*ACT.1
私を縛り付ける枷があるとするならば――
それは、きっと紛れもなく
貴方のせい。
***
教室の黒板に大々的に貼り出された模造紙。
その模造紙の前にたかるクラスメイトたち。
貼り出された模造紙は、約一週間前に実施された中間考査の学年順位の結果だ。
この光景は、毎回の考査の学年順位が貼り出される時に同じ。
もう、随分見慣れた光景だった。
「徠梦ー、アレ見ないの?」
茫然と、一喜一憂するクラスメイトたちを見ていた私は聞き慣れた声で我に返った。
「うーん、空いてから見る。」
「そうだね。今、混んでるし。」
そう言った私の友人、結郁はその艷めいたミルクティー色のふわふわした髪の毛を揺らし、黒板に目をやった。
「今回こそは、徠梦が一位じゃないかなー?」
「だと嬉しいけどね。」
傍から見れば、一位という価値は大したことないのかもしれない。
実際、順位よりも他に大切なことがある
なんてことを口にする人も居るだろう。
だけど、私にとってそれは。
両親への最高の贈り物で。
自分自身の、努力を証明する唯一のものだと。
そう、思っている。
だから、一位という順位を何時の日か手にしたいとも思う。
その為には、誰よりも努力を惜しまないのが大切だ。
だから、他人よりも頑張っているつもり。
だけど、どんなに一生懸命勉強して、頑張っても、勝てない相手がいた。