表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しまのう〜作業着と青い夏〜  作者: じゅうたん
4/9

カフェ

研修前の思い出作りに励む将太と宗介の二人…。

そこでは、思わぬ出会いが…。

 荷物をまとめて帰宅の準備をする。なぜか、ぼんやりと眺める先に新島がいる。

 無意識に目で追っているのか?

 宗介の白という言葉がなければ、新島が視界に入ることも、これほど多くなかっただろう。

「校内には、三つの更衣室がある。俺達二年生は、二階の端の更衣室を使う」

 更衣室覗きを猛烈に押してくる宗介の話を聞き流し、テニスに打ち込む新島を眺める。

 スタイルを良く、頭も良く完璧な新島。そんな彼女が隣に席に座っているということは、他の男子からすれば、幸せなことなのかもしれない。

「今日は、もう部活始まってるから、部活終わりを狙うしかない。だけど、今日は早く帰りたいし、何をするか?」

「カフェ行こうよ。交差点のあのカフェ」

「あのおしゃれなカフェか。気になってたし、行くか!」

 宗介が立ち上がり荷物を持つ。将太もリュックを背負うと制服の埃を叩く。

 そのカフェは学校から将太の家とのほぼ中間にある。

 おしゃれな佇まいは、写真を思わず撮りたくなってしまう。流行りのアプリに投稿されていて、地元では有名な店。

「ショートケーキが美味いらしいよ。宗介リサーチによると」

 スマホを器用に操る宗介がサイトを片っ端から閲覧し、おすすめを突き止める。

「研修行けばケーキなんか、食べられないだろうなぁ」

 自転車に跨り将太は呟く。

 山間部の深川林業は、コンビニに行くのも大変だろう。

 プリンとか、甘い物は買い溜めしておこう。

 将太達は、自転車でカフェへと向かう。

 夕日が山にかかり始め、街灯が灯る田んぼ道を二人で走る。

「今日は、カッコ良かったよ。本物のヒーローだよな」

「たまたま、だよ」

 たまたま、ロープが引っかかったとは言えない。

「白石は、頭も良くて運動も出来るのに、手先だけが不器用だよな」

 宗介が少しにやけながら言う。そのギャップが可愛いらしく、想いを寄せる男子は多い。

「俺はどちらかと言うと、新島派だな」

 自分の口から出た言葉に、将太自身が一番驚いた。

 新島が好きだとか、付き合いたいとかは思っていない。ただ、綺麗だなとは思う。

「付き合っちゃえよ。新島さんも将太のこと気になってるらしいよ」

 宗介はクラスや学校に独自の情報網を持っており、学校一の情報通。

「授業中も将太のことチラチラ見てるしなぁ」

「よく見てるなぁ宗介」

 将太の後ろの席に座っている宗介にとっては、新島の視線がよく分かるらしい。

「後ろから見てたら分かるよ」

 自慢気に話す宗介とも、研修でしばらく会えなくなる。

 それからは、今日の更衣室覗きで得た情報をひたすら話す宗介の話を聞き流し、自転車で進む。

「ここだ。着いたよ」

 宗介が自転車を止める。将太も自転車を止めると自転車を降りる。

 宗介が先導しカフェに入る。

「いらっしゃい」

 カウンターでマグカップを磨く女性店員が笑顔で言う。見た目通りのおしゃれな室内。

 角の席に宗介と座りメニューを眺める。

「ショートケーキと何にする?」

「俺は、ミルクティー」

 ミルクティー好きの宗介は、いつも自販機のミルクティーを休み時間に飲んでいる。

「お決まりですか?」

 カウンターから水を持った店員がやって来る。

「ショートケーキ二つとミルクティーとオレンジジュースを一つずつでお願いします」

 将太が注文をすると、店員はカウンターへと戻る。

「宗介は、希望通りで良かったな」

「マジで良かったよ。まぁ、将太の前でこんなこと言うのも、あれだけど」

 気遣いはありがたいが、もうどうしようもないことだ。

「気にするなって」

 作り笑顔で将太は水を飲む。

「まぁ、お互い頑張ろう。乾杯」

 宗介がコップをコツンとぶつけて来た。宗介といると心が和む。いい友達を将太は見つけたと思っている。

「ただいま」

 入り口のドアが開くと同時に聞き覚えのある声が聞こえて来る。

 思わず振り向いた将太は、固まった。

「あれ?小野君と篠原君」

 ドアの前にユニホーム姿の新島が立っていた。

「ここって新島の家だったんだ」

 宗介は笑顔で言う。

 まさかの出来事が起き過ぎる。

 何だ今日は…。

 朝の情報番組の占いによると、普通の一日になるはずだった。




感想お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ