表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/47

第十六話 決着

 化け物と視線を交わす。

 ジェイク達は簡単にやられ、ソニアも恐らくこの化け物によって大量の傷を負っている。

 それに対し、こちらは一人で戦闘をした経験がない。

 更に、今まで魔法や魔術しか使っておらず、そもそも自分の剣がそこらへんの魔獣に通用するのかすら分からない。

 不安要素が多すぎる。

 唯一救いなのは魔力がまだまだあることだろうか。

 魔術も十分使えそうだ。


「ヴルルルルゥゥゥゥ。」


 化け物が静かに声を上げる。

 相手は体が大きい。

 どうやって倒すべきだ?

 剣術で首を跳ね跳ばせる自信がない。

 化け物の右目は潰れている。

 じゃあ左目を狙うべきか?

 両手に持つ武器はどうする?

 自分の身体能力なら多少の攻撃を防げるかもしれない。

 だが、両手の武器を同時に使われたら簡単にやられるかもしれない。


「ヴルルオオォォ!!」


 化け物が走り出すことで戦闘は唐突に始まる。

 右手に魔力を溜めて風の魔法を放つ。

 狙うのは足元だ。

 突然放たれる魔法に驚いたのか、化け物は足元に攻撃をくらうが、そのままこちらに向かってくる。

 威力が足りない。

 この程度の魔法は意味がなさそうだ。


「ヴオオォォ!!」


 化け物が持つ右手の剣が近づいてくる。

 すかさず自身の剣で防ぐが、あまりの威力に飛ばされそうになる。


「ゔっ!」


 化け物の一撃で改めて実感する。

 これは、命のやり取りだ。

 少しでも気を抜けば、簡単に死ぬ。

 化け物は続けて左手の斧を振るう。

 このとき……ソニアはどう動くだろうか。


 斧の攻撃を自身の体を地面に伏せることによってかわす。

 それは頭で考える前に、勝手に体が動いていた。


 盛大に空振ったせいか、化け物は姿勢を崩す。

 魔法を放つなら今だ。

 そう考え、ファイアスピアーを放つ。

 ファイアアローが距離に特化した攻撃だとすれば、ファイアスピアーは威力に特化した攻撃だ。

 狙うのは左目だ。

 動きながら魔法を打ったからだろうか。

 思ったより狙いが外れ、魔法は化け物の左頬に刺さる。


「ヴルアアァァ!!」


 化け物が反射的に武器を振り回すが、後ろに下がることでなんとか避ける。

 まずい。

 化け物は左目を守るような姿勢をとっている。

 魔法の命中率を考えると、戦いながら目を狙うのは相当厳しいだろう。

 どうやったら倒せる?

 化け物は走り出し、両手武器で再び攻撃を始める。

 化け物の攻撃を防ぎ、かわし、魔法で妨害することでなんとか耐える。

 

 「ぐぉっ!?」


 その時だった。

 突然左脇に衝撃を受け、盛大に吹き飛ばされてしまう。

 吹き飛ばされた体は、洞窟の壁に盛大に叩きつけられる。


「ぐはあっ!!」

「アルフっ!!」


 苦しい。

 息が上手くできない。

 体を動かそうとするが、思い通りに動かない。

 何が、起こったのか。

 顔を上げる化け物の方を見ると、化け物蛇のような巨大な尻尾を揺らしながらゲラゲラと笑っていた。

 こいつ、尻尾で攻撃したのか!


 化け物が再び走り出す。

 まずい。

 このままじゃやられる。

 無理矢理自分の体を動かしてなんとか避けようとする。

 尻尾の攻撃が再び放たれる。

 剣で防ごうとするが、また吹き飛ばされてしまう。


 どうすれば勝てる?

 相手を倒す手段は何だ?

 脳を高速回転させて考える。

 剣では恐らく倒せない。

 剣で致命傷を負わせる自信もないし、目を狙うこともできないだろう。


 魔法ならどうだ?

 いや、両手と尻尾の攻撃を考えると絶対魔法による妨害が必要だ。

 あの化け物を倒せるほどの魔法を放つ余裕はない。


 では魔術か?

 あの化け物との戦闘ではまだ魔術を使っていない。

 使う暇がなかった。

 強力な魔術を使うことは出来ないだろう。


 …………本当に出来ないのか?


 化け物は走ってこちらに近寄り、尻尾で攻撃をする。

 なんとか剣で防ぐことで耐える。


「この身、この気に力を与え、」


 詠唱を始める。

 化け物が振るう剣をギリギリでかわす。


「この場に精霊の力を借りんとする、」

「アルフ……まさか……」


 わずかにソニアの声が聞こえる。

 化け物は、より攻撃の手を早める。


「精霊よ、我を認め、強大な力を授けたもう、」


 化け物は何かに気づいたのか、次第に焦るような顔を見せながら襲いかかってくる。

 化け物を見ろ。

 腕、足、尻尾。

 目線、指先、呼吸、筋肉の動き。

 細かい動作も見逃さず、すべてを予測しろ。


 次第にアルフの後ろに、巨大な魔法陣が形成される。


「この場を、この地を、」


 相手の動きを読みながら右手に魔力を込めろ。

 魔気の操作も続けろ。

 すべての動作を同時にこなせ。

 同時に考えすぎて、脳が燃えるようだ。


 化け物の攻撃は勢いを増すが、魔法を使いつつ、ギリギリで受け流し、ギリギリでかわす。


「この全てを埋め尽くしたまえ、」


 この場所の気温が下がっていくように感じる。


「ヴヴオオオオォォォォ!!!!」


 ラストスパートだと言わんばかりに化け物の攻撃が次々と放たれる。

 そして、予測しなかった攻撃が飛んできた。

 口だ。

 化け物は目の前の敵を噛み砕かんと牙を剥き出しにして襲ってくる。

 ……が、横から飛んできた水球によってその攻撃は防がれた。


「アル……フ……」


 かすれた声がわずかに聞こえてきた。

 やがて、魔術は完成する。


「アイスフィールド!!!!」


 突然アルフの前の地面が凍り付いていく。

 その勢いは止まらず、化け物に向かって進んでいくようだ。

 やがて化け物の足元にたどり着くと、一瞬にして化け物を氷漬けにした。

 その光景を最期に、僕は意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ