたどり着いた。

 馬車は村から借りたもので、既に返していた。


 久しぶりの家だ。

 しばらく暮らしていたせいか、やけに落ち着く。

 玄関あたりで深呼吸をしていると、後ろから声をかけられる。


「アルフ。今からアイリスと二人で話をしたい。申し訳ないが、どこか別の場所にいてくれないか?」


 やっと落ち着いたこともあって、正直久しぶりにルイザと二人で話したい。

 そんな理由で断ることなんてしないが。

 ソニアはここにはおらず、外にいるようだ。

 特にやることもないので、ソニアのところに行こう。


「分かりました。では外にいますね」


 そう言って家から出ていった。


 向かう先は普段稽古をしていた草むらだ。

 やはりというべきか、そこには大の字で寝そべるソニアがいた。

 今日は天気もよく、とても気持ちよさそうだ。

 僕はいつも通り、ソニアの隣に座る。

 目をつぶっていたソニアは人の気配に気づいたのか、ゆっくりと目を開けた。


「……寝ないの?」

「え……じゃあ寝ようかな」


 ソニアの横に寝そべる。

 肌が触れるほどではないが、二人の距離は近い。

 意外とここで寝るのは初めてだが、なかなか気持ちがいい。

 一瞬で寝てしまいそうだ。


「やっと帰ってきたね、アル」

「うん、そうだね」


 ソニアの声に答える。

 やっぱりこの場所が一番安心する。

 ところで……アルって何だ?


「ねえ、ソニア。アルって何?」

「アルはアルフのことだよ。呼びやすいからいいでしょ?」


 別に構わないが。

 というか逆に特別感があっていい。

 僕はしっかり覚えている、あのキスのことを。

 あれはつまり、ソニアは自分に恋愛的な感情を持っているのではないだろうか?

 今までずっと一緒にいたのだ。

 そういうことがあってもおかしくないはずだ。


「ねえ、ソニア」


 そう言うが、向こうからの返事がない。

 ふとソニアの方を見ると、目を閉じてぐっすり眠っている姿が目に映った。

 ソニア……寝るの早いよ。


 しばらく横になっていると、次第に眠くなってきた。

 ……もう……寝よう……


 しばらくして、目が覚める。

 どのくらい寝ていたのだろうか。

 まだなんかボーッとする。

 

「おはよう、アルフ」


 隣から声が聞こえ、見るとそこにはルイザがしゃがみこんでいた。


「えっと、おはようございます」

「いや、あまりにもいい寝顔だったから、起きるまで待っていたぞ」


 そう言ってルイザは優しく微笑む。

 寝起きに微笑んでいる彼女を見ることができるなんてなんて幸せ者なんだ。

 というか寝顔を見られてたのか……ちょっと恥ずかしい。


「家の中でちょっと話そうか。ソニアはもう家にいるぞ」

「はい」


 どうやら先にソニアは起きてたようだ。

 とりあえず家に入ることにする。


 ルイザ、ソニア、アルフはダイニングにある椅子に座っていた。

 どうやらアイリスは知らぬ間に帰ってしまったようだ。

 隣り合う形でアルフ、ソニアが座り、テーブルを介して反対側にルイザが座っていた。


「さて、単刀直入に言おうか。私は準備ができ次第、ペトロフ王国の首都グリフトルに行くことにした」


 首都に行く?

 急な話で理解が追いつかない。


「というのも、私が首都に用事があってな。それで、どうせだからアルフとソニアも連れて行こうかと思ったんだが、来るか?」


 なるほど。

 以前はルイザが一人でどこかに行くことが多かったが、今回は僕達も連れていくということか。

 もしかして、留守番もできない子供だと思われているのだろうか?

 まあ、ダンジョンのやらかしを考えると半分当たっているが。


「グリフトルに行って、私は強くなれるの?」

「ああ、確実に成長できるだろう。というのも、アルフ達には冒険者になってもらおうと思ってな。冒険者をやるのは確実にいい経験になる」


 冒険者と言われてジェイク達を思い出す。

 結局のところ彼らが僕のことをどう思っていたのか分からなかったが、彼らはとても楽しそうだった。

 自分が冒険者に興味があるのも事実だ。


「冒険者……いいわね。私もブリクトルに行くわ。当然一緒に来るわよね、アル?」


 突然ソニアに言われて思わず彼女の顔を見る。

 さも当たり前かのようにこちらを見つめている。

 行くこと自体には問題ないが、少し気になる点がある。


「あの、一つ聞きたいんですが、ソニアさんはなんの用事でブリクトルってところに行くんですか?」


 彼女は時々何かしらの用事で外出することがあるが、大抵なぜ、どこに行くのかなどは教えてくれない。

 

「ああ、それは……アルフ、ソニア。ダンジョンで私が来る直前のことを覚えているか?」

「それって……ダンジョンにいたあの人のことですか?」


 ダンジョンにいたときを思い出す。

 確か、突然異常に痩せこけた人が現れたんだ。


「二人にはまだ言わなくていいと思っていたが、どのみち知るのは時間の問題だな」


 そう言ってルイザは一呼吸を置く。


「確か、あいつはスロースと言っていただろ? あれが現れたのはかなりのイレギュラーなんだ」


 イレギュラー?

 一体どういうことだ?


「根源悪って言う言葉を聞いたことはあるか?」

「当然知っているわ、あの四大英雄が倒した七人の敵のことでしょ?」


 ソニアが答えた。

 四大英雄という名は知っている。

 確かアイリスと図書館に行ったときに見た本に書かれていた。

 そこでは七人の敵を倒したと言っていたが、それが七つの大罪なのだろうか?


「そうだ。その根源悪っていうのはな、あるとき突然現れるんだ」


 なんかヤバそうな話になってきた。

 大丈夫なのだろうか。


「まあ、どうせグリフトルに行くんだ。そこで調べてくるといい。すぐにどうこうできる問題でもないからな。私からの宿題だ」


 根源悪か。

 一体どんなやつなのだろうか。

 彼女の言う通り、余裕があるときに調べてみることにしよう。


「それで、アルフもグリフトルに来るということでいいか?」


 そうだった。

 話が逸れたが、元々首都に行くかどうかという話だった。


「もちろん、僕も行きます」

「そうか! じゃあ明日一日は休んで、明後日に行くことにしようか」

「はい!」


 こうしてアルフ、ソニア、ルイザの三人はペトロフ国の首都グリフトルに行くこととなった。

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