成長したある少女
短いような長いような微妙な長さです。
遅くなりましたが勘弁してください笑笑笑
入道雲とセミの大合唱
ちりんと鳴る風鈴の声。のんびりと時間が過ぎるある田舎の一軒家。
少女は高校生になっていた。
静けさを打ち破るかの如く、少女の母が階段を上る音が迫ってくる。
「結乃!もう12時過ぎてるわよ!早くご飯食べてしまいなさい!」
「まだ食べない。食べたくないし。それにまだ2分しか過ぎてないじゃん」
母に反抗しているこの少女こそ、このストーリーの主人公である。
「そろそろあなたも進路決めたら?」
「分かってるってば!」
進路を決める友達もだんだん増えていて、私だって焦ってるんだってば。
そもそも進路が決まらない最大の原因は紛れもない、母だ。
「お母さんはねー立道大学が良いと思うの」
あー今日も始まった。
「あそこは歴史ある学校でしょ?あなたはのんびりしている性格だからああいう所が良いと思うの」
「え、嫌だ。立道大学だったらこの家から通わないといけないじゃん」
「良いじゃない。いつまでだったこの家にいて良いのよ?お父さんもお母さんも大歓迎よ」
「私は京日大学に行きたいってずっと言ってるじゃん」
「京日大学ねー。あそこも良いとは思うわよ?でももうちょっとレベルを上げても良いんじゃないかしら?」
言いたいことだけ言うと、あくまでお母さんの意見だからねと言って母は扉を閉めた。
母は志望校の話になると自分の意見を主張しすぎる。
結乃の中で焦りがどんどん大きくなっていた。
数か月前までは長かった袖とはお別れをした季節は今年も厳しい。窓を開けるともウッとなるような熱気が襲ってくる。
かといってエアコンの風は冷え性の結乃にはいささか厳しいのだ。
「あーわけわかんない」
結乃は大きな独り言を言うと頭をぐしゃぐしゃとかいた。
スタンドライトを消し、気が散らないようにと遠くに置いていたスマホに手を伸ばす。
階段を勢いよく下り、
「気分転換してくる‼」
そう言うと急いで靴を履きドアに手をかける。
「昼ご飯は食べないのー?」母の声が背に聞こえたがそのまま家を出る。
さっき後から食べるって言ったし。
隣の家の犬にやっほーと挨拶をし、目的地も決めずに歩きだす。
家の中にずっといて分からなかったが今日は風が気持ちいい。広大な田んぼに植えられた稲の上を風がスーッと吹き抜ける。
ゲコゲコ。
いつもは気持ち悪いカエルの鳴き声も、暑さ増し増しにするセミよりはましだ。
公園にでも行ってみようかな。
小学生の頃は毎日のように行っていた場所に久しぶりに足をのばす。
確か、ここの角を曲がると近道になるんだったよね?
そんなことを思いながら歩いていると右足に違和感があることに気づいた。
なんか痛いな。
靴を脱いで逆さまにするとぽとっと小さな石ころが落ちてきた。
なぁーんだ、これが入ってたのか。
靴を脱いだついでにしっかりと紐を結び直し立ち上がると、そこはなぜか懐かしい、けど知らない風景が広がっていた。
何だここは!?
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次話から異世界での話が動き出す予定です…