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第十八話 小さな旅の終わり

「……フ……」


 声が聞こえる。

 聞き覚えのある声だ。


「……ルフ……アルフ」


 目を開こうとするが、まぶたが重い。

 ゆっくりと目を開くと、ソニアが顔を覗かせていた。


「……やっと起きた」


 どういう状況だろう。

 確か、ダンジョン内で、見たこともないような化け物と戦っていた気がする。


「……あいつは……化け物は……」

「アルフが倒したんだよ」


 ソニアが指を指す方向に視線を向ける。

 そこには、氷漬けにされた化け物がいた。


「……僕が……やったの……?」

「ええ、あなたが倒した」


 ソニアの手が頬に触れる。

 優しい手だ。


「あなたに助けられちゃった」


 後頭部に何か柔らかさを感じる。

 位置的に彼女の太ももだろうか。

 まさか……これは膝枕というやつか!?


「なんとなく、アルフなら何かやりそうな気はしてたけど、まさか倒しちゃうなんて」

「えっと……ソニア、体は大丈夫か?」

「アルフよりは全然ましよ」


 なんか、妙に彼女が優しい。

 普段はあまり人を寄せ付けないような、妙な雰囲気があるが、今はそんな感じはしない。


「本当は私一人でなんとかするつもりだったけど……今考えれば馬鹿だなって」


 確かにこんな魔獣が大量に現れる場所でただ一人で挑むなんて無謀だ。

 しかし、正直ソニアならそんなこと簡単にやってしまいそうだ。

 今回の化け物はイレギュラーだっただろうが。


「アルフ……助けてくれてありがとう」


 ソニアの唇がおでこに当たる。

 これは…………もしかして…………キスされたのか!?

 ふとソニアの顔を見ると、優しく微笑んでいた。

 ソニア…………美人だな。


「あれ……これ……死んでる……?」


 氷漬けにされた化け物の近くから突然声がする。

 敵か!?

 ソニアの手助けを借りながらボロボロになった自分の体を無理矢理起こして立ち上がる。

 目線の先には真っ黒なローブを身にまとった男性が立っていた。


「それなりに……強いと……思ったん……だけど……」


 こいつ、あの化け物のことを知っているのか!?


「まあいいや……また……作ろっかな……」


 その言葉を聞いてすかさず剣を抜こうと……思ったはずだった。

 体が言うことを聞かない。

 なんというか、気だるい感じだ。

 怪我の影響か?


「いや……やっぱ……やめようかな……」


 相変わらず訳の分からないことを言っている。

 あいつが作ったのか!?

 状況が整理できない。

 ふとソニアの方を見ると、剣の柄を持っている、いや、持とうとしている。


 その男はゆっくりとこちら側に視線を向ける。

 その姿も異常だった。

 銀髪の青年のような姿だが、異常に痩せこけており、頬骨が十分に見えている。

 とても生きているとは思えない顔立ちだ。


「君は……生かしたほうが……いいかも……しれない……」

「お前は何者だ!!」


 ソニアが叫んだ。

 なぜか未だに彼女も剣を抜けていなかった。


「僕は……スロース……」

 

 スロース……どこかで聞いた気がする。

 すると、後ろから突然声が聞こえてくる。


「フィールドミスト!!」


 誰かの声に合わせ、辺り一帯は霧に覆われ、ほとんど何も見えなくなった。

 すると突然、何者かに腕を掴まれた。

 

「アルフくん、ソニアちゃん!! 走るよ!!」


 この声は聞いたことがある。

 アイリスだ。

 アイリスは二人の腕を掴むと、謎の男とは反対方向に走り出す。

 

「走れ〜〜!!」


 ふと後ろに振り向く。

 そこには薄っすらと人影があった。

 少しすると、その人影の周りに突然、大量の魔法陣が現れ、様々な魔術が形成されていった。


「ルイザが足止めしてるうちに逃げ切るよ!!」


 再び前を向いて走り出す。

 その間、後ろからは様々な音が鳴り響いた。





 その後、三人はなんとかダンジョンから脱出した。

 ルイザが中々戻らず、不安になったが、後から一人でちゃんと戻ってきた。

 四人は馬車に乗り、村に戻っていた。


「アルフ、ソニア。」


 ルイザの言葉に肩を震わせる。

 ルイザが不在だったとはいえ、置き手紙すら残さずにダンジョンまで来てしまった。

 絶対に怒られる。


「よく、生きててくれた。」


 そう言われて、突然ルイザに抱きしめられた。

 怒られると思っていたため、肩透かしをくらってしまう。

 一緒に抱きしめられたソニアも少し驚いたような表情をしていた。


「あの……ルイザ、ごめんなさい!」

「僕もすみませんでした!」


 ソニアと二人で謝る。

 

「勝手にダンジョンに行ったことは後でちゃんと叱ろうかな? でも、今は生き残れたことを素直に喜ぼう」


 そうか。

 あんな化け物と戦って生き残ったのか。

 そう思うと、突然体が重くなったように感じた。

 ダンジョンから抜けて、疲れが一気に来たのかもしれない。


「ねえ、ルイザ。最後に会ったガリガリの男は何なの?」


 ルイザは明らかに敵対していたが、なにか知っているのだろうか。

 あれは一体何だったのだろう。


「すまない、私もまだ分からないことが多くてな、今はまだ言えることはない」

「そう」


 結局、疑問が残ったままとなってしまった。


 それからは、村に着くまでの一ヶ月間、アイリスも含めて四人で、ダンジョン内の出来事やダンジョンまでの道中の出来事、どうでもいい雑談などをずっと話していた。

 これからは、いつも通りの生活に戻るのだろう。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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