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レシピ3



おい!お前ら、静粛に!

こらドラゴンお前、わがはいがしゃべっているときに人の魂をむさぼり食うな!

異次元と異次元のすきまに胴体はさんで、足の裏をくすぐり倒すぞ!


本日、勇者一行が魔界最大のスーパーチェーン、「デスーパー」本部倉庫を襲撃。壊滅に追いやったとの報告が入った!

これにより、そこに貯蔵されていた人間の魂のほどんどが逃げ出したらしい。

これが何を意味するかわかるか?

…深刻な食糧不足だ!


何しろ今までスーパーで気軽に手に入っていた主食の在庫が一挙になくなってしまったのだからな。

自身で人間を狩れる実力のある、きみらのような上級魔物は自分で何とかするだろう。

…しかし弱い下級魔物の食卓にとっては恐ろしい危機だ!

この危機を如何にして乗り切るか?


…はい。ドラゴン君。答えてみなさい。

…一刻も早く勇者を殲滅する…だと?

勿論それが最善だが、それができたら苦労せんわい!

そもそもあいつらは何なんだ。

四天王があいつらとギリギリの戦いを繰り広げ、見事勝利したんだが、その後死体が消えちゃって、どこからともなくケロっと生き返ったし。

なになに?神の加護ってやつ?金持ちでイケメンで彼女がいて強くて不死身なの?

ずりーよマジで。不公平だよ!


…少々取り乱した。じゃあ、ゴーレム君。

…何?我ら上級魔物で一気に人間界の首都を攻め込み、制圧する…だと?

…うむっ!実はわがはいもそれを考えている。

だがリスクも高い。

勇者が首都にいなければ楽勝だが、あいつらときたら何かしら大事な情報やフラグは不自然なくらい敏感にかぎ取って、必ずと言っていいほどその場に立ち会いやがる。

何なんだマジで!不公平だ!


…ごほん。そこでだ。わがはいは一策を講じた。

わがはい自ら旅の商人に化け、首都より遠く離れた副首都のカジノの商品に、きゃつらの最強の装備と言われるドラゴンランスを寄付してきた。

奴らはきっと、あれを取るのに必死になるだろう。大幅戦力アップだからな。


…そこがチャンスだ!

奴らがカジノに夢中になってるその間、われわれは首都を占領する!

名付けて「首都壊滅大作戦」だ!

首都を占領すれば、人間の魂は取り放題。生け捕りにして拷問すれば、不幸だって絞り放題。

ふふふ…今から生唾が止まらんわい。

王様を捕獲して人質にすれば、それをネタに勇者の不幸も絞れるかもしれんぞ。そしたらねんがんの甘いものパーティができるな!


というわけで、今日は「首都壊滅大作戦」の勝利を願い、カツを揚げようと思う!

必ず勝つ!のカツだ!分かるなみんな!


用意するものは、人間の欲望100グラム。

…ほんとはカツにするには魂が一番なんだが、今の食糧事情を懸念すればこっちの方がいいだろう。なあに…、いましばらくの辛抱だ。

欲望は負のエネルギーが結構とれるし、味もいい。手に入りやすいのも○だな。


しかしわがはいが今日食材としてもってきたこの欲望。カジノに行ったついでに採取してきたんだが、少し固いしスジがある。

これはカジノで負けのこんだ人間が、勝利に固執しすぎてこんなになってしまったのだ。

まずくはないが、食感がざわっ…とする。


こういう固い欲望は…ほら、こんな風にハンマーで叩いて柔らかくしてやるといい。

スジをとるのも忘れるな。

…それからこれにパン粉と溶き卵をまぶして…と。

これで、下ごしらえは終了だ。


下ごしらえが終わったら、食材を140℃程度に温めた油に投入する。

そのままこれを五分間程度揚げたら…

こんがりきつね色。サックサクの欲望カツの出来上がりだ!


サクッ!…はふっ!


あっちい~!でもうめええええ!!やっぱ揚げたては最高だな!

人の不幸があれば、それにつけて食べても美味しいぞ。みんなも帰ってやってみろ!


あ、「首都壊滅大作戦」の戦略とポジションはそこのパンフに載ってるからみんな帰って確認するように!

それではこれをもって今日の「魔王の料理教室兼、首都壊滅大作戦会議」を終了する!以上だ!解散!



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