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雲から見る雲

全27部分です。お付き合いよろしくお願いします。


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 しかし、いつになっても現れなかった。


 そのころにはすでに、五里は都に入っていた。


 昼は屋敷の陰に潜み、夜になると歩き回って玄将を探していた。


 忍び込んだ屋敷で、枕もとに話しかけた。


 手がかりすら掴めないうちに、不気味な幽霊の噂が都中に広まっていった。


 その話は良就たちの耳にも入るのだが、時すでに遅かった。


 五里は玄将の屋敷に忍び込み、奉公人に訊いたことがあった。


 その奉公人は機転をきかせ、玄将は大津の屋敷に出張中であると嘘をついた。


 五里は疑わず、玄将に一間ほどまでに近づいていたが、引き返してそのまま京を出てしまった。


 夜が明けると、玄将が出勤中の屋敷に動きがあった。


「良就さま。なにやら、玄将さまのところの者たちが騒がしく出て行きました」


 ヤヤの話を聞いて、良就は江ノ介に玄将を見張らせていた。


「玄将は残っておるか?」


「残っておられます」


「ふん。さては、鬼が出て、罠を張ったか」


「どのように」


「うん。家臣たちの後を付けよ。やつらよりも先に鬼に会い、ここに連れて来るのだ。必ずやマロが別当になるぞ」


 すぐに荷物をまとめ、江ノ介は京を出た。


 軽装の江ノ介は速く、すぐに玄将の家来を見つけることができた。


 尾行して、江ノ介が大津に着いたのは、翌日の昼過ぎだった。


 噂では、鬼は夜中の寝静まったころに出るようなので、まだ時間がある。


 屋敷に張り込むにはまだ明るいので、江ノ介は実家に帰った。


 突然の戻りだが、母は喜んでご馳走を用意した。


「江ノ介や、いつまでいるんだい?」


「夜になったら出る。鬼に言伝てがあっての、それが終わればすぐまた京に戻る」


「鬼だなんて、大丈夫なのかい?」


「わからんが、ヤヤを助けてくれた鬼だ。大丈夫だろう」


 江ノ介の声を聞いて、ヤヤが奥から出てきた。


「兄上、私もあの方にお会いしたいです。会って、直接お礼を言いたいです」


「そんな悠長なことをしている時間はないだろう。そのうち会えるかもしれないから、今夜は我慢しなさい」


 奉公人たちが膳を準備し、久しぶりに三人で食事をともにした。


近々 次話投稿 予定

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