*ACT.1-2
「あーぁ、また佑希一位かよー。」
「しかも、満点とかありえねー。」
教室中に響き渡る、男子の声。
中には、女子の やっぱり、佑希くんかぁ なんて声も聞こえる。
「徠梦、アレ見てみよう。」
結郁に促され、私は重くなった身体を立ち上げて、黒板に貼られた学年順位を見に行った。
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第二学年 中間考査 順位結果
1位 紺谷 佑希 700点
2位 一之瀬 徠梦 680点
3位 兼沢 琉 672点
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「佑希くんか...。
徠梦、あと少しなのにね...。」
結郁は整った顔を、くしゃりと歪ませた。
「道程は遠そう、だな。
ありがとね、結郁。」
私は、結郁の頭をぽんと掌を乗せて、にこり笑った。
暫くして、ヤツ――佑希がやって来た。
彼は、黒板の模造紙になんて目もくれずに、席に着いた。
その余裕をすかした態度に、私はギロリと隣の席の彼を睨みつけた。
私の睨みに気づいたのか、支度をしていた手を止めると目が合った。
「なに、徠梦。」
「別になんでも。」
「言いたいことあるなら言えよ。」
「だから別になんでもないってば。」
「だったら、何で睨むワケ?」
「ただ、気紛れ。」
平行線を辿っていた会話に、佑希のでかいため息によって終止符が打たれた。
それを聞いていた男子たちは
お前らまたかよー やら
幼なじみってこんなに仲悪いものなの やら
それぞれ思ったことを口にしていた。
確かに私たちは幼なじみだ。
まぁ、多分ほかにない仲が最悪であろう、幼なじみ。
お世辞にも関係良好、とは言えない。
それもこれも、原因となるのは。
佑希の非凡な頭脳だった。