No007 アイリの野望、内政政策編 「諜報院」 情報組織を作ってみる。3歳11月
少し時間が前後する感じになります。
アイリはこの日も自ら説明をしていた。
もちろん鑑定はし続けている。多様な人材もどんどん確保しているところだ。
ここでも、人物事典で気になる存在が何人か見つかる。
今、目の前で真剣に話を聞いている行商人の一人もそうだ。
アイリの視線の先にいる行商人
名前は、ギスケ(義助)19歳 情報収集というスキル持ちだ。
アイリは思う、「堺の商人見っけ・・」
確か、前世歴史の堺の商人は、情報収集が得意だった。
アイリは説明が終わると、行商人に近づいていく。
「ギスケさん、私の部下になってほしいの・・ふふふ」
上目遣いで、お願いするようにギスケに言った。
ギスケは、目が大きく開かれた。
驚きを通り越してびっくり仰天状態なのだ。
「な、なぜ名前を・・しかも部下とか・・初めて会ったのに。」
ギスケは動揺を隠せない。
アイリは、腰に片手を置いて、もう片方の腕をまっすぐギスケに向けて
人指し指を向けてビシッとポーズを決める。
肩からウサギポシェットがぶら下がっていた。
「あなた、能力持ちなの。しかも私にとっても、すごく役に立つ能力なのよ。」
行商人ギスケは、年も若く行商人としては半人前だ。
成人が15歳だから、ひとり立ちして4年ほどしか行商人の実績がない。
しかし、この国をいろいろ巡っては、いろんなことを見聞きするのが好きだった。
ある日、カザマ領に珍しい姫がいるという噂を耳にした。
行商人仲間からいろいろ聞いてみるのだが、その行動や言動が年齢に合わない。
ギスケは、その幼女に興味を持った。
何やらカザマ領では、その姫を中心に、新しい政策が発表されるという話だ。
ギスケは、行商しながら急ぎカザマ領に向かった。
そして今、ギスケは謎の幼女姫に迫られている。
一般人にはスキルなどの知識はない。何せ知覚できないのだから。
だから、目の前にいる幼女姫が自信満々に言っていることが理解できない。
単に「部下になれ」ということだけは、理解した。
行商人とは、いわば流浪の民だ。後ろ盾も何もない。
幼女とはいえ、領主一族の姫に認められるような身分でもない。
半人前の行商人である自分は、大した業績もない。
「ギスケ、私についてきなさい。」
アイリの命令とも取れる言動に対して、ギスケは指示を聞くしかなかった。
しばらく後のこと、自由貿易郷に真新しい建屋がいくつか建った。
アイリは新しい直轄組織として諜報院を設立した。その拠点だ。
「これから先の時代は、情報がすべてを握ります。」
情報に関する業務一切を取り仕切る。そういう組織だという。
これは、前世でいうと内閣情報調査室である。
諜報院の長菅職にまだ年の若い男が任命された。
アイリ曰く堺の商人こと、ギスケであった。
諜報院所属の諜報員は、各地を渡り歩いた行商人が採用された。
アイリが言うには「彼らは隠密」だそうな。
ギスケは部下としてつけられた諜報員を各地に送り出し情報取得に専念するのであった。
諜報院設立後のこと
アイリ直轄の特殊諜報員が任命された。
これに関してはギスケも知らされていない。
普段は普通の諜報官として行動しているから鑑定が無ければ気づかない。
しかし、アイリからの命令があれば、任務遂行のため動く。
「隠密もいいけど忍者には夢がある・・ふふふ」
アイリは、架空の忍者部隊にも夢を感じるオタク歴女だ。
このメンバーの存在は、アイリによって秘匿されるのだった。