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No001 アイリの野望、誕生編 「始まり」周囲、震撼する。0歳(生後数日)              

物語の始まりです。

目の前が明るくなる。まぶしい・・。

やっと視界が開けたようだ。

あたりを目だけで、くるくる追い回す。

視線の中に女性が見えてきた。

「ははうえ・・?」


その声を聴いた女性は、大慌てで部屋の外に飛び出していく。

「た、大変です!お嬢様が・・・旦那様、奥様大変です!」

ドタドタトいう足音と共に、大声が屋敷に響き渡る。

彼女は、相当慌てている様子だ。


「いかにしたというのだ。」威圧のある男性の声が、聞こえてきた。

騒いでいる女性を制するように

「とにかく落ち着いて話をせよ。」となだめている。

片方でやさしい女性の声が聞こえてくる。

「あら、まぁどうしたのですか、あなたがこんなに慌てるなんて。」

落ち着かない女性を前にしている2人の男女と、その後ろに控える3人の男性。


「お嬢様が・・目を合わせた途端、言葉を発せられました!」

慌てていた女性が、二人にそう告げるのだが、どうやら信じてもらえないようだ。

「何を言っておるのだ。まだ生まれてまもない赤子が、言葉など発するものか。」

威厳のある男性が、口をゆがめて苦笑しながら「ありえん」と言っている。


一方でやさし気な女性が「ちなみに、なんと声を発したのですか?」

疑問にしながらも、少し興味があったようで、焦っている女性に問いただす。

しかし、心の中では信じているわけではなく、目の前の女性が焦っているのを見て

少し寝ぼけていたのでは、と思っている。


焦っている女性は、子守のような役割を持っており、

目の前にいる二人の主人たちから

生まれて間もない赤ん坊の、面倒を見るように言われていた。

お嬢様と言われたこの赤ん坊は、大泣きしたり夜泣きもなく、

いつもただ健やかに眠っている。

いつも通りの何気ない日々が続く中、

いつもと変りなく主人の娘の面倒を見ていたはずだった。


「そ、それが 私を見て・・ははうえ?と」


主人である男女2人は、この女性の真意を確かめるため、

赤ん坊がいる部屋に入ることにした。

普通、そんなことはあり得ないが、

とりあえず目の前の女性を無下に叱るわけにもいかない。

確認する振りでもすれば納得するだろう・・・そんな気持ちだった。


二人は、赤ん坊の前に来て腰を落とす。


まずは優しい空気を纏う女性が、赤ん坊の顔を覗く

「私が、ははうえですよ。見えますか?」とやさしく声をかけてみる。


「あなたが私の母上ですか、これからよろしくお願いします。」

およそ赤ん坊が話すような言葉ではない。

だが、目の前の赤ん坊の口から出てきた。


様子を見ていた威厳のある男性の顔が引きつっている。


赤ん坊は、視線を男性に向けて

「では、あなたが父上ですか?」と聞いてきた。

男女二人の後ろに控えている者たちから、少し騒めきが漏れる。


男性は、皆の手前があるのか焦りながらも

「いかにも、お前の父である。」と威厳の体裁を取り繕いながら静かに答えた。


それを見て、赤ん坊は言う。

「では、父上これからよろしくお願いしますね。」

そしてにっこり微笑みを浮かべる。


主人に仕える後ろの者たちから

「口をきいたぞ」「確かに話した」「しかし赤子だよな」

と、声が大きくなっていくのが、聞こえる。


この日、この国を揺るがす一人の娘が覚醒した。










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