椿【冬の詩企画】
薄命に終わる理の中で
埋もれた心の臓を掬い
紡ぎあげた糸をむすんで
一つの螺旋を描いた
永遠に続く眠りまでは
決して絶えぬようにと
千羽の鳥が吊るされた空
安寧の終焉までもう少し
積み重ねた年月は未だに
私を見捨ててはいないけれど
庭の見える部屋から見れば
赤い椿が咲いている
空蝉のわが身にとって
静寂を映し出した祈りは
罪を重ねてきたかのように
その心を浮かばせる
遠くで鐘の音が聞こえ
日常の一端が沈みゆく
白い息さえ闇に溶けて
目を閉じた
本作は「冬の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2157614/(志茂塚ゆり活動報告)
なお、本作は下記サイトに転載します。
http://huyunosi.seesaa.net/(冬の詩企画@小説家になろう:seesaablog)
今年はこれでおしまい