表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

レシピ4



…お前ら…。静粛に…

っていっても、すでに閑散としてるか…。ははは…。


…ああああ~!全くもってなんたることだ!!!

「首都壊滅大作戦」なんて、決行するんじゃなかった…。


…わがはいは悔しい…!ホントにあと少しだったのに…。

王を捉えようとしたその瞬間に、例によって勇者が現れちゃうんだもんな~!

しかもカジノの景品、ドラゴンランスを片手に持ってさ!手に入れるの早すぎるよ!

金持ちでイケメンで彼女がいて、強くて不死身で、超絶運がよくてギャンブルにも強いってか!!!…ふざけるな…ふざけるなよ!!

そんな存在がいるなんて、わがはいは断じて認めんぞ…!


…いかん…。

こんな時こそ冷静に、状況判断をしなくては…。

…えーと…。じゃあ出席を取ります。生きてる魔物は手を挙げて。

ひー、ふー、みー、よー、いつ…。


…いつ…。

…これでお終いか?どっかの隅でゴースト系の魔物が透明になってたりしてない?


…そうかあ。いないかぁ…。

作戦前は50はいた上級魔物が、5しかいないかあ…。

四天王も、もう1体しか残ってないし…。しかも彼、瀕死の重傷負ってるし…。


……。

…すまなかったな。みんな。

勇者の力を侮った、わがはいのミスだ。

間もなくこの城にも、勇者が乗り込んでくるだろう。

…無論わがはいは、魔王として勇者と対峙する。


…だがお前らは、その前に城を脱出しろ。

いいか。これは魔王としての命令だ。決定事項ゆえ、意見は許さん。


…なにをしみったれた顔をしておる!

いいか。勘違いするなよ。

わがはいは唯、勇者から搾り取るとろける蜜のような不幸を、自分だけで食べちゃおうと思っているだけだからね!お前らなんかにわけてやらないよーだ!わははははは…。


…わかったらさっさと荷物をまとめ、逃げる準備を始めるがいい。


…え?料理?

おいおい…。さすがに魔界一の料理人かつ食通であるわがはいだって、こんな事態に料理を語るほどのんき者じゃあないぞ。


…え、どうしても…?

お前ら、いつもめんどくさそうな顔してたくせに…。


…わはははははは!!お前らもとんだグルメに育ったものだな!

よろしい。きさまらに最高の魔王のレシピを見せてやろう!

今日はわがはいの大好きな、ホワイトシチューのレシピを伝授してやる!


時間がないから手短に言うぞ!

材料!

人間の魂1玉!人間の怒り2本!

人間の傲慢3個!人間の欲望100グラム!

人間の不幸2さじ!

小麦粉5さじ!オリーブオイル4さじ!牛乳500ml!

ちなみにこれは2~3体で食べる分だ!


まずは下ごしらえとして、魂は串切りに、怒りと傲慢は乱切りにするんだ。

それを800 ml程水を張った鍋にぶち込み、中火でくつくつと煮る!

その間に別のフライパンで小麦粉、オリーブオイル、牛乳をゴムベラでしっかり混ぜ合わせながら弱火にかける。…ぽってりとゴムベラに吸い付くようになったらホワイトソースの出来上がりだ!

そしてこのホワイトソースを、先ほどの鍋の中に入れて15分程ことこと煮込む。

隠し味として人の不幸を2さじ入れれば…魔王特製ホワイトシチューの完成だ!


…実は完成品がもうそこにある。

いつもわがはいばっかり食べてるから、偶にはみんなに振る舞おうと思ってな。いっぱい作ってきた。…わがはいも入れて6体じゃあ、多分余るからいっぱいおかわりしていいぞ。


…うまいか?


…そーだよなあ!うまいよな!

人間の負の感情が溶け合って、クリーミーな蟻地獄に落ちていくような旨さがあるよな!


…そうさ。この世に負の感情が無い人間など存在しない!完璧超人、聖人君主など人間の創った愚かな幻想にすぎぬ。勇者もしかり!

人間の負の感情を味わいつくたわがはいが、人間の愚かな欲によって形作られた小僧如きに負けるはずがない!

では皆、さらばだ。…解散!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ