腹の中の澱
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五里が六歳の年のある日。
佐子が畑仕事をしているときのこと。そこにあるはずのない鎌に足を引っかけ、大怪我を負った。
命は助かったが、杖が無いとまともに歩けないようになってしまった。
さらに追い打ちをかけるように、病が流行り、佐子は床に伏せるようになった。
村人は、そのまま親子もろとも死ねばいいと思っていたが、五里は元気で、次に病に冒されたのは多良だった。
年寄りの多良はあっけなく死んでしまった。
佐子はというと、たいして看病もしないのに、回復した。
生きるため必死に畑仕事をしていると、多良が死んだのは佐子のせいだと、村の子供たちから石や泥を投げられるようになっていった。
佐子の両親にも同じで、老いた二人は日に日に弱っていった。
村の長の家督を継いだ多朗は、美人の佐子に未練があり、優しくしたかったができなかった。
多朗の妻が冷徹で、許さなかったのだ。
多朗の妻は、佐子が満足に働けないことを理由に、佐子と五里の食事を少なくし、家事をするにあたって佐子を使い回した。
佐子は、腹を空かせる五里に自分の分も与え、ずっと少ない飯で我慢した。
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