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No008 アイリの野望、内政編 「自由貿易都市」聖祭日を楽しみ、キヨスを命名する。4歳1月

アイリは4歳になった。

この2か月間を行政改革に費やした。


この国は、1か月が30日、1年は12か月。

冬の時期、年の変わる時に特別な日が加わる。

正月ともいうべき聖祭日というのが5日あるのだ。

アイリの感覚としては1月だけ35日あるイメージだ。

数え年なので、この聖祭日に国民全員が1歳年を取ることになる。

皆仕事を休んで祝い事に夢中になる。


正月休み・・いやもとい聖祭日に領主館へ戻り、

たまには幼女らしく両親に甘えなければとアイリは考えていた。

自慢のお出かけセットを準備して、馬車に揺られて領主館に帰ってきた。

「父上、母上ただいま戻りました。」

「まぁまぁ、お疲れでしたね。おかえりなさいアイリ」

「おお、よくぞ戻った。元気そうで何よりだ。」

実はアイリは、両親が二人揃って隠れて見に来ているのを知っている。

自分のことを心配しているのかな、見た目幼女だし気になるよね。

二人の仲が良くて何よりだ。


「父上、母上これは私からの贈り物です。私が作ったものです。・・ふふふ」

父母にお揃いの布地で作った髪飾りを渡す。

この国の男性は丁髷など結わない。

女性と同じく髪を後ろに垂らし、縛って纏めている。

男性は髪の長さを短かめに、肩くらいまでの長さだ。

女性は長めにしている。腰くらいまで伸ばす人もいる。

違いはあれども、なんちゃってポニーテール状態だ。


その髪を布で縛っているのが髪飾りだったりする。

前世の時は、私もよくそうしていた。髪用の輪ゴムだったけど。


アイリが、地場産業として試作中の布製品がいくつかある。

この地にも織物はあるが、染色は布ができてから染めるのみだ。

単色の布を縫製で色使いはできるが、単調なものだ。

普通の人は単色の着物、中には素材色のままの人もいる。


アイリは、糸を染色して絣織にして柄を入れる工夫をした。

他にも絹を作ろうと思っているが、かなり時間がかかる見通しだ。

この日のために絣織の試作品を何とか準備したのだった。

父は巻いて止めるだけだが、母のはリボンになるようにしてある。


2人には涙目で感謝された。

母は喜んで使っているみたいだが

父は、髪を結わずに懐に仕舞って大切にしている。

前世の父母の記憶は無いが、きっとロクに親孝行などしなかったのだろう。

今世はちゃんと親孝行をしようと思った。


ちなみに、母の側仕えのシキノには白エプロンを渡した。

サヤカに以前渡したのと同じデザインのものだ。

サヤカにも新しくエプロンを渡した。今度のはフリル付きだ。

後で聞いたのだが、母がシキノのエプロンをすごく気に入っていたらしい。

今度、母のも作って渡そうと思った。


両親からの贈り物は、アイリがおねだりした仔馬だ。

馬車の移動が面倒な時や、一人で移動する時のため

乗馬できる馬が欲しかったからだ。

幼女の身体では仔馬がサイズ的にちょうどよい。

可愛いし、両親に感謝した。


5日間、久しぶりにのんびりした後、再び西部直轄地に戻る。


「次は、自由貿易郷にとりかかるかな。・・ふぅ」

行政改革は、サイトクとカンドウ、それに4人の上級文官に丸投げだったりする。


自由貿易郷として設定したこの地は、通常の郷の倍近い広さを持つ。

中心に中区を設定し、東区、西区、南区、北区と5つの区に分けた。

中心から街道を各地区に放射線状に設置して領内の各街道につなげる。


この国の人は歩くのに慣れてるのか、徒歩での移動はかなり早い。

前世現代人が1時間で4K歩くとすれば、こちらの人は5K以上になる。

街道は、自由貿易郷を中心に各地に延びる。

1時間ほど歩く程度の距離に指標を置き、分岐には行き先を明示した。

3時間ごとの距離に休憩所を設置、6時間ごとの距離には宿場を作る。


川と海には、港を作り、森や山の前には管理棟を作る。

一大事業だ。これをできるだけ早くやりたい。目標は半年だ。


このため、各地から職人や労働者を集めた。

説明を聞いていた職人も数多くいたため、すぐに集まり一大産業化している。

職人たちには東区を開放して住み込みで働いてもらう。

職人や労働者の生活資金を支度金として提供したり、足りなければ貸付金として渡した。


アイリはまず、中区に職人管理用の技術院を設置した。

技術院とは、言わば科学技術庁だ。

職人の中から技術院長官を任命した。


ゲンタク(玄琢)32歳。 

大工師だが土木全般の技能がある。

しかも、性格が良くて人から好かれやすい。

ゲンタクは土木建築のプロで、親方とも棟梁とも呼ばれる存在だ。

アイリは人物事典を見て目をつけて採用した。


ゲンタクのことをアイリは、「ゲンさん」と気安く呼んでいる。

職人気質の彼は自分の娘のようにアイリを気に入っている。

アイリのことを「お嬢」と気安く呼んでいる。

2人は半年でこの郷を完成するべく、無謀な夢を見る仲間だった。


職人が集まりだし、仮の宿舎や工房ができ始めると

各地から行商人が集まりだした。仕事を求めて労働者も集まってきた。

例え準備中でも、この地に夢見る人たちがどんどん集まる。

人が集まれば、農産物も集まり食事処ができる。

食事処は中区に設定した。宿屋が出来たらそれもここになる。

中区には5院の文官出張所もある。


食材の需要があるから農業、漁業の従事者も行商人に交じりやってくる。

狩人も肉を届けに来た。

建築などの関係で、木こりの様な林業従事者や木材商、

石材商や石工職人もあつまった。

また、使用する道具の制作、販売や整備の仕事に鍛冶職人も集まる。

そうなると服飾商もやってくる。

衣食住のうち、住はまだこれからだが衣食は短時間で充実してしまった。

露店が立ち並び、まるで祭りの出店の様な感じになった。


アイリは区画として、北区を林業従事者、猟師、土木労働者へ

南区を漁業、農業の従事者に開放した。これも仮の居住区というやつだ。

行商人は、木材商、石材商、服飾商とも西区になる。

商人なら西へ、職人なら東へと移住者は増える。仮住まいもどんどん増えた。


技術院では、職人や商人に規格統一された基準器を提供した。

初めの1回は無料提供だが、2回目からは有料販売だったりする。

長尺、量計器、重計器。いわゆる、ものさし、升計り、天秤計りだ。

これは産業院で作らせた長、重、量の規格統一で構成した基準器である。

これらの基準器により、より早く高いレベルで事業が進行されることになった。


このあわただしい中、アイリは何やら思案中であった。

部屋の中をてくてく、くるくる歩いている。

お出かけでもないのに肩からウサギポシェットがぶら下がっている。

最近は、いつでもどこでもこのスタイルになった。

「うーん、この新しい郷の名前何にしようかな。」

エプロン姿の和服メイド、サヤカがお茶と茶菓子を持ってきてくれる。


持ってきてくれたのは、餅和菓子だった。

もち米は、普通の米稲の近くに植えると花粉が混ざって収穫が悪くなる。

だから、米稲と離しておかなければならないからあまり作られない。

よって、この地では結構貴重品だ。もっと貴重な砂糖も使ってある。

「これも、商人街のおかげかなぁ・・もういろんなものが手に入るし。」

アイリの政策は、現代知識の他、信長の楽市楽座アレンジ版も含んでいる。


「ほ・・そうだ、信長様にちなんで清州にしよう。」

清州の立地条件に近いし、諜報院からの情報では戦国時代の有名大名がいなさそうだし。

織田信長なる人物が存在しないなら被る心配はない。

戦国好きなオタク歴女としてはここは押さえておきたい。


「自分が歴史を作ろう・・キヨスで決定!」

実に安直だった。







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